夏休みの思い出
「ごめん、遅れた」
「早くしろ、置いて行くぞ」
僕たちはこれから夜の学校に忍び込み、肝試しを兼ねて学校の七不思議を実証しようと冒険に出掛けるところである。
メンバーは、小学生最後の夏休みの思い出づくりとして夜の学校の冒険を提案した僕、こういう事には直ぐ身を乗り出してきて最初に賛成した晃将、怖がりの癖に晃将に誘われると断れない陸。
図書館で計画を3人で練っていたときに計画を聞かれてしまい、告げ口されたくなければ参加させるように談判してきたお転婆な双子の女の子、由美と由希。
2人といつも一緒にいる茜さん、彼女の参加は彼女が好きな僕としてはラッキーだ。
この総勢6人が冒険隊のメンバー。
「行く前に皆んな何を持って来たか確認しておいた方が良いんじゃ無いの?」
って茜さんが意見を述べたので僕は賛同する。
「そうだな、一応確認しておこうぜ。
僕は懐中電灯と冷蔵庫の中にあった茹でトウモロコシ、それと何か怖いことあると困るから兄貴のキャンプ用品からサバイバルナイフを失敬して来た」
続いて晃将がカバンの中を見ながら持って来た物を言う。
「俺も懐中電灯と親父が昔買ったらしいけど全然使って無い、折りたたみスコップとバール」
晃将な続いて陸がリュクザックの中を覗きながら言う。
「えーと、僕は、お父さんのジッポーライターとコーラとお菓子、アレ?」
「どうした?」
「ポテトチップスは良いんだけど、間違えてタマのカリカリも持って来ちゃった」
「「私たちは夜食のオニギリとお茶のペットボトル、それからスタンガンと警棒を持って来たわ」」
「私は何を持ってくれば良いか分からなかったから取り敢えず、懐中電灯とライターと果物ナイフとバナナ」
「何だよ皆んな食べ物持って来てるんだな? 俺も何か持ってくれば良かったかな?」
「大丈夫だろ、帰るのが遅くなって朝になっちゃったら食べようと思って持って来ただけだからな。
それにそん時は分けてやるから」
「頼む」
「それじゃ行こうぜ」
「「「「「オウ」」」」」
学校の正門前に集合していた僕たちは周りを見渡して誰にも見られていない事を確認、それから門を乗り越える。
この冒険が一晩だけで済まず一夏中の冒険旅行になるなんてその時は思いもせずに、僕たちは校舎に近づき鍵が壊れている窓から学校の中に侵入した。