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アリス・イン・アナザーワンダーランド  作者: 九郷美羅
アリス・イン・アナザーワンダーランド
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第三話 手袋と飲み物

扉を通った先には、なんとも素敵なお庭が広がっていました。

アリスがいつものんびりしているお庭よりも鮮やかな緑色が、遥か彼方まで続いている…と思いきや、少し歩くだけで薄暗い森の入り口に到着してしまいました。


「あら、もう森なの?思ってたよりも早かったわね。」


お庭での散歩がすぐ終わってしまい、アリスは少し残念に思いました。

ですが、ここでずっと立っていても仕方がないので、アリスは森の中に入っていきました。

森の中は、空想好きのアリスでも少々退屈に感じるような雰囲気でした。

強いて言うなら、変な色と形をしたキノコがところどころ生えているくらいです。


「はぁ、思ったより何もない森ね。でも、もう少し進めばきっと…あ!やっぱりあったわ!」


退屈を我慢して進んだアリスが見つけたのは、森の中のちょっとした空き地にポツンと建てられた一軒家です。

その家の入口の前で、何やら小くて白い生き物があたふたしています。


「あわわわ…どうしよう…!ほんとに遅刻しちゃう…!」


そうです。

時計ウサギ、じゃなくて、クロックバニーです。

アリスはクロックバニーがビックリしないように近づいていきます。


「あれ?さっきの女の子じゃん。私の家に何か用?」


アリスに気付いたクロックバニーがそう話します。


「あなたこそ、家の前で何をしているの?」


質問に質問で返されたので、クロックバニーは少しムッとした表情を浮かべました。

その様子を見たアリスは少し申し訳なく思いましたが、特に何もせず、答えを待ちます。


「手袋を家に忘れちゃったの!だから探してきて!」

「え?!私が行くの?」


いきなりこんなことを言われたので、今度はアリスがムッとした表情を浮かべました。

ですが、アリスは少し気になったことがあったので、こう質問しました。


「メアリ・アンはいないの?メアリ・アンに頼めばいいんじゃない?」


メアリ・アンとは、夢の中で時計ウサギの召使をしていた女性です。

といっても、実際の姿を見たことはないのですが。


「めありあん?そんな生き物知らないけど?とにかく、早く手袋探してきて!」


またしても夢の中と違う内容に少し慣れてしまったアリスは、仕方なく手袋を探しに家の中へ入っていきました。

家の中に入った途端、アリスは目を見開いて驚きました。

それものそのはず、床のいたるところ、ソファーの上、机の上、とにかくそこらじゅうに白い手袋がいくつも散らばっていたのですから。


「こんなにたくさんあるんだから、自分で取りに行ってもよかったじゃない。まあ、いいわ。」


アリスはその中の一つをとりあえず拾い上げました。

さすがに床に落ちてたのは嫌だろうと思い、ソファーの上にあったものを選びました。

それをクロックバニーに渡し、クロックバニーが手にはめた時、こう言われました。


「違う!こんなにブカブカじゃないよ!ちゃんともってきて!」


見た感じはピッタリなのに、クロックバニーが求めるものとは違うようです。

アリスは少しムッとしましたが、仕方なく別の手袋を取りに家の中に戻りました。

そして今度は机の上にあったのをもっていきました。


「違う!こんなに厚くないよ!ちゃんともってきて!」

「違う!こんなに大きくないよ!ちゃんともってきて!」

「違う!こんな色じゃないよ!ちゃんともってきて!」


こんな感じで、何回も手袋を渡しては違うと言われ、何回も家の中と外を行ったり来たりしたものですから、アリスはもうヘトヘトに疲れてしまいました。

ぜひ、途中で逃げ出さなかったアリスをほめてあげてください。


「もう!なんなのかしら!なおさら自分で探した方がいいじゃない!」


逃げ出してないだけで、怒ってはいますね。

それもそうですよね。

幸い、ヘトヘトのアリスの声はとても小さくなっていたので、外にいるクロックバニーにはこの言葉は聞こえませんでした。

そんなアリスの目があるものをとらえました。

それは、お洒落なガラスの瓶に入っていて、鮮やかな黄色い色をした、透明の飲み物でした。

なぜ飲み物であると分かったかというと、すぐ近くに同じくガラスのカップが置いてあったからです。

ヘトヘトで、のどがカラカラなアリスは、とても美味しそうなそれを飲みたくて飲みたくて仕方ありませんでした。


「まあ、美味しそうね。この色、きっとレモネードだわ。…こんなに探してあげてるんだから、少しくらいもらってもいいわよね。」


アリスは我慢できずに、その飲み物をカップの中に注ぎました。

皆様は勝手に人の家のものを飲んではいけませんよ。

カップに口をつけ、一口飲むと、アリスはその美味しさに驚きました。


「レモネードとは違うけど、なんて美味しいのかしら!カラカラののどにしみわたるわ!」


もう一口、また一口、さらにもう一口と飲んでいき、そのうちカップの中を飲み干してしまいました。

瓶の背に”ドリンクミー”と書かれたラベルがあることに気付かずに。

皆様、覚えていますか?

夢の中のイートミーは体が大きくなりますが、現実のは小さくなりました。

ということは、夢の中では体が小さくなったドリンクミーは現実だと…。


「…え?!なんてこと!体がだんだん大きくなってるわ!」


そうです。

現実だと体が大きくなってしまう可能性が非常に高いのです。

実際、大きくなってしまってますしね。

可哀想に。

アリスの体は、クロックバニーの家に納まらないくらいに大きくなってしまいました。

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