あなたと沈む、深く、深く蒼い海底
なななんさま主催の「夏の涼」企画への参加作品です。
テーマは『涼』ですが、通り越して寒いかも。
ゆらり、ゆらり。
白と水色、不規則に揺れる水面。
差し込む光がカーテンのように魚や岩を照らす。
それもゆっくりと遠ざかり蒼が濃くなってゆく。
ゆらり、ゆらり。
長い髪が視界に揺れる。
うねる毛先が名残惜しそうに上を向いている。
周囲の暗さが増し光は遥かなる頭上へと去っていく。
ゆらり、ゆらり。
腕の中には水の温度と変わらない体。
力ない手足が遅れて付いてくる。
もう目を開くことのない抜け殻を抱えて沈む。
ゆらり、ゆらり。
やがて頭と背中へ小さな衝撃。
ゆるりと素足が砂に食い込む。
嗚呼。あなたと横たわる褥は光射さぬ深淵。
ゆらり、ゆらり。
深海の生き物に喰われて分解され。
私たち二人ぐずぐずに溶け合う。
誰にも邪魔されることのない永遠の園で。
今度こそ結ばれましょう。