コミュニケーション
第九章・・・コミュニケーション
転校性・・・意味無くまわりに人があるまる。
ユウサクは自信転校は初めてではなかったが、それにしてもこんなに自分に人が寄ってきた経験はなかった。(結局関西人というのが理由のようだったが)みんないった「なんか喋れ!」「なんかってなんや?」
・・・・・
「すげーっ!大阪弁!」「・・・・」(あたりまえやん・・・)
そんな事の繰り返しも一週間もあれば終わった。ユウサクは自分とみんなの方言の違いに辟易していた。
ある日昼休みにクラスの男子がドッジボールをしていた。
ユウサクは仲間に入りたくて「※なあ寄せて!」(仲間に入れて)
と近付いて行った。
「なんや?お前※かたりたいとや?」(同じく仲間に入る事)
ユウサクにはこう聞こえた「語りたい?」(話したい?)
だからこう答える「いいや別に語らへんけど?」(話す事ないよ)
「かたらんなら邪魔やけん、向こうに行け!」
(なんや?意味判らへん・・・)言葉の意味を理解したのは2日後だった。
またある日の事友達から電話があった。
「いまから遊ぶや?」「ええよ!どこであそぶん?」
「なら・・・いまからお前んち※来るけん」(お前の家に行くから!)
「えッ俺がいくんか?」
「はあ?俺がそっちに来るけん!」(そっちに行くから)
「・・・・・・?」
「わかったとや?」「も一回きくで?こっちに来るんやな?」
「おう!そうたい!何回もききやんな※しゃーしかね」(めんどくさいなぁ)
「しゃーしーってなんや?」「しゃーしーはしゃーしーたい!」
万事この調子である。友達とコミュニケーションが完璧にとれるようになるまで数か月を要した。
ユウサクがすんでいる地域はいわゆるベットタウンで人口密度が高く、同じ町内でも細かく区域わけされていて、ソフトボールのチームもいくつかに分かれていた。同じ区域のクラスメートから「ユウサク?ソフト入るっちゃろ?」と聞かれ、それぞれのチームを聞いてみた。
例の3人組山口、田村、穂波はそろって隣の区域のチームで、ユウサクとは別だった。(なーんや・・・しょうもな。)それでもほとんどの子供が参加しているので急かされていってはみたものの・・・
ユウサクも大阪ではソフトには入っていた。レギュラーではなかったが(ユウサクは守備が下手だった。)バッティングは評価されていたので必ずここぞという時には代打で出場し、よく打った。
だが、ユウサクが入ったチームは(人数が多い事もあり)5、6年生がレギュラーで決定していて、4年生は監督の息子だけがレギュラーになっていた。(そんなにうまくも見えなかったのだが)あとは球拾いに決まっていて・・・初顔のユウサクに監督はいきなり激しいノックを10球ほど打ち込んで「駄目やな!お前は球拾いとランニングだけしとけ!」と言い放った。何となく納得がいかない(打たせてくれへんのかな?)見せ場がほしいユウサクは「打たせてもらってもいいですか?」と監督におずおず訴えた。聞こえないのか返事がない。それでもじっと返事をまつユウサクをしばらく無視していた監督は、動かないユウサクの方を向いて「俺の言う事がきけんならもう帰れ!」と怒鳴った。
チャンスも貰えず、どなられて納得できないながらも、その場は思いとどまって球拾いをこなしたユウサクだったが・・・
ソフトボールには二度といかなかった。