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彼、彼女、古(いにしえ)の神と妹

彼の眉は剣のように凛として、浅黒い顔に刻まれた鼻筋はくっきりとしている。ここまでなら、悪くない、美少年と言える顔だ……


だが、普段から人との交流を怠る彼の様子は、明らかに彼と世界が独立していることを示唆している……


私はこう考える、こんな人物に世界を救う責任感など微塵もない、故に山崎青葉への観察の打ち切りを申請する。


「却下」

「却下」

「却下」

……

やはり「却下」


私はパソコンの画面に表示された大きな「却下」の二文字を見つめ、地球防衛隊本部の決定について再考し始めた。


高校生に世界救済を期待するなんて、無責任な大人たちが子供に巨大ロボットを操縢させて怪物と戦わせるあのアニメと同じだ。


まったく、とんでもない話だ。


私は組織から渡された資料を見返し始めた。正直言って、こんな任務を引き受けるのは気が進まない。


一介の高校生を監視するために、地球防衛隊に属する二人のエリートを配するなんて、まったく意味がわからない。


私は特に高校の担任教師という仕事が嫌いだ。


なぜもう一人の同志の仕事は、街角のこぢんまりとしたベーカリーのパティシエなんだ!


毎日売り上げは振るわず、焼いたクッキーやケーキは自分で食べるだけ!


それに、私の彼氏という役まで与えられて、共同監視だなんて、ひどすぎる!


私をケーキ食べ役に、彼を担任にすれば良かったのに。


そうじゃないか?


女の子にとってスイーツには以下の三大法則がある:


女の子はスイーツにまったく抵抗力がない(つまり女子はスイーツを拒否しない)。


女の子はスイーツ及びそれに類する食品を食べる時、別腹が用意される。


いかなるスイーツも女の子にとってはカロリーゼロである(甘い物を摂取しても太らない)。


以上。


「よう、何してるんだ?」


嫌な声が背後から響いた。


振り返ると、笑顔を浮かべた顔が目に入った。その剛毅で、四角張り、ひげの跡が残る風貌には似つかわしくない笑顔だ。


「おお、スイーツ論文を書いてるのか?わあ、これが女とスイーツの三公理か?」


目の前の奴が画面に近づいた。


「ええ、そうよ。もし誰かさんが来なければもっと良かったのに、明明締め切りが迫ってるっていうのに」


私は不機嫌そうに答えた。


「それで、アパートの鍵はどこで手に入れたの?」


「初めてここに来た時に合鍵を作ったんだ」


彼は一息つき、深く息を吸い、少し低めの声で言った。


「使うのは初めてだよ」


「きしょく悪い。吐き気がする」


眼前の人物は、私と共に監視任務を担当する賢治だった。


「美里、まだあの子への監視打ち切りを組織に申請するの諦めてないのか?」


「……」


「なぜ黙る? そういえば俺、元カレだったよな?」


「元カレにそんなに冷たいのか?」


「で? 何が言いたいの? 私は毎日、頭が筋肉だらけのゴリラにストーカーされてるんだから!」


「それは美里ちゃんが魅力的って証拠だよ。ねえ、俺もちょっと危機感を感じてるんだ、元カレとして…」


「もういいわ、用事があるなら早く言って。あなた、今日はただムシのいいところに来ただけじゃないでしょ」


「言ってよ、組織から何か伝言があったんでしょ、賢・治・長・官」


「怖いな」


彼は舌を出して、あかんべえをした。


「じゃあ、はっきり言うよ、〈古しき神〉が現れた」


「というか、とっくに現れていたが、我々が観測できたのは今になってから、だな」


「具体的な時期はおよそ五年前。我々がその子を観察し始めてから、まだ一年ちょっとだろ」


「ひょっとしたら、彼はとっくに…」


賢治は神秘的に首を切る仕草をした。


「そんな可能性が?」


思わず追及してしまった。


「今回は〈神〉は投影として降臨している。外見も振る舞いも、通常の人間と大差ない」


「さあな?」


「もしかしたら、美里ちゃん、俺が〈神〉って可能性だってないわけじゃない」


「もしそうなら、迷わずあなたを斬る」


「ええ、そんな残酷なこと言わないでよ」


「実は組織から試薬が渡されてるんだ。二人で同時に飲んで、唾液を交換すると、口の中がぼんやり青く光る方が〈神〉なんだ!」


「ふざけんな!」


私は本気の一撃を繰り出した。巻き起こした拳風は世界最大の台風タイフォンよりも激しく、寸分の狂いもなく彼の背中に命中した…


隅っこで、忘れ去られた一つのファイルが静かに横たわっていた。


「氏名:山崎青葉」

「性別:男」

「年齢:16」

……

「家族状況:一人っ子、幼少期に父を失う、その他は不明」


Main Side:山崎青葉


今、妹と過ごす此刻以上に楽しいことがあるとすれば、それはきっと次の瞬間だけだろう。


自画自賛じゃないが、俺の妹の魅力は指数関数的だ。上昇あるのみ。


皆さんも生物の教科書で習った、個体群の成長曲線の概念はご存じだろう(個体群の成長速度を表す曲線)。


まさにJ字カーブそのものだ(食物、空間が豊富で天敵もいない理想的な条件下で、個体群数が一定の倍数で連続的に増加することを示す)。


俺はつい、俺の完璧な妹が細胞分裂のように、本体と寸分たがわない無数の完璧な個体に分かれ、そして地球を占領する光景まで幻想してしまった。


もし誰かが彼女の意思に逆らおうものなら、いや、彼女のあのいじらしく可憐な様子の前で、一分だって持ちこたえられる者はいないだろう。


もしかしたらその時には、わざと反乱を起こして、妹女帝の罰を受けようとする者さえ現れるかもしれない。


まるで今朝、彼女がぼんやりとして十数枚のトーストを焼き、そしてもうろうとした目で俺を見つめ、「全部食べたらご褒美、食べ残したら罰」と言わんばかりのあの様子のように。


明明どちらも素晴らしいというのに。前回どちらも素晴らしい「棒」って何だっけ?


考えているうちに、突然身震いがした。


どうやら何か良くないものらしい。もう考えないでおこう。


「つまんないな」


独り言をつぶやきながら書斎に入り、棚から一冊の本を手に取って読み始めた。


『沈める滝』という題の本で、作者は三島由紀夫。


愛無能力者と、もう一人の性無能力者との間の物語らしい。多分。


私は、作者がこの本を書く前に結婚もしていなければ、あの方面的な経験もなかったと断定した。


そこで、検索エンジンを開いた。


結果は私の予想を見事に裏付けた。本は1955年に書かれ、作者は1958年に結婚している。


私はこんな風に小説の世界に浸って午後を過ごし、父が食事に呼びに来るまでだった。


「妹は出かけている。君と二人で話がしたい」


父は珍しく、比較的厳しい口調で私にそう言った。


「何の話だ?」


「ヴィーナスの誕生についてだ。いや、クロノスの父殺しの話し方の方が馴染みがあるか…」


眼前の男の、無比に冷たい眼差しは、空気さえも凍りつかせそうだった。



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