知っていく。太田海編1-5
凄く中途半端な更新なんですけど、この日、今日更新したという非リアの証を遺しておきたかったのです――
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日を追うにつれ、地表と空の間の空間が広がっているような気がした。ぽっかりと浮いている雲も、以前より地上と間隔を開けているように見える。
手を伸ばしても、何も掴めそうにはない。若干センチメンタルなことを考えながら、秋風を縫うようにして俺は歩いていた。遠野さんと出掛けるために、俺は歩いている。
それにしても寒い。上着を羽織ってきたけど、それでも風は冷たい。
指定していた場所――駅前まではもうすぐだ。立ち並ぶビルを過ぎ、ガソリンスタンドを抜け、交通量の多い交差点の向こう側に駐車場がある。遠野さんが到着しているのであれば、そこに彼女の車が駐まっているはずだ。もう居るだろうかと思いながら駐車場を見渡すと、何度か乗せて貰った遠野さんの車があった。
目を凝らしながら遠野さんを見遣ると、運転席に座っている彼女はぽうっとどこかを見ていた。遠い目をして、何かを考えている様子だった。
俺のこと、気付くかな。
自分の位置を調整し、遠野さんの視界の真正面に入るようにした。行動的には馬鹿みたいだけど、想い人が自分の存在に気付いてくれるってのは、それだけで嬉しいんだ。
視線が合うと、遠野さんは小さく笑った。ほら、やっぱりそれだけで俺が嬉しくなる。
俺がつられて笑みをこぼすと、遠野さんはドアを開けた。
「いつもそんなふうに歩いてるの? なんだか不審者みたいだよ?」
初っ端から俺にダメージを与えたいのだろうか。先制パンチみたいな。
「酷い挨拶ですね……」
「冗談だよ。それにしても今日は寒かったでしょ。大丈夫?」
秋らしいシックな装いをした遠野さんが俺にそう言葉を掛け、車に乗るように促した。
助手席に乗り込んだ俺は脱いだ上着を膝の上に乗せながら、今日はマジで寒いですと呟いた。軽く腕を擦っていると、遠野さんは苦笑しながら暖房を付けた。
暖かーい……。
「暖かーい……」
「なーんか海君っておじさんみたいだよねえ」
「えっ」
気付かぬ内に心の声が漏れていたようで、再び遠野さんに苦笑された。
「……っていうか、ホント近くまで迎えに行っても良かったのに」
遠野さん的には、俺の家の近所にあるコンビニ――初めて彼女と出会った場所――で待ち合わせをしたかったらしいが、誰かに見られていそうで怖いし、何より自宅が近いということに嫌悪感を覚えた俺が拒否したのだ。
だって、きっと誰から見たって俺の自宅はおかしいんだ。まるで生活感のない、カーテンの閉じたボロボロのアパート。幾ら自宅の近所だからって、待ち合わせをした遠野さんが俺の家を覗くことなんてない。そんなことは分かっているけど、でもだけどもし、もし仮に自宅を見られてしまったら、何か思われるのではないだろうかと不安になる。
『海は……重いよ。面倒臭いよ』
いつか由宇に言われた言葉が、脳内でリフレインする。




