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それから 3

東京テレビの秋葉原レイアナウンサーの、カミーユとジーン博士とのインタビューでは、冒頭、ちょっとした緊張が生じた。


というのも、秋葉原レイアナウンサーは、挨拶代わりに、ジーン博士にジーン博士の家出の質問をしたからである。


秋葉原レイ「家出で世間を騒がしたこと、どう思っていますか」


こうして、インタビューは、ジーン博士の自尊心を大いに傷つけるかと思われたが、ジーン博士は素直に秋葉原レイアナウンサーの質問に答えた。


ジーン博士「自分の前には、試験的にベータミンDを投与されたお気に入りのゾンビがいました。そのゾンビは、完全服従の、飼い犬みたいに従順なゾンビであったのです。そのゾンビは、自分の運命を探るように、僕らの目をのぞき込んでいました」


秋葉原レイ「そのゾンビは、スノードームからカミーユが戻って来たとき連れていたゾンビですね。そのゾンビをジーン博士は、守ろとしたのですね。ペットのことで家出というのは、私にも経験のあることなので、よくわかります。あのゾンビの安全は東京都が守ることを約束しました。では、本題に入りましょう。その前に、カミーユさんが、始められるお菓子会社から、お知らせが、あるようです」


こうして、ここに、カミーユのお菓子会社から発売される新製品のCMが入った。


ジーン博士のインタビューは、再スタートした。


秋葉原レイ「カミーユとは、双子だそうですね」


ジーン博士「カミーユとは、ほとんどいっしょに暮らしたこともなかったし、お互いにまったく似ていないですよね。ぼくは、シンメトリックにつれられて日本に帰ってきました。ある研究をつづけるために、日本に帰る必要があったのです。そして、こちらの学校に通うことになりました。カミーユは、転校してまもなく僕たちの前に姿を現しました。カミーユは、僕たちの研究の儲けをよこすように言ってきたのです。『それが、転校生の仁義の通し方さ!』と、カミーユは、言いました。ということで、僕らは、カミーユの要求をのみ、仲間になったのです」


ジーン博士の話は、続いた。


ジーン博士「カミーユは、風の中の魂を操る不思議な力を持つ少年でした。ぞれは、不完全な能力でしたがベータミンシリーズと組み合わせによって、ゾンビを操ることができるようになったのです。カミーユは、自分のそのような能力には気づいてはいませんでした。しかし、シンメトリックと僕は、ヒーローズアカデミーの高見沢治美を通して、カミーユのすべての情報を手に入れたのです。つまり、あらかじめ、そういうことを知っていてこの町にやってきたということなのです。僕と、シンメトリックは、カミーユのそのような能力がどうしても必要だったので、カミーユの方から近づいてきてくれたのはありがたかったです」


ジーン博士のインタビューの中には、本当なら口が裂けても答えてはならない質問であったのだが、ジーン博士は、秋葉原レイの何の抵抗も示さず答えてしまった。


秋葉原レイは、調子に乗ってしまったのか、核心を突いた質問を行っている。


秋葉原レイ「カミーユ君の『恋の暴走』って止められなかったのかな?あれがなかったら、あなたたちの計画は正しい意味で決着がついたと思うけど……」


ジーン博士「僕は、しょせん、転校生の身分で、カミーユには逆らえませんでした。僕は、自分なりに最悪の事態に対応できるよう対策を進めておりましたが、あの週刊誌の滝ケートの熱愛報道ですべてが台無しになったのです。カミーユは、滝ケート、あのアイドルの熱狂的なファンでありまして、しばしば、書き慣れないファンレターを悩み、苦しみながら滝ケートのために書いておりました。そして、やっと、滝ケート本人から、返事が届いていたのです。返事といっても、文面のほとんどは、熱心なファンのファンレターに対応するために作られた印刷された返事でしたが、最後に一行『ずーっと、君のケートでいるね』と、添え書きがされていました。これが、大きな誤解の始まりで、最後には熱愛報道からカミーユの暴走を生み出した原因の一つであったのです」


秋葉原レイ「今後の予定について聞きたいのですが……」


ジーン博士「それについて語るには、シンメトリックについて語るのが一番だと思うのです。シンメトリックは、若い頃、研究中に起こったとある事故に巻き込まれてしまって、彼の人生と研究が台無しになってしまったのです。彼は、その事故の責任をとらされて、家族を祖国においたまま、世界を放浪する旅にでました。そのたびの途中に、僕とシンメトリックは、出会ったのです。僕が、彼と会ったときには、彼は、研究のほとんどを完成していました。それは、風の中にいる死者の魂を呼び起こそうという研究でした。ある日、シンメトリックは、僕を連れて日本に帰ると言い出したのです。それには、二つの理由があったのです。ひとつは、シンメトリックは僕に、日本を見せたいと思ったということでした。もうひとつは、彼の孫に関することでした。つまり、例の滝ケートに関することだったのです。シンメトリックは、カミーユや僕が滝ケートの友達になることを望んでいたのです。恋人ではなくね」


カミーユのお菓子会社の新製品のCM がここにはいる。


CM開けで、ジーン博士、さらに秋葉原あきばはらレイアナウンサーのインタビューは続いた。


秋葉原レイ「では、今度はシンメトリックについて、続きのお話をお願いします」


ジーン博士「日本にやってきて、シンメトリックは、日本でも同じように、研究が続けられると思いました。しかし、想定外というか、シンメトリックに想定外の要素が存在していたのです。シンメトリックは、研究を僕たちに任せ、自分は、姿をくらましたのです。そのために、そのために、いろんな噂がたちました。しかし、正直なところ、真相は僕にもわかりません」


秋葉原レイ「それは、本当に謎ですね」


ジーン博士「シンメトリックは、自分を苦しめた会社に対する復讐の当然考えていたでしょう。つまり、ヒーローアカデミーのパワースーツの動向については、いつも、気にしていましたし、シンメトリックが、特に、関心を持っていたのは、パワースーツと人とのインターフェースについてです。パワースーツ技術は、人の心とメカとのつながり、操縦者が望む動きをメカがどのようにして実現するのかという点に問題を抱えていました。この仕組みを完璧に完成させ、暴走を完全に取り去ることの難しさが、ドレミヒーローの自爆で明らかになったのです。そのために、より制御可能で、暴走といったものとは無縁のゾンビテクノロジーを人は選ぶことになったのです。かって、シンメトリック氏が、パワースーツの開発の中心にいたことはよくしられたはなしです。その頃から、パワースーツは、完全な制御が、出来ないという問題を抱えていたのです。シンメトリックは、僕に説明してくれました。例えば、ここに美味しそうなリンゴが、あって、それを手に取ろうとして、思わぬ力が入って、リンゴを握りつぶしてしまう。そういう不具合は、パワースーツの未来を完全に閉ざしてしまう。これが、絶対に起こらぬように、パワースーツは、二重、三重の安全策が取られているのですが、着用者とパワースーツとの間には、高速で、大量のデータ、命令が行き来することになります。そのひとつ、ひとつについて完全なチェックを行うことは、不可能です。パワースーツをコントロールする人の意志は、常に感情の変化に由来するノイズによって、意図しない影響を受けてしまうことがあるのです。さらに問題なのは、パワースーツと接続されることで、人の心の潜在的な知覚というか、能力を目覚めさせてしまう点です」


秋葉原レイ「それが『人間の意識の再奥にある神の王国』というやつですね。機械を人の心に接続する事によって、人の心は特別な体験をする」


ジーン博士「それに、接続することは、『死ぬべき運命』の人間にとって、最大の苦痛なのです。そして、それは、暴走の原因と考えられています。それに、最初の接続者となったのが、シンメトリックその人なのです。彼は、その事故の後、精神科医の治療を受けることになったと言う話を聞きました」


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