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Episode7 〜計画〜

「国王陛下の暗殺、ねえ。」

「ああ、実は、」

「いや、そっちの事情なんてのは話す必要はない。」

相手の事情を細かく聞いてはいけない。情報屋の基本である。

「何とか調べてくれ。頼む。」

しかし、オーシャは以外にもあっさりと答えた。

「いや、わざわざ調べる必要はねえ。」

「と、言うと?」

彼は、真剣そうな表情で口を開いた。

「エリシア、例の事だがイースになら話しても良いだろう?」

「ええ、私は異論はないわ。」

 

「この城下町の外れに、『水平線(ホライズン)』という秘密組織、まあやってることは暗殺業だけじゃなくヤバげな依頼は何でもこなす、そのかわり依頼料は俺らから見たらゼロをいくつか間違えて多くつけていませんか的な額なんだが、まあそういう組織があるんだ。で、まあ、そこに国王暗殺の依頼が舞い込んだ、らしい。」

「らしい?」

最後の語尾が気になったのかイースもといギルスが尋ねる。

「いかんせん、この情報は本当に門外不出の極秘なのよ。本当は私たちも他言無用にしていたかったんだけどね、まあ、貴方は恩人だし。」

「そうか、で、その依頼主は?」

「それが、俺も知っているあらゆるツテを使って調べてはみたんだが…。」

「分からない、ってか。」

「ああ、悪いな。」

「いや、いいさ。それだけでも十分有り難い。」

さて、とギルスが腰を上げた。

「そろそろ俺は行く。この事を伝えなければ、」

「まあ、待てよ。」

突如、オーシャが呼び止めた。

「ん、何だ?」

「俺の知り合いで、組織と繋がっている人がいる。そいつに頼めば、もう少しマシな情報が手に入るかもしれない。分かったら連絡したいから、連絡先を教えてくれ。」

イースはしばしの沈黙の後、こう答えた。

「此処だ。」

「は?」

意味が分からなかった。無理もない、連絡先を聞いてそんな返答をされて理解できる人がこの世に何人居ようか。

「だから!此処、地下下水道が連絡先だ。訳あって此処に住んでるんだよ。」

「「・・・・・」」

「・・・・・いや、気まずいから何か喋ってくれないか?」

「どうやら、かなりスペシャルに分けありのようね」

「ああ、まさかの此処が家ですか。」

まあ、無理もない。彼らも先ほどから、十分この地下下水道の臭いと吐き気を催すような光景と居住環境の悪さを体験し、さっさと此処をでたいと思っていたのである。そこでまさかの毎日暮らす輩が居ようとは、世の中は広いものである。

「俺だってな!好きでこんな所に暮らしているわけじゃないんだよ!」

「だから、訳有りなんでしょ?」

「ああ、まあその訳は話すことはできないんだが。」

「いいさ、命の恩人にあれこれごちゃごちゃ聞きはしねえ。」

「有り難い。それと、もう一つ聞きたいことがあるんだが。」

「何だ?」

「町の誰にも姿を見られることなく国王と直で連絡を取る方法はないか?」

無茶苦茶な相談である。国王とは、漢字の通り、一国の「王」なのである。普通にやっても、城の物をとうしてさえ、すぐに連絡を一般市民(彼は今は一応ただの一般市民である。)がとることなど至難の業。ましてや直でなど不可能だ。だが、オーシュは不適に笑い答える。

「あんた、俺を誰だと思ってるんだ?俺はウィングストニアで五本の指に入る盗賊だぜ。国王に直で連絡を取るくらい余裕余裕。」

「(自称)五本の指に入る、ね。」

「・・・・・、う、うるさい。で、具体的にどうしてほしいんだ?」

「・・・・・、手紙を、届けて欲しい。」

「ん、何だ、それだけでいいのか?」

「いや、それだけって、手紙を臣下の者に見られたりしてはいけないのだぞ。飽くまで、『直で』陛下に届けるのだ。」

「いやいや、分かってるさ。お望みならば、直で謁見室まで連れていってやってもよかったんだけど。」

「マジか?」

「オーシュ、できないことを言うのはやめなさい。イースが手紙を届けてくれって言う前は無茶な注文が来たらどうしようって、怯えてたくせに。」

やはり彼にもそこまではできないようであることがエリシアによって暴露された。


余談ですが地下下水道って居住することは可能なんでしょうかねえ?

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