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垂る血~When the world changes~  作者: へいほーマツダ
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如何にして彼は死んだのか

 皆さんこんにちは。

へいほーマツダです。

 この作品は、どっちかというとミッションインポッシブル風の作品となっております。グロテスクな要素もほとんどない+迫力のある描写が続くという結構なかなかの力作です。かなり厳しい状況がずっと続きますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。本作はある男が大阪を中心に暴力団の密輸、抗争、計画などを阻止するために暴れまわるという、けっこうシュール(?)な作品です。この男は銃撃戦、殴り合い、カーチェイス、パルクールなどを繰り返しづつけるので言ってしまえば何でもありです。その反面書いてる側も結構疲れます。別に飾る気もございませんが、断言します。面白いです。



 この作品の狙いは、ぜひ読んで読み取っていただいてほしいのですが、その抽象的な部分、また執筆にあたっての考えをはなしていきたいと存じます。

 プロフィールにもある通り、私は人間の真理を最大限まで引き出してその形を見つめ、言葉として表現する。この操作によって人間の真理を感じ取り、自分の内面を変えて豊かにするという少々哲学的にもなりえる小説を目指しています。スプラッター要素のある作品とか、アクション小説にその要素を絡めつけて画期的な小説を構成するという、その第一作が本作です。

 その味をぜひ楽しんでいただければと存じます。



月の光とネオン、そして街灯が降り注ぐ大阪府の難波。どちらかというと少し東、上本町から鶴橋の当たり。近鉄線の線路沿いを走る府道702号線を超えてまだ少し明るい空へ向かっていく。

 万寺と書いて”まんじ”とよむ実にいい名前の卍(寺)あたりでだ。そこはもうかなり人気が少なく、犯罪には好条件の重なった要注意地区。この暑い夏の日に、犯罪が起きないわけがない。

 そこへ目を付けた暴力団監視対策グループESENAは、よくやるもんだと言わんばかりであった。

 この会社は非国設会社つまり、我ら府民が独自で結成して活動を続けているグループである。この会社の目的はただ一つ、もちろん暴力団の行う、密輸、抗争 etc… を監視して食い止めることである。警察とは一切の関与がなく、感謝状がもらえるわけでもない。

 前回は街中で任務が行われたために騒ぎが大きくなった。その時は抗争だったので新たにもう一群が割り込んできたわけである。そりゃぁその騒動はすごいもので、ニュースにも出たぐらいだ。そのせいで結局警察はこちらを監視されることになってしまった。——どうですか?暴力団→ESENA→警察ですよ。

 自己紹介が遅れた、海保実です。姓は海保名は実。職業は……。いつもは会社員と言っている。決して海上保安庁ではない。まったく母親はなんであんな名前のやつと結婚したんだか…。

 今は先ほど言ったように鶴橋の当たりにいる。ここは雑居ビル群、寺群。と言ってくのが最適だろう。なぜ現在ここにいるのか、この質問の答えはズバリ、現在は強力な毒薬テトロドトキシンを密輸するということが無線ハックで分かったと聞いて、本部から伝えられて、我らF隊が配備されたというところ。

 ついでに言っておくがESANAはいくつかの隊に分かれて配備されていて、現在では犯行現場の状態の管理をするA隊と、実際に任務を行う(犯行を止めさせる、追跡、身柄の確保など)BCDEF隊に分かれていて最も優れた隊がFで、あとはE→D→……の順番。そして事務管理局がN隊。X隊は事務。(なんで隊と呼ぶのか疑問である。また、こいつらの職務はおもに犯行現場の整理、あとはオフィスワーカーに変身するだけ)Z隊はまぁ、日本でいう天皇陛下みたいな役割。そしてあとは本部、事務護衛部、爆発物処理班、あといろいろ。こんな感じでISENAは成り立っている。

 今回無線ハックをして犯行を確認できたが、無線ハックをできるやつらはだいたい警察とか消防とかに興味を持って聞いて、楽しむ(?)ことによって趣味を確立させてるやつらが多い。公開しなければ別に違反ではない。だからやる人は多い。何より簡単にできるというのがあるからだ。それぐらいのことは暴力団でも知っているはずなのに、ハックされる無線を使うということはかなりアフォなのかブァーカなのか、何かを狙っているのか。どれかである。だから俺は警戒している。

 たった今無線が入った。(むろんこの無線はハックされない)怪しき人物を味原本町で確認。とのこと。今回は闇商人から暴力団にテトロドトキシンを引き渡しする最も多いケース。——ただし自分ののなかで。

 この件の欠点はやはり本人かどうかを確認せねばならない。暴力団も賢いから囮を用意したり、複数の個所で同時に引き渡ししたり、監視したりしているわけである。武器も持って当然だし、引き渡しする双者の間で争いが勃発!なんてことも多くある。だから慎重にせねばならない。もし誤って無関係の人物を殺傷してしまえば、善意しかなかったのにオセロのように真っ黒な犯罪者となってしまう。そんなことがあってはならない。これは我らだけでもなく、警察、入国管理者、その他いろいろ――も同様である。

 でも規模的に警察はその件に当たることもそれなりに多い。その件ではなくても、無実の人間を殺傷してしまったことはあるだろう。でも俺らだけ、許されない。これって、どうよ?いや、お前らもやってるんだからお互い様だろ?ってなわけで俺らは無罪と。——ってわけにはいかない。実際、無実の人間が殺傷してしまうと罰されるのは職業問わず同じであって、警察だけ罰されないというのは違う。つまり何の職業でもそのような失態を犯してしまえばoutだ。そうじゃなかったら警察は警察じゃなくなる。わかるか?この意味。

 また無線が入った。目標dを確認とのこと。目標dっていうのはもちろんテトロドトキシン。

 されるわけないが、ハックされた時を考えてだ。また、近くで聞いている人もいるかもしれないから、というのが強い理由だ。いよいよ始まるということなのだから、いくらなれたといってもこれはやはり緊張する。このF隊はそれぞれの死角になるところに私服で配備されている。状況によっては陰に隠れたり、歩いたり走ったりチャリ乗ったりして一般人を装う。これ、チョー基本。だから仲のいい有山仁が角を曲がったところでスマホをいじっている。俺は曲がり角から数十m離れたところで同じところを往復している。緊張じゃない。歩いているように見せるのだ。今回はスーツ姿。仕事帰りのおっさんという設定だ。もちろん服装は自由とにかく何でも着て良い。着ないのはだめ。犯罪。

 俺らは銃は持てない。公認グループではないからだ。法律もなんもない。だがエアガンは持っている。え?ガキの遊び?エアガンぶっ放すぞコラ――と言われるのがオチ。なのだが、結構エアガンも強い。いいやつであればかなり痛いし目にあてられれば失明確定。いや、マジでいたい。商業高校時代にやられたことがあるが、あれを何発もあてられればそのうち失神する。と、真剣に思った。そのうち死ぬと。これは冗談ではない。少し改良すれば殺傷も簡単といってっも過言ではない。ほかにはナイフ。これは訴えられても理由があるから大丈夫だ。って、訴える暴力団なんていないか。

 「万寺の交差点へ移動、南へ移動している」無線が入ると俺はすぐ反対方向に体を向けた。一つ隣の道路から行く。そして手前の曲がり角で待機。

「有山」小声で名を呼ぶ。もちろん走って有山のほうへ行ってからである。「西に一つ隣の道路。俺は東から行く。両脇から挟み込む」そう言って俺は走り出す。「本部、何人?服装は?」そう聞く。もちろんだがお互いで無線のやり取りは可能だ。だが必ず回数を減らして、重要なことだけを聞く。という条件だ。「目標は三人。真ん中の者が目標dを持っている服装は全員黒。スーツ姿だサングラスをかけている。全員だ」なるほど。スーツにサングラス人相悪いな。わかりやすいっての。どうやらほかの場所では取引はなかったらしい。エアガンは右の胸ポケット。ナイフは腰内。OK。ここらへんでいいか。ちょうど正面に道路を挟んで有山がいる。暴力団三人が歩いてきたところを俺が右から、有山が左から挟み込んで回収する。全員身を引き取り、そのまま警察にひきわたし、と。本部からは俺らの位置をgpsを通していつでも確認できる。だから相互で情報を交換し合って目標の位置を把握し、死角で待っているやつに隊民が来たら突撃指令を出すという感じだ。目標の死角に隠れていれば、自分たちからの死角に目標にいることになるため、目標がどこまで近づているのか把握できないからである。

 「突撃指令、あと十五メーター、十、五……」近い位置からカウントが始まった。向かいの有山がいるかもう一度確認する。上等だ。


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