第十五話
気を失ってしまった俺の側で達也は満足そうにしていた。
静かになった部屋で満足そうに微笑む達也の事をベッドの上から眺める
視線があった。
「もう、最悪!妹の寝ているところで普通ヤる?」
「お前も見たかっただろ?こいつのイクところ…」
「…」
「もう、俺なしじゃいられないくらいに快楽を覚えてもらわないとな!」
「最低…」
「最低で結構。俺には悠人がいればいいからな!優香ちゃんは自分の恋
でも見つけろよ!」
「達也さんのくせに、生意気!私のお兄ちゃんなのに…」
「こいつは渡さねーよ。それに兄妹だろ?」
兄妹の関係がある限り、手を出してはくれない。
いつも大事に扱われるが、ただそれだけなのだ。
だから、いつも快楽を味わわせては執着して欲しかった。
ふわふわした心地の中、意識だけが何もない真っ白な空間にいた。
「ここは…どこだ?」
反響する声に夢の中なのかと疑うがどうにも掴みどころがない。
「お兄ちゃん!」
優香の声に振り向くとパジャマ姿の優香が立っていた。
駆け寄ると真っ赤になって目を伏せた。
何事かと思うと何故か俺だけ全裸の状態だったからだ。
おかしいだろ!なんで服着てねーんだよ!
ツッコミどころ満載だが、服も見当たらない。すぐに背を向けると
達也に引き寄せられた。
「達也お前も…って何でお前はきてんだよ!」
「んー?ここどこだ?悠人その格好でいると目に毒なんだがな〜」
「知らねーよ、ってかどーなってるんだ?」
達也はシャツとパンツ姿でそこにいた。シャツを脱ぐと腰に巻きつけて
くれた。
「ないよりはましだろ?」
「あぁ…ありがと。」
いい奴かと思いきやその間も人の尻を撫で回す。
これさえなければ普通に感謝できたんだがな!
ふわっと前に光る球体が現れると人の形へと変化した。
ーここに人の子の魂が迷い込むとわ珍しい、そなたらは何を望む?ー
「ここはどこですか?」
ーあの世とこの世の狭間といえば分かりやすいかの?ー
「おい、帰れるんだろうな?」
達也の言葉に声の主は少し笑うと試すように笑った。
ーなんとも強気なおのこじゃな…帰れるとも、ここはうつつ世、目が覚
めれば戻れるぞ、しかしここにくるのに通行料を払ってもらわねばな
らんが?ー
「勝手に連れてきて通行料だと?いい加減に戻せ!」
「待って達也!あの、俺たち心と身体が入れ替わってしまって…戻る方
法を試したはずなんです。そしたらここにいて…」
ー知っておる。数日前に瀕死の魂があったので生かす為に入れ替えたの
のはこのわしじゃなからな〜、だがそれも入れ替えたのには意味があ
るのだ…片方の魂の寿命が少なくての〜代わりにお互いを助けたいと
思っておったので入れ替えて長らえさせたのじゃ。ー
「それは俺が…もう…?」
「そんな事ない!お兄ちゃんは死なないよね?寿命半分ずつにできない
の?神様なんでしょ?」
ー面白い事を言うのう。我は神などではない。いわば死神のが近いのうー
「そ…そんな…。」
ーすぐには死なせはせんよ。なにせ面白いからのう。関係ない人間がここに
来るのは少し驚いているのだー
そう言って達也を指さした。
ーここへは男女のカップルが訪れるはずであっての、お主は例外じゃ。じゃが
…面白い星の元に生まれた子じゃ。人とは意味をなさぬ同性を愛する事もあ
ると聞く、本当か?ー
「それがどうした?悠人の為なら死ぬ事なんて怖くはねーぜ?」
「達也!何を言って…」
「大丈夫、俺はイレギュラーなんだろ?」
ーそうじゃなの。7日後お主らのどちらかの魂を差し出せと言うところじゃっ
たが、気が変わった。長らえさせてやろう。ー
優香と悠人を指すといやらしく笑うと指を鳴らした。
俺の目の前がゆらぐとその場に倒れ込んでいた。
腰が重く下半身が疼き始めた。
どーなてるんだ?何か抗えない力で身体を弄られている感覚に寒気がした。
達也が心配そうに覗き込んで来る。
ー7日後にまたここにそなたたちを呼ぼう。それまでに其奴の身体を変化さ
せておいた。孕ませてみよ。女子の方にもプレゼントじゃ。ー
優香は胸があるのを確認し股間を触ると無くなった筈の物がそこにできて
いた。
「いやっ…嘘でしょ!え…でもこれでお兄ちゃんに入れれる?」
少し興奮したように目を輝かせた。
少し楽になった俺は何が変化したのか分からずにいると心配そうな達也と
視線があった。
「大丈夫だって…なんともねーから…?」
「ここ…濡れてる?」
そう言って尻を揉みながら指が入ると濡れてこない筈の場所が弄る度に次第
と濡れ始める。
「これってローションいらないやつ?」
ー7日じゃ。それまでにそなたに子宮を埋めこんだから子供を作るがいい。
上手く出来れば二人の魂は取らないでおいてやろう。ー
「そんなの簡単だろ?」
「お兄ちゃんに種付け…お兄ちゃんに…」
「おい、ちょっと待て!子宮ってどう言う…」
ー人間界で検査をしても映らぬ機関ゆえ、夢々忘れるでないぞ。それと女子
に与えたそれは他の人からは見えぬゆえ普通に生活できるぞ。興奮すると
出て来るようにしておいたからの。面白いものを期待しておるぞー
笑いながら球体になると光はどこかへと行ってしまった。
明日から旅行だというのになんて事をしてくれたんだ。
白い空間は薄れていき、目が覚めると優香の部屋で全裸で寝かされていた。
「全裸の原因はこれかよ!」
さっき三人でシた後に元の身体に戻ってから達也に…。
身体は拭いてあったが下着すら着ていなかった。
疲れたように眠る二人を起こすとさっきの夢の事を話した。




