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第四話 衝突?

1923年9月1日1650時 東京・特派第901歩兵大隊指揮テント


 救助開始から約三時間後ようやく救援に駆けつけた軍と歩兵の一部部隊が膠着状態になっていた。


 旧帝国陸軍第四師団隷下第六歩兵大隊と特派901歩兵大隊(初島基地所属)がテントの前で睨みあい、お互いに緊張だった。まだ、武力衝突にはなっていないのが幸いかも知れない。


一応、このテント内で両部隊の大隊長同士で話し合っていたが。未だに旧軍側の大隊長の中佐が指揮系統の一元化を求めて、階級が上である剣崎誠大佐(901歩兵大隊長)に対して一方的に言うため埒が明かなかった。

理由として、斯衛軍にはそのような部隊・人員が存在しないこと、今回の震災において勅命により第四師団司令部が関東近県の治安維持・救助活動などの指示を一任されていること、が挙げられた。


剣崎も一方的に言われるつもりは無く。「我々は軍との指揮系統が独立している為、上官の許可が無ければそちらの指揮下に入る事が出来ないので話は上官を通してからお願いします。

これから呼び出しますのでしばしお待ちを・・・。」と言って剣崎は現地部隊への対応で言われていたこと・・・この特派救援部隊の最高責任者である広和を呼ぶ事・・・を通信兵に命令していた。

 そして、通信兵から広和が来るまでに20分ほど掛かる事を相手に伝えて広和の到着を待っていたのだった。







「貴官の上官はまだ来ないのか!約束の20分など当に過ぎたぞ!」


「もう直ぐ来られますのでお待ちください。」


「そのもう直ぐといって何度も聞かされている身にもなってみろ!もし貴官が言っていた事が嘘だった場合、この場で貴様らの部下ごと葬ってやる!」


 中佐は得体の知れない者・・・自ら斯衛軍大佐という男・・・に対して鬱憤を晴らすように怒声を浴びせるが・・・それに剣崎大佐は落ち着いて・・・と言うよりは呆れたように・・・


「ええ、それでも構いませんから落ち着いてください。」




 剣崎は相手の剣幕に疲れながらも落ち着かせるように言う。・・・・が。




「ええい!何故、貴様のような若造になだめられねばならんのだ!もう、我慢ならん!この場で切り捨ててやる。」


 旧軍中佐の言う通り見た目、20代ぐらいに見える剣崎大佐は若造だろうが、実際は50代後半を過ぎている(見た目以上に落ち着いているのはその為だ。)。


しかし、完全に目が逝っている旧軍中佐は腰にさしていた日本刀に手をかけた。

 流石に小言を言われ続けた剣崎を怒らせるのには十分だったが・・・ドン!!と何か巨大なものが近くに落ちる音がした。


 その音に中佐は驚いていたが剣崎はもうこれ以上小言を言われないで済むと思い安心していた。


「お待たせいたしました。本官の上官がお見えになりました。」


 剣崎の言葉共に側にいた安堵した副官が、テントの入り口に向かい上官を迎え入れた。


 同時に外では旧軍の兵士たちが上空から現われた巨人に驚き、ほぼ全員が腰を抜かしていた事を明記しておく。




そして、一人の青年がテントに入ってきた。


背は完全に日本人離れして2m近くあるように見受けられたが顔は日本人の顔だった。


「すまない。遅くなった剣崎大佐。」

「いえ、ちょうど良いタイミングでした閣下。」


 そう言ってテントに入って来たのは傍から見れば可笑しな服(衛士強化装備の事)を着た18歳位の男・・・広和だった。しかし、その姿を見た旧軍大佐は笑い始めた。


「・・・クククク、ハハハハ、ふざけるな!!何が大将か!たかが小僧ではないか!貴様らの戯言など聞き飽きたわ!

神であらせられる天皇陛下の神軍である皇軍を語るとは不届き千万!

このわし自ら成b「おい!」な・な、な、なんだ貴様!「・・・黙れ!」ヒィ!!」


 高説を語っていた大佐に切れた大将・・・、いや、広和は黒いオーラと凄まじい殺気を出しながら大佐を黙らせる。


「・・・・・言っておくが。俺はこれでも五十数年を生きているんだ。人を見た目で判断してんじゃあねぇ。

それにこっちの剣崎大佐も俺と同じ年数を生きている。今度、貴様らが俺の部下達を馬鹿にするようであれば誰であろうと・・・殺す!!」


「ヒィイ!!」


 広和の怒気と殺気にやられたのか大佐は腰を抜かしてしまった。それを見た広和は・・。


「ほう。・・・これだけの殺気と怒気に当てられて気絶しないとは以外にも中々の胆力を持っているみたいだな。」


「そうですね。閣下。」


「あ・・あ・ああ、ああ・・。」


 少し驚いた様子で剣崎と笑っていた。しばらくして広和は中佐に手を貸して起こして席に座らせる。


「さて、落ち着いてきたところで自己紹介と行こうか。私がこの歩兵第901大隊を始めとする帝国軍特別派遣教導技術部隊・総隊長の崇宰広和斯衛軍大将だ。階級は他にも海軍大将、空軍中将も持っている。これでよろしいかな?大佐。」


「はっ、はい!さ、先程は失礼いたしました!!」


「いや、大佐。そこまで畏まらなくていいから。」


「いえ、閣下に・・しかも、あの(・・)五摂家の方に失礼な文言を吐いた本官のけじめであります。」


 中佐の毅然とした態度に広和も先程の失礼な態度も謝った事で許した。例えそれが見え透いた中佐の狸寝入りで有ってもだ。


「そうか、そうならば先程の事は許そう。・・・で貴官の名は?」


「私は大日本帝国軍第四師団隷下第三連隊第301大隊・大隊長、寺内寿一陸軍大佐であります!」


 姿勢を正して広和に相対して自分の所属と階級をいう寺内中佐。


「そうか。では、気を持ち直したところで話し合いと行こうか。」


『ハッ!』


 正気を戻した寺内と広和達は各部隊の配置と治安維持、食糧の配給などを話し合った。

さらに寺内中佐の名前で海軍・横須賀鎮守府宛に「今後の震災復興について重要な事を話したい為、会議を催す。そのため、明日二日正午に帝国軍第901大隊仮設司令部に将官数名、もしくは参謀数名を出席されたし」と電文を打たせた。また、陸軍・第二軍司令部(第四師団の上部組織)宛にも同じ文面の電文を送っている。



 その日は初めて見た巨人(戦術機)に旧軍の人達は驚いていたが、寺内の協力もあり被災者の救助はスムーズに行なわれた。




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