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アリス・イン・アナザーワンダーランド  作者: 九郷美羅
アリス・イン・アナザーワンダーランド
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第一話 アリスとウサギ

これは、皆様が知っている『不思議の国のアリス』とは少し違う、もう一つの不思議の国に迷い込んだアリスという名の少女の物語です。

深く考えて読む必要はありませんよ。

不思議は不思議とわりきって受け取るものです。

あるところに、アリスという名の空想好きの少女がいました。

かぼちゃの馬車とか、お菓子の家とか、そういった空想をしょっちゅうしてしまうのです。

おや?この空想、皆様もどこかで聞いたことがあるのでは?

まあ、今はいいでしょう。

これはアリスの物語なのですから。

さて、アリスは近頃、毎晩同じ夢を見ているようなのです。

その夢とは、お庭でのんびりしていたアリスが、時計を持ったウサギを見つけ、追いかけると、見たこともない不思議な国に迷い込むというものなのです。

毎晩毎晩この夢を、長い長い夢を見るものですから、アリスは夢の中でも、起きた後でも不思議な気分になるのです。


「ねえ、ダイナ。私、ここ最近いつも同じ夢を見るのよ。ただの夢じゃないわ。とっても長くて不思議な夢なの。」


アリスの足元で毛玉で遊んでいる愛猫にアリスは語りかけます。


「それでね、私思ったの。何回も見てるから、もしかすると、現実でもその不思議な国に行けちゃうかもって。正夢ってやつよ。…聞いてるの?」


毛玉で遊び続けるダイナを抱き上げ、アリスは言います。

空想好きなこの子は、猫もお行儀よくふるまえて、なんならお辞儀もできると考えているのです。

だから、いつもこんな感じでダイナに語りかけるのです。


「だからね、私決めたの。今日はその不思議な国に行くわ。夢で見たとおりにやれば、きっと行けるはずよ。」


自信満々なアリスは、首をかしげるダイナを抱きかかえ、お庭に向かいます。

お庭はいつも通り、緑豊かで、お花のいい香りがします。

アリスは夢の中と同じように、空想をしながらのんびりと過ごしました。


「雲までとどく豆の木があったらおもしろいわね。それを登っていくと、雲の上にお屋敷があって、そこには巨人がいて…」


また皆様も聞いたことがあるような空想ですね。

ですが、こうやって過ごしても、時計を持ったウサギは一向に現れません。

結局、夢は夢ですからね。


「やっぱりただの夢だったのかしら。もう、お庭にいるのは飽きちゃったわ。そうでしょ?ダイナ。」


ダイナはアリスの目の前でお行儀よく座っていました。

皆様も想像してみてください。

とても可愛いとは思いませんか?

おっと、失礼しました。


「あら、今日は珍しくお行儀がいいわね。あなたも暇そうだし、お部屋に戻りましょ。」


そう言って、アリスがダイナを抱き上げようと立ち上がった、その時です。


「大変だ~!遅刻しちゃう~!」


なんと、アリスの目の前を、時計を持ったウサギ、つまり時計ウサギが走り去っていったのです。

それを見たアリスはびっくりすると同時に、とても嬉しくなりました。


「まあ!本当にいたわ!ダイナ見て!時計ウサギよ!」


そうしている間に、時計ウサギはどんどん走っていき、見えなくなりそうでしたが、アリスは叫びます。


「待って~!時計ウサギさ~ん!」

「何何?あなた、ウサギじゃないのに、なんでお父さんのこと知ってるの?」


時計ウサギはアリスの声を聞き、立ち止まりました。

ですが、ここでアリスは少し不思議に思いました。

なぜなら、アリスの夢の中の時計ウサギはおじさんのような声をしていたのに、今ここにいるウサギは、女の子のような声なのです。

しかも、”時計ウサギ”という言葉に対して”お父さん”と言ったのです。


「お父さん?あなたが時計ウサギじゃないの?」


アリスが質問すると、意外な返事が返ってきました。


「時計ウサギは私のお父さんの名前だよ。私は娘の”クロックバニー”だよ。」


アリスはびっくりしました。

時計ウサギに娘がいたなんて知らなかったのですから。

でも、アリスはまた不思議に思い、こう言いました。


「”時計ウサギ”と”クロックバニー”って同じ意味じゃないかしら?」


皆様も、アリスと同じように思ったのではないでしょうか?


「全然違うよ!発音も文字数も違うじゃん!じゃあ、あなたは”ひとまいり”と”キャロット”が同じ意味だと思うわけ?」


クロックバニーが言ってることの意味が分からず、アリスは黙ってしまいました。

皆様は理解できますか?

私はまだよくわかりません。


「はっ!こうしちゃいられない!早く行かないと!」


そう言ってクロックバニーは走り出しました。

それに気付いたアリスは、夢中で追いかけていきました。

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