オマケ 明け方メリィ
次回くらいで完結見込み
毎週、水曜日に短編小説を、木曜日に長編小説の追加エピソードを投稿しています!
それぞれシリーズにまとめてありますので、よろしければ読んでみてください!
短編小説は仲良しカップルの日常系ラブコメが主ですが、たまに獣人とかも出てきます。
作品における既存のエピソードが更新されることがありますが、理由は誤字脱字及び細かな表現等の修正です。
作品の内容が大きく変わることは原則ございませんので、ご安心ください。
夜通し遊んだ後のメリィは明け方になっても目を爛々とさせていて、眠そうなロイの懐に入り込んでいる。
『ロイ、好き』
呟くメリィはうっとりとロイに頬をすり寄せる反面、激しく尻尾を振っている。
少し勢いが強いが可愛らしい恋人からの愛情に対し、ロイの返事は、
『そうか、寝ろ』
だ。
随分と淡白で冷たい印象を受けるロイの態度だが、これにも理由がある。
というのも、くたびれて眠ろうとするロイに対し、魔族と人間のハーフで別格に体力のあるメリィは疲れ知らずであるため、瞼を重くする彼にどうしてもちょっかいを出してしまうのだ。
おまけに興奮してハイになっているのか、なかなかロイの話を聞けない状態になっていて、
『ロイ、好き。表情豊かでかわいくて好き。優しくて好き。照れ屋さん、好き。いっぱい喋るのも好き。ニコニコ笑顔も可愛くて好き。ブラッシング上手な手、好き』
と、独り言のように告白を捲し立てたりもする。
無視をしていてもメリィは特に気にしないし、脳に響く声も別に大きくはないのだが、やはり眠るのには確実にノイズになる。
それに、淡々と告白されていると妙に照れてしまって、全身がむず痒いような気分になる。
ただでさえ無邪気に睡眠への妨害を行ってくるメリィだ。
ここでロイが「俺もメリィのこと、好きだよ」なんて返したら余計に大変なことになってしまうので、彼はわざと素っ気ない返事をするようにしていた。
『ロイ、ロイ~』
浮かれたメリィが鼻歌のようなものを歌ってロイの腹をムニムニと擦る。
この行動に意味はない。
ただ、テンションが上がったから無駄に遊んでいるだけだ。
いい加減うるさくてイラっとしたロイがムニッと軽くメリィの頬を摘まむ。
『寝ろ』
『ん? うん。分かってる。寝る。多分』
フンフンとロイの匂いを嗅いで雑な返事をするメリィに信頼などない。
ロイは小さくため息を吐いた。
『メリィ、キスしたら俺に話しかけられるの、やめられるか?』
問いかければ、メリィが目を大きくして耳と尻尾をピンと張る。
そして、驚いたような、真剣なような表情のままコクリと頷く。
『約束したからな。後は静かに寝ろよ』
念押しをしてからロイがメリィの頬に優しく口づけを落とした。
眠たくて体温が高くなっているロイのキスは妙に温かい。
頬に唇が振れた瞬間、メリィは声なき悲鳴を上げて柔らかい余韻の残る頬を押さえた。
キス直後には少しうるさかったメリィの心の声だが、少し時間が経てば、それも聞こえなくなる。
『毎回、毎回……できるなら早くやれって話だよな、全く』
長く人と暮らしていなかったために独り言を溢す癖が付いていて、うっかり話すつもりのなかった声まで身内やロイに聞かせてしまうメリィだが、彼女も一応、気をつければ心の声を自分の中に封じ込めておくことができる。
今のメリィはロイに話しかけて彼を起こしておいたり、彼に自分の感情を知らせたいという気持ちをグッと我慢して、自分の中に強い愛情を封じ込めていた。
そもそも発声できないだろうに両手で口元を抑える彼女は、尚もブンブンと尻尾を振っている。
ロイは丸く縮こまって悶え続けるメリィを緩く抱き直し、背を擦ると彼女に呆れ笑いをプレゼントして眠りについた。
ロイの就寝から約三十分後、暇になったメリィもスヤスヤと眠った。
本当は前回のオマケとして先週投稿したかったヤツです
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