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帝国の歴史書の或る説話に関する項目〜歌劇『トゥーランドット』より〜

むかしむかし、人は龍と共に暮らしていました。

長生きで知恵があり、何事にも動じない彼らは、人間を見守りみちびく事を生きる喜びとしていました。


人間の王にも、「金色の龍」が助けてやりました。

しかし欲望に負けた人間により、龍と国は何度も滅んでしまいました。


しかし「金色の龍」は、死ぬ前に人に隠れて暮らす金色の龍の仲間たちにお願いしていました。

「自分に何かあれば、代わりに人間を助けてやってほしい」と。




時は流れて、百年程前のこと。


隣りあう草原の民や、砂漠の民の攻撃に滅んだ王国を退しりぞけ、金龍の力を持つ国を、帝国としてよみがえらせた者がいました。

彼もまた、歴代の王と同じように龍の力を借りたと言い、かつての宮殿に眠る「金色の龍」を大切にまつりました。


そのおかげで、彼の美貌びぼうの娘は、「金色の龍」の加護をたくさん授けられました。

でもその娘──ドゥ王朝の蘭朵ランドゥオ公主ひめは、加護を受け止めるには心身が弱く、激しい気性の持ち主に育ちました。


それでも美しい公主ひめに、皆が心を奪われました。

彼女は「金色の龍」にまつわる謎かけをし、答えられなければ「龍の発作」を受けて殺されました。


強大な砂漠の民の王子も、彼女に一目れした結果、謎かけに答えられず、美しい月夜に「龍の発作」を受け止めて命を落としました。

帝国に敗れて身を隠していた、草原の民の王族の一人── 阿勒赤アルチィ族の哈剌ハーラァもまた、その「発作」を目の当たりにして運命を感じ、求婚する事を決めました。


そして、砂漠の民の王子と同じく、謎かけにいどみます。


「一つ目の問い。この世で最も尊い、金色に輝く心臓の名は?」

「大地の龍珠りゅうじゅ!」


「!……二つ目の問い。墓場に眠る、足の無い怪物の名は?」

破邪はじゃの剣!」


「……三つ目の問い!常にそばにいるが、目に見えない巨大な命の名は?」

「金色の龍!」


公主ひめの謎かけを、すいすいと解いていく哈剌ハーラァ

己の運命を恐れた公主ひめはついに、結婚を恐れて父である阿頓アードゥン帝に、結婚を無効にするようこいねがいます。


しかし、阿頓アードゥン帝は首を横に振ります。


「謎かけに答えられる者は、龍のみちびきによりいつかやってくる運命であった。そしてそれが、今だっただけだ。契約にはそむけぬ、あきらめよ!」


おびえる公主ひめに、哈剌ハーラァは優しく言います。


「この国で、私の名を知る者はいないはず。もし公主ひめが、明日の夜明けまでに私の名を知ってくれたならば、私は喜んでこの首をき切ろう」


動揺どうようし、運命を恐れた公主ひめは、哈剌ハーラァの申し出を聞くや否や、都中に急ぎれを出しました。


「今夜は、誰も眠ってはならぬ。夜が明ける前に、の新たな求婚者の名を調べ上げる事ができなければ、市中の者全員を死刑とする!ゆけ!」


恐れる公主ひめに対し、哈剌ハーラァは変わらず愛を歌います。


「強き帝国の公主ひめよ!今夜、冷たい部屋で不安に眠れぬ可愛い女性ひとよ!私は、日月の精霊とくろ瑞獣ずいじゅう族霊(オンゴン)に持つ。きっと夜明けには、新しい太陽がのぼるのを、貴女と共に見ていると信じよう!」


しかし公主ひめは、帝国に身をひそめていた哈剌ハーラァの父を見つけ出し、哈剌ハーラァの名前を吐き出すように迫りました。

状況をさとった彼は、息子の事を想ってうたい、止める間も無く自害してしまいました。


公主ひめ達が彼の遺体を探ると、見知った印章が出てきました。

そこで、公主ひめは親子の正体を知ったのです。


父の死を知り、悲しむ哈剌ハーラァ

公主ひめも親子の愛に胸を打たれ、後悔して涙を流します。


情け深い哈剌ハーラァ公主ひめの心を包んでやわらげたので、公主ひめは強力な「龍の加護」を操れるようになりました。

その後女帝となった公主ひめは、哈剌ハーラァに胸をあずけて帝国を治めるのでありました。




めでたし、めでたし。

過去にさわりだけ書いた、ファイアーエムブレムを参考にした中華系ファンタジーです。

明日21時に続きを更新します。

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