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道半ば  作者: ナダ
4/11

母親恵子

美紀の母親の恵子は、ここのところ生き甲斐を探している

去年まで生き甲斐だった、アイドルグループの解散により、今は心の拠り所を失ってしまった


ストレス発散ができなくなり、体重が増えた

食べることだけが、楽しい

通っていたジムもしばらく行っていない


いつも何かに熱をあげて生きてきた

十代は、お笑い芸人の追っかけをしていた

女子大生だった頃は、イケイケだった

派手な結婚式をして、イタリアへ新婚旅行へ行った


娘が生まれて、子どものためにできることは何でもした

ピアノを習わせ、塾の送り迎え、部活の遠征にも一緒に行き応援した

好きなアイドルのコンサートに、娘たちと共に全国を飛び回った


ママ友たちとの付き合いも、最近は減ってきた

子どもたちが、中学生くらいまではべったりだったが、子どもが大きくなったら、自然と会う機会もなくなった


恵子もパートで働き始めた

いろいろなことをしたが、どれも長続きしない

職場の人間関係が面倒だったり、イヤなことがあるとすぐに辞めた


ママ友たちとのランチ代とアイドルのコンサート費用がまかなえればそれでよかった

恵子が働かなくても生活はできる

お小遣いかせぎと暇つぶしだ


近頃は娘たちも、友達と遊びに行くことの方が多くなった

恵子と出かける時は、欲しいものがある時だけだ

洋服やコスメを買わされる


娘たちは、まだ人生これからだ

同じようにおしゃれをして、買い物をして、気持ちは25才のつもりだが、鏡の中にいるのは太ったおばさんだ

ため息が出てしまう


この先は娘たちが結婚して、孫が生まれて、孫の世話係だ

趣味のハーブを育てながら、定年退職した夫と過ごすのだろうか

私の人生はもう、隠居生活が待っているだけなのだろうか


もっと、何か心踊るようなことが起きたらいいのに



最近、お母さん太ったなと美紀は思った

いつも何か食べてるからまあ当然か

お母さんとお姉ちゃんに付き合わされて、アイドルの追っかけをさせられてきたけど、グループの解散で行かなくてよくなった


お母さんこのまま、どんどん太るのかな

パートも辞めたみたいだし

おばさんは気楽でいいな、と美紀はソファーでうたた寝をしている母親を見て思った





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