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わすれもの
(天理さんから頂いた単語で)
ダメだよ、と注意された
大変なことになるかも知れないよ、と
特別困った経験もなく
下らないお小言だと流していた
多分あの時
きちんと認識を変えるべきだったんだろう
ウソみたいに抜けていく大切な約束
雲のように消えていく大切な感情
後ろを振り返っても
元あった場所に探し物は見当たらないし
信じていた瞬間にその人はココに居ない
いったい私は何を忘れたの
残った欠片がくれるヒントは
果てしなく正解に遠いようで
でも私一人の力じゃムリ
理由なく積み上がった日々の中から
ライトもないのに
滲む視界でソレを探す
擦り切れそうな気力と
途切れそうな記憶の糸
徒労にはしたくない
いつか見つかるはず
ずきりと胸の奥が痛んだのは
母の言葉を思い出したからだ
忘れたのは物ですか、言葉ですか、人ですか




