ヒロイン、逆ハーの罠
よく考えたらハーレムってそういうものですよね?
王立プレシア学園の中庭。
日差しを遮る東屋のテラスには5人の男女がいた。
プレシア王国第四王子のアシス殿下。
王国宰相三男のロイ侯爵子息。
中央神殿祭祀長末子のロビン様。
そして王国騎士団長の甥で子爵家次男のドレイク様。
いずれもプレシア学園において何かと話題に上る美男たちである。
その中心に座るのが王国男爵令嬢である私。
平民の育ちながら男爵家に引き取られた。
ふわふわの桃髪につぶらな瞳のヒロイン。
学園に入学して1ケ月。
私は早くも逆ハーを達成していた。
チョロい。
「ねえカレン」
「はい? アシス王子殿下」
「サザリ宝飾店が発売した髪飾り、どうかな。この間のお披露目で観たんだけど」
王国一と言われる宝飾店の逸品だ。
「もちろん! きっと似合います」
「そうだね」
「カレン嬢。では私からも」
「はい? ロイ様」
「もうすぐ寒くなるだろう。ハシフィッツ服飾店の最新コートでいいかな?」
王国一のオートクチュールの品だ。
ちょっと実用的過ぎるけどもちろん歓迎。
「よろしいですね」
「私はハヒト衣料のマントかな。神殿でも違和感がないし」
「ロビン様は神殿の事ばかりですのね」
マントなんか私が使うはずもないけど、まあくれるというのなら。
「ならば俺は短剣にしよう。もちろん実用品じゃなくて宝剣で」
「……は?」
ドレイク様が変な事を言い出した。
私がナイフなんか欲しがるはずないでしょ!
「あの、私は刃物など持ちたくはありませんので」
するとドレイク様が怪訝な視線を向けてきた。
「当然だろう。俺は実用品しか持ってないから、貴族の嗜みとして宝剣のひとつくらい欲しいと」
「え? 御自分で使われるのですか?」
だったらなぜ私にそれを言う?
するとみんなは口々に言い出した。
「私はいずれ臣籍降下するから髪飾りのひとつくらい欲しくて」
「今使ってるコートが擦り切れてきて。早急に必要だ」
「神殿用のマントしかなくて恥ずかしいんだよ。是非」
何なの?
「なぜ私にそれを言われるのですか?」
「「「「だって私達は君のハーレム要員だろう?」」」」
「ハーレムを維持するためには主から要員への援助が必須だよ」
「衣食住に加えてちょっとした贈り物もね」
「私達は実家にとっては員数外なので。もう見捨てられてる臭いし」
「いやー、カレン嬢のハーレムに加えて貰って助かったよ。何せ俺たち、顔面偏差値はともかく学力体力根性すべて最低レベルの厄介者だからなあ」
「婚約者なんか最近は声もかけてこないもんね」
「小遣いはすぐに使い切ってしまうし。だから援助よろしく」
だめんずの集団かよ!