魔法学校リベルテ
目が覚めるとベッドの上だった。
当馬は体を起こしあたりを見まわしてみるとほかにもたくさんベッドがある部屋だった。そして枕元にピストルが置かれていた。
「威力が強すぎるだろ」
当馬は苦笑いする。
「目が覚めたみたいだな」
声のする方に当馬は目を向ける。すると男性が一人こちらに歩いてきて、当馬の寝ているベッドで立ち止まった。
「あなたは?」
当馬は聞く。
「あぁそうだな。俺はレイだ。レイ・ラガシー、この魔法学校リベルテで保険医をしている」
「魔法学校…」
当馬は魔法学校というワードに胸が高鳴った。が、それと同時に疑問が浮かぶ。
「なんで俺は魔法学校に連れてこられたんですか?」
そしてレイは話し始める。
「この国では魔物の討伐を魔法使い、主に魔法学校の教師や生徒がしている。そしてお前がさっき街でカッティーラを倒すとともにバカみたいな量の魔力を放って、倒れたことがわかり保護された。」
「かってぃーら?」
「ヤギの頭の魔物だ」
レイは続ける。
「で、まぁお前が起きたら学長のとこに連れて行かないかんのだが、動けそうか?」
当馬は体を動かしてみる。すると不思議なことにさっきは立っているのもやっとくらい疲れていたのに今は信じられないほど体が軽い。その様子を見てレイは
「それじゃぁついてこい」
といい歩き始める。当馬もレイの後についていく。
向かっている途中に様々な人とすれ違った。ケモミミがあったり、角が生えていたりいろんな人がいた。当馬はさすが異世界と感動するが、すれ違う人たちも物珍しそうに当馬を見ている。おそらく当馬の服装が原因だろう。しばらく進むとほかの部屋とは少し違う大きな扉が目に入った。レイはその扉をノックする。中から返事が聞こえる前にレイは扉を開け中に入る。すると中にいる人とレイの会話が聞こえる。
「返事をする前に開けないで!」
「はいはい、わかったわかった」
当馬は廊下から部屋の様子を見る。部屋の中ではレイと女性が言い争っていた。どうやらその女性が学長らしい。当馬は驚いた。魔法学校の学長はひげが長くていかにも大魔法使いという感じのおじいちゃんだと思っていたからだ。そんなことを考えていると言い争っている女性が当馬に気づいた。「あっ!ごねんね。君も入っていいよ。」
女性が当馬に声をかける。そしてソファに座ってるよう言う。当馬は言われたとおりにソファに座ると向かいに女性が座った。そしてなぜか当馬の隣にレイが背もたれに腕を回し、足を組みながら座った。
「なんでそっちに座ってるの?」
「別にどっちでもいいだろ」
レイと女性がまた言い争いを始めそうな空気になる。が、女性が頭を抱えながらため息をする。そして、当馬に「ごめんね。」と言う。そして深呼吸をした後、
「それじゃあさっそく本題にはいろっか」
女性は当馬の方を見ながら言う。
「えーとっ私はエミリー・グランデです。このリベルテで学長をしています。よろしくね!」
「俺は射越当馬です。」
「イコシ・トウマ君だね。あまり聞かない名前だね。異国から来たの?」
「えーと、まぁそんなところです」
当馬は肯定した。違う世界ではあるが別の国から来たのだから嘘は言ってない。
「じゃあ、名前はイコシ君?トウマ君?」
「トウマです」
「わかった、トウマ君ね。それにしてもトウマ君すごいね。カッティーラを倒すなんて。」
エミリーがさっきまでよりも明るく言う。
「そうなんですか?」
「そうだよ!それにその時の攻撃も…」
エミリーが話しているときにレイが咳払いをする。それに反応しエミリーが「あっ、」と何かに気づいたような声を出す。そして落ち着いて
「ごめん、話がそれちゃったね」
と言い、真剣にでも優しい顔で当馬に聞く。
「トウマ君、リベルテ(ここ)で魔法を学ばない?」
当馬は驚いた。エミリーは話を続ける。
「レイから聞いたと思うけど、この国は魔法学校の教師や生徒が魔物を倒してるの。もちろんなるべく負傷者が出ないようにその人が倒せる魔物を選んで向かってもらっているの。だけどたまに今回のように物凄い強い魔物が出ても向かえる人がいないという状況もあるの。だからぜひ私たちに協力してほしい」
当馬の答えはもう決まっていた。せっかくの異世界だ。魔法を楽しまなくてどうする。それに助けてもらいこんなに真剣にお願いされて断るわけがないだろう。
「はい、よろしくお願いします。」
当馬はリベルテ(ここ)で魔法を学ぶことを決めた。
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