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道半ば  作者: ナダ
5/11

長女由美

長女の由美は、この春大学を卒業する

平成生まれのジャニオタだ

彼氏は今はいない

一人暮らしをしている


学生最後の春休みを楽しみたいところだが、就職する予定はない

実家に帰っても良いのだが、だらけきった大学生活を送ってきた由美は、その居心地の良さを手離したくなかった


今のバイト先のファミレスで、しばらくは働き続けるつもりだ

由美が泣きつけば、両親は仕送りを継続してくれるだろう


三食昼寝つきの実家に帰りたいと思わなくもなかったが、好きなだけダラダラできなくなるのはいやだ

就職しろ、結婚しないのか、などとうるさく言われるのは容易に想像がつく


それに、バイト先のファミレスの店長との不倫もだらだらと続いている

このままでは良くないと思いながらも、一年が過ぎた


一人暮らしすると、寂しくて不倫する女の子は多い

由美のまわりでも、そんなに珍しいことではない

親が聞いたら、どこに出しても恥ずかしくないように育てたのに、と泣くかもしれない


結婚はいつかはしたいけど(もちろん店長とは別の人と)、今はまだ考えられない

やりたい仕事も特にない

まだ、学生でいたかった


この国の等身大の22才の考えていること


偶然、街の片隅で、お忍びで遊びに来ていたスーパーアイドルと異世界で恋に落ちないかな


知り合いのSNSを見て、フォロワー数をチェックする


電車でマナーの悪いオヤジを見て、あんな大人にはなりたくないと思う


自分は人と違う、世の中を変えたい、と妄想の世界で息巻く


現実では、ショップの店員さんと会話するのに気を遣う

ネットの匿名投稿の時はけっこう言いたい放題


そして、そんな自分なんて幸せになれないとどこかであきらめている


命がけで何かに取り組んだことなんてない

失敗したくない

何かの間違いで一攫千金みたいになって、遊んで暮らせたらいいのに


妹の美紀は、お年玉を毎年コツコツ貯金していた

由美は、何に使ったかもあまり覚えてないけど一切残っていない

美紀は、アイドルのコンサートグッズも全く買わなかった


美紀は、いざという時のために無駄遣いはしないようにしていた

世の中、何が起こるかわからない

いつでも、持って避難できるように、もうすぐ10万円になる貯金箱と大事なものはまとめてあった



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