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道半ば  作者: ナダ
3/11

父親健一

美紀の父親、健一はサラリーマンだ


豊かな生活とは経済的に恵まれていること

そういう時代を生きてきた

立派な一軒家、高級車、ブランド服

わかりやすい価値観


勉強して偏差値の高い大学へ

名だたる大企業への就職

身を粉にして働いて出世

勝負、善悪、男社会

バブリーだった



健一も世間の流れに乗り、生きてきた

受験競争に勝ち、大企業に就職し、一軒家をローンで購入

妻と二人の娘を養い、母親を引き取り暮らしている

大学時代はテニスにスキー

社会人になってからは、ゴルフにスキューバダイビング

海外旅行、接待、大人のたしなみ


気がつけば、家に居場所はなかった

いつの間にか、娘たちは成長し、妻と娘でつるんでいる

飼い犬よりも、優先順位は下だ


会社も景気が悪くなり、経費で飲みに行くなんて今や犯罪だ

若い娘には相手にされず、話しかけただけでハラスメントだ

電車に乗る時も、細心の注意を払わなければいけない

見ただけで、訴えられかねない



ずっと、走り続けてきた

一人前の社会人になった

大人として、出来上がっているつもりだった

が、立ち止まってみると、おざなりにしてきたことが目につくようになった


不摂生をしてきた身体は、成人病一歩手前だ

部下の考えていることが、全くわからない

母親の介護、定年後の生活、老後の資金

先行き不透明な時代


長女は家を出て一人暮らし、次女の美紀は最近、父親の顔を見もしない

携帯ばかり見て、化粧をするようになった

彼氏はいるのか、と聞くと睨まれた

昔は可愛かったのに…


妻とは、ケンカはしなくなったものの、会話もしなくなった

ラップしてある夕食を電子レンジで一人で温めて食べる

妻に癒してほしい、労ってほしい

いい年をして、子どもみたいに甘えたい

大の男なんて、格好だけだ


母親の愛情は充分ではなかった

寂しがりの父っちゃん坊やだ

若い女の子と遊びたいけど、奥さんに優しくされたい


会社なんて行きたくない

鬱になりそうだ

昔みたいに、アフターファイブが楽しめたらいいのに

今や、家で一人で飲む缶チューハイだけが楽しみだ


精神年齢18才で止まっている

見た目は、ものすごいおっさんなのに心は青春を懐かしく夢みている

美紀にしたら、今一番無理な異性だ





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