彼女のケツの穴
うちの彼女のケツの穴は喋る。
ケツの穴が喋る女は初めてだ。
ある日、プニプニとしたグミみたいなそいつにツンツンしながら話しかけてみた時の事
「お前は本当にくしゃいな~」
甲高い声で「くしゃくないじょ?」
「あれ?お前喋るんかぁ」
コイツの名前は『あながち』
あながち間違いではない、俺が会話の中であながちと言う言葉を使った時の事
彼女が「あながちって言葉、ケツの穴みたいだよね!」
閃いたように言った。
「だって、ガチで穴だよ」
それからコイツの名前はあながちになった。
彼女がどんなに怒っていてもあながちだけは、優しく答えてくれる。
彼女の気分がまるで天気のようにコロコロ変わり、喧嘩が絶えない。
俺はまたあながちに話しかける。
「ご主人様すぐ怒るからお前も大変やなぁ~」
「あながち大変よ…やからグーっと我慢して、こんなスッパイ顔になってしもた。」
そうだったのか、ケツの穴の形の由来。
こいつらは常に歯を食いしばって頑張ってる。
生理の日は少し反応が遅れる。
あながちに話しかけても返事がない。
「あながち?」
「どしたん?」
「血の海で溺れたんか?」
しつこい俺に彼女が少しイラっとし、「あながち死んだんよ。ナプキンで窒息死。」
「いやぁぁぁ!あながち殺さんで!俺の親友なのに!」
少し経って反応があった。
甲高い声で「…なんだね?」
「随分上からやなぁ(笑)」少し嬉しくなる。
ケツの穴のくせにお高くとまってる。
彼女は渋々、あながちを登場させた。
「あながちもうお別れかな?誕生日来たら」
冗談で俺が言う。
「そうだね、もういい歳で(笑)」
俺らはオッサン、オバサンになってもこんなアホらしい会話をしてるなんて到底誰にも言えない。