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Body Change  作者: 秋元智也
9/25

第九話

「お兄ちゃーん?入るよー?」


そう言って返事も聞かず入ってくる。

毎日の日課の様にパンツ一枚できた理由はわかっている。

でも、今はそれどころじゃない。目眩もそうだが、さっきから下腹部が

刺さる様に痛い。


「優香悪りぃけど、今日は自分で抜いて…」

「何で?いつもシテくれるじゃん?それとも先にシテあげよっか?」

「待って!今日は無理だから!」


気分が悪いのもそうだが、最近は強引になってきている気がする。

最初の恥じらいを持った可愛さはどこに行ったんだ?

抵抗にも力が入らずベッドに押さえ込まれる。


「優香〜本当にやめてくれ…それと生理の事話せよ!流石に驚くだろ?」

「へ?生理になったの?あー。そういえばもうすぐだったっけ?」


けろっとしていうと、棚から専用のパンツとナプキン、タンポンを取り出

してきた。


「これ、ここに一式入ってるからね?適当に使って。」

「痛みはどーすんだよ?」

「これはこの薬を毎朝と昼、晩に飲めば大丈夫だよ。周期は結構まちまち

 だからいつくるかわかんなかったんだよね〜」

「お前な〜。こっちはいきなりで怖かったんだぞ?達也に見られるし山尾

 の家に連れて行かれるし…」


山尾の名前が出ると優香の視線がキツくなった。

あまり好きではない様だった。

俺には優しくしてくれたが、悠人には気まずいのだろうか?

一週間は慌ただしく、大変な毎日を送る事となった。

生理が終わるとやっと落ち着いた生活が出来る。女子って大変なんだな〜

と改めて思い返した。


もう入れ替わって三ヶ月が経とうとしていた。

達也は相変わらず優香をサポートしてくれるし、帰りに優香と一緒に校門

のところで俺が出てくるまで待っていた。

流石に優香だけ待たせるのに気が引けてまっててくれているにだろうか?

まぁ、大概優しいところがある奴だしな!

ただ、最近は優香の身体にセクハラするのが気になり始めていた。


「おかえり〜お兄ちゃん!」

「外ではその呼び方やめろって。」

「なら、優ちゃんは呼び方困っちゃうよ〜?」


達也は優香に事を優ちゃんと呼ぶ様にしたみたいだった。

俺に抱きついては優香に睨まれるが気にしていない様子だ。


「達也、くっついて来るな!」

「中身は悠人なんだしいいだろ?好きだよ!」

「はいはい。今日はスーパー寄ってくから荷物持ちくらいやってくれる

 んだろ?」

「なんでもやりますよ〜。手繋いでもいい?」

「勝手にしろ!」


男同士で手を繋いで何が嬉しいんだか…いや、今は女子か!

重い物持たせてやろう…うん、そうしよ。


「優香帰るぞ〜!」

「うん、ちょっと用事思い出しちゃった、達也くん!くれぐれもお兄

 ちゃんに手を出さないでね!」

「分かってるって。俺、そんなに節操ない様にみえる?」

「見えるから言ってるんだけど?まぁ、お兄ちゃんも少しは警戒して

 よね!」


何やら妹に釘を刺された様な気はするが、流石に優香の身体は守って

みせるぞ?


達也と買い物を済ませて家へと向かう。

久しぶりに達也との二人きりな気がした。


「あのさ。ありがとうな!」

「なに?悠人は俺の事惚れた?」

「惚れる訳ねーだろ?男に惚れられても嬉しくねーだろ?」

「嬉しいよ!俺は、悠人が好きだからさ。男だとかそんなの関係ねー

 じゃん。悠人だから好きになったんだからさ。今は優香ちゃんの身

 体だから手を出さねーけど、もし戻ったらもっかい告白させてよ。」

「冗談はよせって…」

「冗談なんかじゃないよ。元に戻ったら悠人の事抱きたいって言って

 るんだよ!じゃ。ここまででいいよね?はい、これ!」


真剣な表情の達也を見ながら呆気に取られていると、家に着いていて、

荷物を玄関前で渡されると帰って行ってしまった。


達也にしては悪い冗談だろ…。

俺は男に抱かれる趣味はないぞ?いや、今は自分に抱かれてるのかと

思うと複雑な気持ちになった。

優香は最近ではストレートにアタックしてくるし、達也まで隠そうと

しない。

俺自身は、どう思っているんだろうか?

優香は大切な可愛い妹で、達也は親友だと思っていた。

二人の気持ちはどうしても受け入れられないし、だからといって拒否

もできないくらい大切になっていた。


どうにかして戻れないかと本を調べたりしたのだが、一向に分からな

かった。

すると、何やら考え込んだ様子の達也と優香から話があると言われた。


「お兄ちゃん、これまで催眠療法とか色々試しにいったじゃん?それ

 でもダメだったんだけど、ちょっと興味深い話を聞いたんだよけど…」

「あー。でもそれは流石にずるいだろ!悠人にはむりだって!」

「でも、試してみる価値はあるじゃん!」

「いーや!ダメだ!そうだろ?悠人!」


二人だけで話しているが、一向に意味がわからない。

何をもめているのだろう?


「悪いんだけどさ、何が言いたいかはっきりいってくれるか?」


優香と達也が顔を見合わせると、同時に口にした。

が聞き間違いかと思えてくるない様だったので、再び聞き返した。


「えーっと、つまりそれって…」

「前にも同じように同時に事故にあった人が中身が入れ替わった

 って言う事例があったんだよ!しかも医者のお爺さんが日記に

 つけてて、それを読ませてもらったの!」


優香は興奮気味にいう。


「それが、内容がだな〜…その時も男女だったらしいんだが…セッ

 クスしてたら元に戻ったって言うんだよ。信じられるかよ!絶対

 おかしいって!」

「そんな事ない!ちゃんとお兄ちゃんとシてればきっと元に戻るし、

 子供も出来るかもしれないじゃん!」

「それは子供を作りたいだけだろ?セックスなら俺とでもいいだろ?」

「だーめ!お兄ちゃんと私がしないと意味ないでしょ?」


二人のやり取りは収集がつかない。

だが、言わんとした事はわかった。

それが事実かどうかは分からないがそれは恋人ならまだしも、兄妹では

意味が変わってくる。

この二人の会話を聞きながらため息が溢れてきたのだった。




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