働かない2
『絶対に働かない』と宣言した英雄は、キリエル。
彼は18歳になる。まだ人間に人権がなかった15歳の頃から未知な力に目覚めた。
生きるためには人間以外の世界の強者や権力者にあたる魔物たちから盗みをするしかなかった。
盗みを働いて行くうちにあらゆるスキルを獲得し、養う部下ができていった。
ただ、どこをどう間違えたのか、勝手に俺のことをな英雄という扱いをしだすものもあらわれてきた。
とても不愉快、不本意だった。
自分自身は、勝手気ままに生きたくただただ生きるために行動をしていたにもかかわらず、英雄にされてしまっていたからだ。
まあ、英雄扱いを受けていいおもいができたこともあったから完全に全部が全部悪かったというと嘘になるだろう。
それに、自分の大切な仲間の食べ物や寝床など心配うをする必要がなくなるどころか、日に日に生活が良くなって行くことは明らかだったからだ。
だが、途中からは、のんびりする暇もなく世界中へと動き回る日々。正直うんざりだ。
そんなこんなで世界中の権力者を集めた会議で引退を発表した。
当然引き止めにあった。
何人かは土下座しながら泣きながら、みっともなく頼んでくるものもいた。
様々な金品などによって引き止めをしてきたがまったく心はうごかなっかった。
キリエルの意思は固い。
こうしてキリエルは自由を獲得し、やってきたハワブカイ島。
以前、人間の領土にしたときに絶対によいバカンスの場所になると思っていたが、なかなかよい。
目の前には透き通るような海があり、すぐ近くには実り豊かな山がある。
気候も日差しも穏やかで、家を建てる必要もない気がするが……、まあ、食料とか備蓄して置いたりするのにそれなりの小屋程度の家があった方が便利だろう。
(あぁ〜、働きたくねぇ〜。
誰か建ててくんないかなぁ〜)
などと考えながら海辺でのんびりと昼寝をした。