表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の、おはなし。  作者: 白黒音夢
知っていく。
22/25

知っていく。太田海編1-5

凄く中途半端な更新なんですけど、この日、今日更新したという非リアの証を遺しておきたかったのです――




 ☆


 日を追うにつれ、地表と空の間の空間が広がっているような気がした。ぽっかりと浮いている雲も、以前より地上と間隔を開けているように見える。

 手を伸ばしても、何も掴めそうにはない。若干センチメンタルなことを考えながら、秋風を縫うようにして俺は歩いていた。遠野さんと出掛けるために、俺は歩いている。

 それにしても寒い。上着を羽織ってきたけど、それでも風は冷たい。

 指定していた場所――駅前まではもうすぐだ。立ち並ぶビルを過ぎ、ガソリンスタンドを抜け、交通量の多い交差点の向こう側に駐車場がある。遠野さんが到着しているのであれば、そこに彼女の車が駐まっているはずだ。もう居るだろうかと思いながら駐車場を見渡すと、何度か乗せて貰った遠野さんの車があった。

 目を凝らしながら遠野さんを見遣ると、運転席に座っている彼女はぽうっとどこかを見ていた。遠い目をして、何かを考えている様子だった。

 俺のこと、気付くかな。

 自分の位置を調整し、遠野さんの視界の真正面に入るようにした。行動的には馬鹿みたいだけど、想い人が自分の存在に気付いてくれるってのは、それだけで嬉しいんだ。

 視線が合うと、遠野さんは小さく笑った。ほら、やっぱりそれだけで俺が嬉しくなる。

 俺がつられて笑みをこぼすと、遠野さんはドアを開けた。


「いつもそんなふうに歩いてるの? なんだか不審者みたいだよ?」


 初っ端から俺にダメージを与えたいのだろうか。先制パンチみたいな。


「酷い挨拶ですね……」

「冗談だよ。それにしても今日は寒かったでしょ。大丈夫?」


 秋らしいシックな装いをした遠野さんが俺にそう言葉を掛け、車に乗るように促した。

 助手席に乗り込んだ俺は脱いだ上着を膝の上に乗せながら、今日はマジで寒いですと呟いた。軽く腕を擦っていると、遠野さんは苦笑しながら暖房を付けた。

 暖かーい……。


「暖かーい……」

「なーんか海君っておじさんみたいだよねえ」

「えっ」


 気付かぬ内に心の声が漏れていたようで、再び遠野さんに苦笑された。


「……っていうか、ホント近くまで迎えに行っても良かったのに」


 遠野さん的には、俺の家の近所にあるコンビニ――初めて彼女と出会った場所――で待ち合わせをしたかったらしいが、誰かに見られていそうで怖いし、何より自宅が近いということに嫌悪感を覚えた俺が拒否したのだ。

 だって、きっと誰から見たって俺の自宅はおかしいんだ。まるで生活感のない、カーテンの閉じたボロボロのアパート。幾ら自宅の近所だからって、待ち合わせをした遠野さんが俺の家を覗くことなんてない。そんなことは分かっているけど、でもだけどもし、もし仮に自宅を見られてしまったら、何か思われるのではないだろうかと不安になる。


『海は……重いよ。面倒臭いよ』


 いつか由宇に言われた言葉が、脳内でリフレインする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ