友達
なかなか進まないかもしれません。
第八章・・・友達
二度目の転校をして福岡に来た時ユウサクは10才四年生がもうすぐ終わる、という頃だった。
母よしこはひできとの二人目の子供となる男の子を出産していて子育てに忙しい毎日を送っていた。2人目の弟(戸籍上は二男)ひでおである。
引っ越しが終わってのユウサクの感想は(めっちゃ広い家や。父さん社長になったんかなぁ・・・)間取りは平屋の4DK、庭こそ広かったが神戸、大阪あたりで育ったユウサクの感覚では、
庭付き一戸建て=社長・・・というイメージができ上がっていた。
自分がこれからかよう小学校に、手続きもあり行ってみる。距離はバス停で5つ程・・・ユウサクの感覚ではとても子供が歩いて通う距離ではなかったが、みんな歩いて通っていると言う(嘘やん、とおぎる・・)とりあえずよしことともに歩いて行ってみる。30分かかった。
昼はとっくに過ぎてから家をでたので、あらかた授業は終わっていた。ホームルームを待って教室に案内され先生の提案でユウサクの自己紹介の後、全員から自己紹介を受けた。(あまり人に興味がなかったのであまり聞いていなかったが・・・)一緒に帰ろうというクラスメイトの誘いを断り、ユウサクは先に帰った母よしこにもらった金でバスに乗って帰った。
次の日、外は大雪。あまりの寒さに「今日は行きたない・・・」とごねてみるも、よしこに通用する訳もなく追い出されるように自宅をでる。
コーデュロイ(当時はコールテンといってました。)の長ズボンにトレーナー、スタジャンを着込み手袋。完全防備で歩いていると、まわりにおそらく同じ小学校に登校するのだろう子供たちが歩いていたが、みんなユウサクを面白い物でも見るようににやにや笑いながら見ている。
それもそのはず、季節感がずれているのである。全員が半ズボン、しかもジャンパーを着ている子自体少なく、中には半そでTシャツ一枚や、ランニング一枚の子までいる。(こいつら頭おかしいんちゃうか?寒ないんやろか?)ユウサクはそう思った。
すると前から3人組の(やはり半ズボンの)男の子がやってきた。
「おお、おはよお!」「・・・」恐らくクラスメイトであろう人物にユウサクは返事が出来ないでいた(あかん、ぜんぜん覚えてへん)
「なんやぁ、きさん!むかえにきてやったっつぇ!おはようぐらい言わんや!」
なんと挑発的な言葉だろう・・・ユウサクはそう思っていた。
「ああ、ごめんな、ええっと・・・だれやったかわすれてもてん、名前教えてくれへん?・・・ああ、おはよう」
ああ、そういいいながら、大、中、小(身体のサイズがまさにそうだった。)はそれぞれ山口、田村、穂波と名乗った。
それからいろんな話をしながら学校まで歩いた。半ズボンの話も聞いてみたが、学校が「元気な児童」を奨励していて、半ズボンや半そでで一年通して通学すると、終業式などで「表彰」されるという事だった。
(あほらし・・・ぜったいせえへんわ。)そう思ったユウサクだが、クラスメイトに「大阪人は寒がり!」などと揶揄されてしまい、自然と半ズボンを履くようになった。(もちろんジャンパーは脱がなかったが)
そしてそれから学年が変わるまでこの4人は登下校も日曜日もいつも一緒だった。
思えばユウサクが「友達」というものを自宅に招いたのもこの3人が初めてで、いうなれば「生まれて初めての友達」である。
つづく
どう繋げていくか(若ものになるまで)考えどころです。(笑)