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稲穂
(涼葉さんから頂いた単語で)
両手を広げたくなるような大地
力強さに圧倒されて涙が出そう
浮き沈み重ねる無数の黄金色は
初めからこんな立派じゃなかった
台風に見舞われる日もあったろう
雨量が足りなくて枯れそうにもなった
多分奇跡が連続していたんだ
だからその実は一粒一粒が重たく
首が曲がって風に揺れるのは
走り続けてきた命の証
瞬間を愛せ
迫っているのだ 今この時も
脆さを認めよ
よじ登る根気を持つ者も
元は小さな一つの細胞
植えられた時から戦っている私たち
ちょっと深呼吸してごらん この通り




