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6.オーク殲滅で大儲けした、、らしい。

目を覚ますと、例のオンボロ宿だった。小さなベッドに俺1人、足元には上半身だけベッドにもたれたセイがいた。

とりあえず、生きてたか。

体が痛くない。

誰かが治してくれたのだろうか、肋骨の痛みもない。



俺はウィンドウを開いた。



種族名:人間

性別 :♂

年齢 :10

名前 :ノア=メルクリウス(真名偽装中)

レベル:52

スキル:〈金こそ力〉lv9

白:〈遠目〉lv 8〈ジャンプ力向上〉lv 15〈大声〉lv 1〈釣り〉lv 1〈リズム感〉lv1〈泳ぎ〉lv21〈逆立ち〉lv1…..

青:〈脚術〉lv30〈交感〉lv8〈剣術〉lv51〈体術〉lv55〈火属性魔法〉lv32〈水属性魔法〉lv13〈風属性魔法〉lv28〈土属性魔法〉lv29

赤:〈軽業〉lv15〈爆拳〉lv 25〈心読〉lv2〈旋風脚〉lv17〈金剛体装〉lv 5〈獅子吼〉lv20

銀:〈投擲術〉lv9〈洗脳〉lv1〈縮地〉lv5〈雷属性魔法〉lv21〈氷属性魔法〉lv13〈強化魔法〉lv7

金:〈抜刀術〉lv41〈二刀流〉lv38〈複合魔法〉lv 8

虹:〈天之羽々斬〉lv3



ステータス

STR :1145(+30000)

VIT :298(+40000)

INT :15731

MEN :180

DEX :468

AGT :1480(+30000)

LUK :1240

*(ミダスモード時加算)



〈金こそ力〉lv9


ポイント:6074920


ミダスモード

 能力による強化値の反映を調節できる。

 設定にポイントを使う。

 使用時は身体的特徴が発現。



やっぱりな。

これは数年前から予想していたことだ。

能力の規制。

この力はあまりにも強すぎる。

簡単に数百レベル分のステータスポイントが手に入り、スキルも容易に手に入る。

どこかに上限があって、そこからは規制がかかることはある程度予想していた。


「なるほどね。」


俺はウィンドウを閉じ、部屋を見渡した。

荷物は置きっぱなしで、リオンは椅子で、セイはベッドに上半身を投げ出して眠っている。とりあえず俺は起き上がってセイをベッドの壁沿いに、リオンをベッドの淵に寝かせた。

外の窓からは紫がかった空が太陽を迎える準備をしている。

小鳥の囀りが聞こえ始めた。


俺は2人が起きるまでマナ集めでもすることにして、適当なところに座った。


「ふぅ、」



しばらく時間が経ち、2人が目を覚ました。

予想通り心配しただの何だのと一悶着あって、朝食を取った。

どうやら、俺の怪我はイルゼノートが治したらしい。

なんでも、一つしかない結晶をどう使うか試したつもりらしいが、全く考えの読めない男だ。



「今日こそ狩りに行くぞ。」

「そうだな。」

「本当に大丈夫なの?」


セイは少し不安がっているが、いざとなったらミダスモードを使うし、ステータスポイントも多めに補充しておいた。


「大丈夫だよ。」


3人は早朝のまだ人もまばらな大通りを抜け、昨日持ったままだった依頼書を頼りに王都周辺の大量発生スポットに向かった。


「見えてきたな。」

「あの森から湧いてるのか?」

「そうらしい。」

「じゃあ、もう始める?」



俺は後衛、リオンは前衛、セイは中衛。

セイの魔法は少し、いやかなり特殊なもので、後衛というよりは中衛と言うべき距離感で敵と戦う。

俺たちが草原と山の境目になっている森に向かって歩いていくと、オークはこちらに気づき始め、奴らもこちらに向かってくる。

オークの平均身長は多分2m10cmぐらい。体重も100kgは超えているはずだ。

〈雷属性魔法〉【サンダーフォール】

〈火属性魔法〉【ファイアバレット】

そんなモンスターの巨躯が一瞬にして、数体同時に頭を残して消し炭にされた。


しばらくセイとリオンの役割はこず、どんどん侵攻していき、ノアが攻撃している間に証明部位を回収するぐらいしかすることがなかった。

しばらくして森の10mほど手前にくると、オークがキリないほど大量に溢れ出した。

安寧の地が侵攻されようとしているのを阻止するためか、ようやくオークの本領、集団戦法が始まった。

同時に十体ほどのオークが突進を仕掛ける。


「ハッ!」


リオンの気迫と共に放たれた大剣の重い一撃が同時に五体、返す刃で三体、そのままもう一歩踏み込んで残りの二体を真っ二つ。

二度目の突進は同時に二十体のオークが突進し、


「〈竜魔法〉【ドラゴンクロー】!」


セイの魔法で現れた竜の鉤爪によって一瞬で散る。

鉤爪は青い鱗で覆われており、人間を握りつぶせるほどの大きさ。

その鉤爪がセイの手と連動してぶんぶん振り回され、オークが次々に命を散らしていく。


「やば」

「こりゃ、すげぇな。」


せいの魔法を初めて見た時、リオンも俺も、度肝を抜かれた。

ロマンの塊のようなそのスキル、彼女はまだ使いこなせていないそうだが、使いこなせていない状態でこれだけの火力と機動性、持続性を持っているのなら怪物だ。


「これ、もう単独狩りにしようぜ。」

「うん、森の中に入らなければそれでもいいと思うよ。」

「私もこのぐらいならなんとか。」

「じゃあ解散で。あ、でも互いが見える範囲でね。もし危険ならすぐに助けを呼ぶこと。」

「はーい」

「うっす」



ブモォォォォ

「えー、ブヒィィじゃないの?」

ブギュッ

威勢よく飛び掛かってきたオークは顔を拳で撃ち抜かれ地に伏す。

右手の脇差で魔石をくり抜き、耳を削ぎ落とす。

俺は死体回収のついでにモンスターを倒す、という方針で戦闘にこだわらず3人で倒した全ての死体から必要なものを剥ぎ取っていった。

持ってきたバックに魔石と耳がどんどん溜まっていく。

「久々にめっちゃ稼げるぞぉ!」

金券が貯まって行く様子ににやけが止まらない。





リオンのローキックがオークの膝を粉々に砕き、降りて来た顔面を左フックで撃ち抜く。

その手につたわる首の骨がねじ切れる感触。

リオンの周りには30体ほどのオークの亡骸が横たわっており、血の絨毯が広げられていた。


「ふぅ。」


リオンは周囲に敵影がないことを確認して地面に腰を下ろし、水を飲む。





「〈竜魔法〉【ドラゴンクロー】!」


戦場に舞う竜の双爪は次々オークを薙ぎ倒していく。

オークお得意の集団戦も彼女には全く通用せず、彼女に近づけるオークはいなかった。

というか、集団戦法で立ち向かってくるオークは、セイにとってまとまって倒されに来てくれているようなものなので、オークは得意分野が相手の燃費向上につながってしまっている。


「はぁ、はぁ、はぁ」


そして圧倒的な力の奔流が止んだ。

その頃には周囲のオークは軒並み倒れており、静まり返っていた。


「はぁ、はぁ、」


飛ばしすぎたセイはしばらく上がった息が止まらず、疲れで座り込んでしまった。

流石に疲れる。何せ一流冒険者顔負けの量を倒した。小さな少女には少し魔力が足りなかった。

その背後に一際大きなオークの影。

自分の視界が突如暗くなって、慌てて立ち上がったセイだが、時すでに遅し。

次の瞬間にはオークのタックルを浴びて地面に押し倒されていた。


「きゃ」


竜魔法の使い手とはいえ体は乙女、戦士でもないのにオークに力で勝てるはずがなかった。

オークの足がセイの両足の間に入り、ググッと足を大きく開かせる。


「やめっ、ノア!助けて!」


ごく小さな声、離れた戦場にいるノアの耳に届くはずもなかった。

せいはぎゅっと目を瞑る。


のだが、

次の瞬間、颯爽と通り過ぎた風がオークの巨体と共に彼方に消えた。


「ノア?」


次の瞬間、突風が通り過ぎていった方向から例のオークが戻ってきた。というか、吹き飛んできた。

オークの体が近くの地面に衝突してちょっとしたクレーターができる。


「セイ、大丈夫?」

「う、うん」


ノアは一瞬振り向いて安否を確認する。

クレーターの中からのっそりと立ち上がるオーク。


〈抜刀術〉【鳥の舞 四閃・鴎】


セイの目にはその斬撃が見えなかった。

気づいた時にはノアはオークの後ろにいて、オークの体は頭から胸までパックリ割れていた。


「そろそろバックがいっぱいだから帰ろっか。」


呆然とオークの死体を見ていたセイの隣に、気づけばノアが立っていた。

ノアはセイの手を取りそのまま手を引いて例の一回り大きいオークの耳と魔石を取り除き、リオンの元へ向かった。




「う、うわぁー、気持ちわるっ」


こないだの受付嬢は引き攣った笑みで俺がカウンターに置いたバックの中身を見た。

ドン引きのご様子。


「集計お願いします。」

「はーい、わかりましたー。」


俺たちは番号札をもらってカウンターの近くの空いているテーブルについて集計を待っていた。

視線が痛いな。

先日の事件のせいだろうか、こんな子供に対して警戒と恐れを含んだ視線が多分に感じられる。

おそらく例のBランクハンターは全員の恐怖の対象だったのだろう。

それを倒した俺はおそらくもっと怖い。

まずあの男の場合は拒否反応を示さなければ力を振るうことはしない。

条件がわかっていれば対処できる。

しかし俺の場合は突然現れて素性が知れず、何がトリガーになるかわからない。

だから怖いのだろう。

俺、そんなに怒りっぽくないんだけどなー。


「ノア、すっかり人気者だな」

「まぁ、暴れ回ったからねぇ」


ノアとセイがからかったような笑みをこちらに向ける


「うるせぇよ、俺に喧嘩の趣味はないっつーの。」

「14番の方ー、集計終わりましたー。」


今度は別の黒髪の女性が出てきて俺の持っている札と同じ番号を読み上げた。


「はーい。」


俺は立ち上がって受付に向かう。


「冒険者カード持ってますか?」

「はい」


女性に冒険者カードを渡すと、なにやらガラスのような板の上に置いて、すぐにこちらに戻した。


「彼方の方々はパーティーですね。」

「はい。」

「それでは更新しておきますね。」

「連れて来なくても大丈夫ですか?」

「ええ。こちらで更新しておきます。達成依頼数は42。報酬の合計は336000ファムです。」


わぁお。そんなにもらえるんだ。

俺は出された金袋を受け取り、また魔石をカウンターに出す。


「こちらも買い取りますか?」

「お願いします。」

「では、そのままで、少々お待ちください。」


黒髪の受付嬢さんはバックの中の魔石を全て受付の壁にある大きな穴にザァァァッと流し込み、その穴の横についた計器の値を読み取ってからこちらに向かってきた。


「えーと、672000ファムになりますね。」


再び新たな金袋を渡される。


「ありがとうございます。」


おいおい、モンスター狩りってこんなに稼げるのかよ。

何より俺が会計をしたことで一気に『ポイント』が一気に稼げた。

両手に持った二つの金袋を持ってテーブルに戻った。


「結構もらえるんだな。」

「すごいお金だ!」


リオンはふーんと、セイは目を輝かせて。

これが貧富の差ってやつか。


「まずは飯食べよーぜ。最近ろくに食べてない。」

「さんせーい」

「だなー。」


まぁ俺からしたらここの料理にまともなものなんてないんだけどな。


とりあえず俺たちは1人一つ、2000ファムのステーキ定食を頼んだ。

セットの内容は800gのステーキとパン、野菜スープ、お酒。

子供なので実際出てきたのはお酒ではなく水で、少し損した気分になったが、ステーキを食べてみればそんなことどうでも良くなってしまった。

ファミレスのステーキにも劣るが、やはり久方ぶりに口にしたステーキというものは、ただ単に美味しいだけでなく、ここまでの苦労が報われて、心が洗われるような気分になった。


「「「ごちそうさまでした!」」」


一瞬でステーキを平らげた俺たちは、一度宿に戻ることにした。


「午後も狩り行くか?」


帰り道、リオンがそんなことを聞いてきた。


「いや、そんなつもりはない。」

「はぁーよかった。私もうくたくただもん。」

「そこそこお金も入ったし、王都観光か、自由時間にするか。」

「自由時間も王都観光もそんなに変わらなくね?」

「いや、俺には王都観光よりもやりたいことがある。」

「なになに?」

「気になる。」


俺の意味深な発言に、2人はすぐ食いついた。


「そもそもな、俺が学院に入ろうと思った理由は、ただ単に学院で学んで何かを得るだけのことじゃないんだ。」

「もったいぶってねぇで言えよー」

「そうだそうだー!」

「金稼ぎだよ。」

「「ほぇ?」」


バカ2人は首をかしげる。


「おい、セイはともかくリオンはなんか感じ取れよ。」

「えー、なんだよ。」

「え、今バカにしたよね。」

「王都は地元より人が多いよな。ってことは絶対的な需要量が多いってことだよな。さらにここは流行の最先端でもある。王都で流行ったことは全土に広まる。ここで売れたら全土が俺の市場だ。」

「あー、うん、まぁ、なんとなくはわかるよ?けど、そう上手くいくか?」

「え、ちょっと、置いてかないで、わかんないぃー」


だめだ、こいつらには早すぎた。

1人で勝手にやろ。



まずは計画を練る。

リオンとセイが2人で観光に行っている間、俺はオンボロ宿で羊皮紙に見通しを書いていた。


まず王都で築きたいのは人脈と資金。

とっつきやすいところで行くと、定番の食文化革命だな。

俺は前世でも料理経験は豊富なので、大体のものはなんとかなるだろう。

ポテチ、マヨネーズ、フライドポテト、甘味は砂糖の高値で利益化は難しいだろう。

いずれはサトウキビ農場でも作るか。

まずは屋台だな。

その資金で今度は、、なんだ?服飾加工でもやるか?だめだ。俺の持つ影響力が低すぎる。

化粧品とかやってみるか?乳液とか売れそうだな。

乳液の成分ってなんだっけ、聞いたことあるような気が、、後でいいや。

他には、将来的には造船業とかもいいな。

その前に金融業だな。

屋台の後に何か一個挟んで金融業かな。

何か一個何か一個、何か一個、、

でも、とりあえず一つ始めてみるか。

後のことはやりながら考えればいい。



王都の商売事情は以前から少し調べていた。

なんでもタダで店を出せるゲテモン屋台市ってのがある。

そこで店を出すか。

まずは芋と油、調理器具だな。


広い王都を駆け回り、なるべく最小の額で道具は揃え、とりあえず家に帰ってきた。


ポテチは幾度も作ったことがあるので、慣れたもんだ。


「おじさん、すみません、キッチン少し借りてもいいですか?」

「ほぉ、なんかやるのかい。」

「ええ、挑戦してみたい料理があるんです。できたらおじさんも試食してください。」

「そうかそうか。じゃあ楽しみにしてるよ。」


数回コミュニケーションをとっていた喫茶店のおじさんはすでに結構話す中になっている。

案外簡単に調理場を借りることができたので、早速調理に取り掛かる。



それから二時間ほどして、幾度かの失敗の末、納得のいくポテチが出来上がった。


「どうですか。」

「な、なんだ、これは。。。」


おじさんはしばらくフリーズした。

これは、大成功だな。


「美味い、こんなものをどうやって、、ッと、人のレシピを聞くのはご法度だな。」

「いえ、とりあえずこれをゲテモノ屋台市で出してみます。そこで捌ききれなくなったら、この喫茶店でも出せるようにしてもらいたいって思ってます。」


その後軽い商談を済ませた後、帰ってきたリオンとセイと合流してギルドで夕食にパンとスープを食べてその日を終えた。


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