完成とは仕上がったものに翼を与えることである。
あるものを完成させても、いつまでも手を加えてそこから離れられない人がいる。完璧主義者であればあるほどその傾向は強い。しかし真の意味で完成させるというのは、このアフォリズムにもあるとおり、仕上がったものに翼を与えることである。では翼を与える、とはいったいどういうことか。
翼を与えられれば当然、羽ばたいて飛び立って行かなければならない。翼を与えるということは、作品が独り立ちして飛び立っていくことである。いつまでも作者が手を加えてそれを止めてはならない。これは完璧主義者に対する警句である。
自分の都合で無理に引き留めて翼を引きちぎるような行為は極力控えなければならない。
完璧を目指すことはとても大切なことだが、何十回の最終確認を経て、「もう十分だ! これで完成だ!」と一度決まったなら、それで満足することを覚えなければならない。
作品が完成した暁には、こう言って送り出してあげよう。
「我は汝に自由の翼を与える! 縦横無尽に飛び立って行け!」
送り出した後は、すぐに次の作品に取りかかろう。いつまでも余韻に浸ってはいられない。
時に疲れたときには、大空を見上げてみよう。自分の子どもたちが自慢の翼を広げ、元気よく羽ばたいている。その光景を眺めていると、自然と笑みがこぼれてくる。人生においてこれほど幸せなひとときはない。