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中二病JK,異世界転生で更に悪化する!  作者: 北のシロクマ
第3章 ダンジョンマスター
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サードバトル

『さ~てさてさて、ダンジョンバトルもいよいよ大詰め。このバトルで最後となりま~す! いや~楽しみですね~、ミラとかいうクソガキが半べそかいて震えてる姿が目に浮かびますよ~!』

『黙りなさいインチキ獣女! アンタが忖度(そんたく)したからこうなったよの! このバトルが終わったら邪神にクレーム出してやるわ!』

『そ、それは卑怯ですよ? というかあまりレグリアス様を刺激しないでください。邪神だけあって怒らせたら怖いんですから』

『フ~ンだ! さっさと粛清されちゃちなさい、ベロベロベ~だ!』

『ク、クゥゥゥゥ!』

『ウグググググ!』


 コヤツらバトルが進む度にドンドン険悪になっていくな。揃いも揃ってバカな連中だ。(←主にお前のせいだがな)


『どうでもいいが早く始めてくれ。雑魚ばかりが相手ではまったくもって物足りん』

『それは同感。VSモンスターで直接対決と行こうじゃない』

『おお~ぅ、お2人ともやる気充分でいらっしゃるようで。では先鋒の選手はダンジョンの入口を潜ってください。特設ステージへと繋がってますので』


 言われた通りにダンジョンの入口を出ていく。すると燦々(さんさん)と降り注ぐ太陽の光の下、古めかしい石造りのステージへと転移した。周囲の観客席ではホログラムと化したギャラリーたちがステージに注目している。


「さぁ、相手は誰だ? どこからでも掛かってくるがいい」


 初手は私だ。本当はフロウスが出る予定だったのだがな。待ちきれなくて代わってもらったのだよ。


『フフン、いい度胸ね。だけど直ぐに後悔することになるわ。何せ私の眷属の中では一番の実力者なんだから』


 一番だと!?


「フハハハハ! それは良い、実に良いぞ。此度の戦闘に勝てば貴様に勝ち目はないという事だな!」

『ええ、そうね。彼に勝てればの話だけれど。何せそっちのサキュバスを倒しちゃうくらい強いんだから』


 なるほど、メディスを倒した奴か。それも男ときた。男の身でありながらサキュバスの誘惑に耐えたのだ、弱いはずがない。フフ、武者震いがしてきたぞ。



 ビュゥゥゥゥゥゥ!



「ん? 空気を切り裂くような風……」

「その通り。ボクの力を持ってすれば、空間を壊すなど造作もないことなのでね」



 シュタ!



 私の数メートル前にローブ姿の青年が降り立つ。


「申し遅れましたが、ボクの名前はブラッシュ。破壊竜(ブラストドラゴン)のブラッシュで御座います。以後お見知り置きを」

「ブラストドラゴン……」


 授業で習った記憶がある。破壊するのを生き甲斐としている竜が存在するのだと。人や魔物を区別なく踏みにじり、街や城は容赦なく消し飛ばす存在。出現すれば国の危機とも言われており、国中の兵を動員しても勝つことは難しいと。


「しかしお前を見ていると、とてもそうは見えん。ここまで紳士的なブラストドラゴンが居るのか?」

「フッ、現に居るじゃありませんか、貴女の瞳の中に――ね」


 ん?


「レディをエスコートするのはジェントルマンの(たしな)みですからねぇ。どこからでも掛かってこいと仰られましたが、レディに対してそのような無礼はとてもとても。それよりどうです? バトルなんか放置して御一緒にお茶でも」

「……は?」

「ボクはね、レディに暴力を振りたくはないのですよ。そこで画期的な対決方法を思い付きました」

「……何だそれは?」

「飲み比べです。と言ってもお茶ではありませんよ? 酒です酒。どちらが先に倒れるかをレディと飲み交わしながら待つ。フフ、実に有意義な時間じゃありませんか」


 有意義かコレ? ただ酒が飲みたいだけではないのか? というか未成年に酒をすすめる悪い大人にしか見えんぞ。それに第一……



「キモい……」

「なっ!?」ガーーーン!

「なぜに初対面の者と肩を並べて酒を飲まねばならんのだ。しかもこちとら中等部の人間だぞ? 誘うなら大人の女を誘うがいい。というかミラよ、このような輩を自信タップリに送り込んでくるとはどういう神経をしておる?」

『……失念してたのよ。ソイツが重度の女好きだってことを。まさか対戦相手にまで……』


 ちょっとだけミラが可哀想になってきた。私もゴトーの性格がこんな感じなら光の速さで粛清していただろう。ブラッシュを前にして思う。あの性格で良かったと。


「フッ、なるほど。ボクの好意を無下に扱うというのですか。貴女のような女性なら、いずれ伴侶として迎えるのもやぶさかではなかったのですがね」

「いや、まだ結婚とか考えとらんし。そんなに嫁が欲しいなら大人の女を――」

「何を言いますか! 年食った女より若い女が良いに決まっています! 若ければ若い方がいい、これは世界の摂理です!」クワッ!

「…………」




 うむ、よ~く分かった。コイツは生かして置いたらアカン奴や。放っておくとこちらの脳が破壊されそうだ。


「ミラよ、コヤツにはキツ~イ仕置きをしてやるが、構わんよな?」

『ええ、好きなようにしてちょうだい。頭が痛くなってきた……』

「そういうことだブラッシュよ。悪く思うな――いや、貴様は十二分に反省しろ、このロリコンドラゴンめが――ああ語呂が悪いなもぅ! 覚悟しろこの変態ドラゴンめ!」


 癖の悪さもあってかブラッシュへのヘイトが急上昇し、ギャラリーからも「やっちまえ!」の声援が多く届く。

 ならば期待に応えよう。この魔王ルシフェルが悪を滅ぼしてくれる!


「受けてみよ、魔王の右ストレート!」

「ブガッ!」


 構えも取らずに涼しい顔をしていたブラッシュが吹っ飛び、ステージを囲う壁に激突。そのまま帰らぬ人――いや帰らぬ竜に……



「やりますね。拳だけで遠距離に弾くとは、魔王というのは自称ではなかったのでしょう」

「一撃は耐えたか。まぁその通りだ。格の違いを理解したか?」

「ええ、貴女はそこらの女とは違う。正にボクと出会うためだけに誕生した一輪の花。さぁ、早くボクの胸に!」


 他人の話を聞かん奴め。


「誰が貴様の胸に飛び込むか、フレイムキャノン!」



 ドォン!



「フフ、貴女の熱い想い、確かに受け取りましたよ」


 魔法を受け止めて何を言ってるのだコヤツ。私まで頭が痛くなってきたぞ……。



 シュバ――――ガシィ!



「だぁぁぁしまったぁ!」

「フフフフフ。捕まえましたよ子猫ちゃん、さぁボクの熱い抱擁を!」

「ええぃ、ヤメロ変態! というか離せハレンチドラゴン! お~いアズラ、コイツを失格にせい! 明らかにセクハラだぞ!」

「そうですねぇ、最近はコンプライアンス的にも厳しい時代ですし、ここは……」

「待ってください審判! 恋愛は自由のはず、それこそ人権侵害ですよ!?」

「うっ、そ、そうとも言う……かも?」


 ダメだ、アズラも役に立たん。こうなれば致命傷は覚悟してもらおうか!


「ハァァァァァァ――」

「なっ! 魔力が一気に増大していく!?」

「貴様は魔王ルシフェルの怒りに触れた。その度胸だけは誉めてやろう」

「いえ胸とかは触ってませんよ? オシリはどさくさで触りましたけど」

「さっきの感触はワザとかアレ! この汚物ドラゴンめ!」

「ありがとう御座います、ありがとう御座います」

「礼を言うな! 貴様には激痛を味わってもらおう。()()姿()()いたのが貴様の敗北だ」


 そう言ってニヤリと笑うと、()()()()へ局地的な魔力を注いでやる。


「グゥッ!? アギッ!? アダダダダダダダダダダダダダダダッ!」


 思った通り、ブラッシュは()()()()を両手で押さえ、ピョンピョンと飛び跳ねつつ言葉にならない叫び声をあげた。


「ドラゴンの皮膚は硬いと聞くが、()()()()()は貧弱なままだな」

「ま、まざが、ごのいだみは……」

「無論私の魔力によるものだ。貴様の息子を四方八方に広がるよう強引に引っ張っておるのだ、相当な痛みであろう?」

「い、いだいでずぅ、ごうざんじまずがら止めでくだざぃぃぃ!」

「――だそうだぞアズラ?」

『了解で~す! この試合はブラッシュ選手の降参によりメグミ選手の勝利としま~す!』


 フッ、呆気ないものだ。性欲に溺れたドラゴンなんぞ、所詮はこの程度か。


『ふぅ……。私の負けね、そっちのダンジョンは諦めることにするわ』

「諦めるだと? 何を言う、まだ眷属は残っておろう」

『そうね。だけど私の一番の主力はブラッシュだもの。彼が敗れた今、私に勝ち目はない』


 うむ、潔く認めたか。結構結構。


『アンタ、ルシフェルとか言ったわね?』

「とかを付けるな! 私は魔王ルシフェルである。それで何なのだ?」

『アンタなら私や眷属たちをもっと鍛えられるんじゃないかって思ったのよ』


 ほぅ?


『ダンジョンは無敵じゃない、トラップだって無限じゃない、私が生き抜くためには今よりも強くならなきゃならないの。だからお願い、私に協力して!』

「それは……私の下僕になると?」

『誰が下僕か! 師匠と呼ぶのは構わないけれど、下僕に成り下がるつもりは1ミクロンもないから! そこを間違えないでよね』


 つまりは弟子入りか。


「よかろう。一人前の魔王になるまでビッシビシ鍛えてやろうじゃないか」


『魔王じゃなくてダンジョンマスター! 勝手に魔王にしないでよね!』

「残念だ……」

『いや、なんで露骨にガッカリするのよ……』


 しかしダンジョンマスターか。これはラーカスター邸を更に強化するチャンスだな。再会するのを楽しみにしようではないか。


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