表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ソラクジラ

掲載日:2026/06/07

「おかーさん」


愛子がベランダの手すりに寄りかかり空を見上げながら呟く。


「ん?なぁに?」


「今日は来ないのかなぁ」


「そういえば、遅いわね」


洗濯物をたたむ手を止め、窓の外へ目をやる。

空にはすでに茜色が差している。


そのとき。


「キューーィッ」


空いっぱいに響く鳴き声。


「あっ、来たっ」


山あいに浮かぶ雲の端から、一頭のクジラが顔を出した。

巨大な体で雲を押し広げながら、空を泳いでいる。


その後ろから次々に現れるクジラたち。


クジラの身体には様々な模様が映し出されている。

見慣れた町の明かり。

公園の風景。

あれは、懐かしい命の世界。


「おとーさん、見てるかな」


愛子が呟いた。


「キューーィッ」


茜色の空を泳ぐクジラが、また鳴いた。




**―追伸―**


黄昏。


ベランダでふと空を見上げる。


茜色の空に浮かぶ大きな雲。

あの子が好きだったクジラに似ている。


彼女たちは、少し先に行っただけなのだ。

何度そう思おうとしただろう。


「見ていますか」


空に浮かぶ雲に呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ