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中二病JK,異世界転生で更に悪化する!  作者: 北のシロクマ
第3章 ダンジョンマスター
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セカンドバトル

『で、ではセカンドバトルに移ります。対戦種目はダブルタワーディフェンス……です』

『ゼェ……ゼェ……。こ、今度はまともなジャッジをしてよね、ハァ……ハァ……』


 審判のアズラがダルそうに告げる。さっきので散々抗議したであろうミラも息を切らし、すでに決戦後のような有り様だ。

 そして後ろではメディスとポセイドが何やら言い合っている。


「ああああ、流されたとは言えわたくしは何という恥知らずな格好を! ああああ、もういっそ死んでしまいたい!」

「しっかりしろメディス。狼狽えるなどお前らしくもない」

「ポセイド様……」

「お前はサキュバスなのだから、あの程度で動揺するのは……どうよう? ……なんてな」


「…………」

「どうだ、少しは落ち着い――グホォ!?」

「ええ。目の前のオヤジギャグがクッソつまらないと思うくらいには落ち着きました。次言ったら腹ではなく股間に一撃入れますからね」


 メディスが正気に戻った。ポセイド、実は凄い奴なのか?(←多分偶然)


「フフフフフ、メグミさんの可愛い画像、いっぱい撮れました。後でお部屋に飾っておきますね」

「飾ったら二度と口を聞いてやらんぞ」

「そんな!」

「それより次のバトルだ」


 次はダブルタワーディフェンスだったな。この種目は運営から送り込まれる魔物を防ぐのがメインであり、先にコアルームに侵入された方が負けとなる。


『双方宜しいですか~? それではダブルタワーディフェンス――スターーーーーートォ!』


 ポセイドとメディスが真顔になり、コアルームに緊張が走る。運営がどんな魔物を送って来るかは非公開だからな。動きの素早い魔物には特に注意が必要だろう。


「ポセイド様、来ました。ゴブリンの群です」


 通路を進行するゴブリン共がスクリーンに映し出される。


「この程度なら余裕であろう? どれ、私が軽~く蹴散らしてやろう」

「待つんだメグミくん。この後にはVSモンスターも控えている。ゴブリンごときで消耗するのは得策ではない」

「心配しなくても殆ど力は使わんぞ? 第一このバトルに勝てば2勝したことになり、3戦目を行うことなく勝敗は決まるのだ。何も問題は――」


 問題はないと言いかけたところでミラの通信が割り込んできた。


『ちょっとちょっと、な~に勘違いしてんのよ。この戦いは昨日のバトルを引き継いでるんだから、さっきので2勝2敗に決まってるじゃない』

「何だと!?」

『つ・ま・り、3戦目のVSモンスターは絶対に行われるってわけよ。分かった?』

「むぅ……」


 これも既に決まっていた事らしい。抗議したところで無駄だろう。

 そしてこのバトルも勝つ必要がある、必ずだ。


「そう絶望的な顔をするなメグミくん。タワーディフェンスなら得意分野だ」

「だがミラとの対決では敗れたのだろう?」

「ウグッ……。そ、それはそうだが、あくまでも直接対決での結果だ。双方が同じ条件ならこちらに分がある。アレを見たまえ」


 スクリーンの向こうで落とし穴や落石などのトラップを受けるゴブリンたち。徐々に数を減らしていき、最後は壁から噴射された火炎により全滅させることに成功した。


「フフッ、どうかね? 我輩のトラップダンジョンは。低級なゴブリンが制圧できるほど甘くはないのだよ」

「キザッぽくカッコつけてる場合か。次の部隊が侵入してきたぞ」

「何度来ても同じことだ。我輩のダンジョンに侵入して生還でき者は1人もいない」


 大した自信だ。それなら胡座をかいていても大丈夫かもしれん。

 ――と思ったら、とんでもない真実をメディスが暴露してきた。


「メグミさん、騙されないでください。ダンジョンの入口は標高の高い山奥です。入ってくるのは余程の物好きしかいませんよ」

「何と!」


 それは知らなかった。てっきり王都に繋がってるものとばかり思っていたが。


「では生徒たちはどのようにして王都に出入りしていると?」

「転移トラップの応用です。出入口として使用されている場所は全て王都に繋がっているんです。あ、この情報は極秘ですので、他言無用に願います」


 なるほどな。王都に有って王都にない――と言ったところか。


「しかし敵はゴブリンだけではないようだぞ?」

「む? あれは……」


 ゴブリンに代わりウルフの群が突入してきた。前任と違って落とし穴が開く前には通過し終えており、壁や天井の罠にも機敏な反応を見せ、9割以上が無傷で進行していく。

 いや、それだけではない。ウルフの後ろにはゴブリン共が続いている。


「うむ、ゴブリンはともかくウルフは撃退せねば」

「ポセイド様、悠長に構えてる場合ではありません。ウルフが罠を誘発させているため、クールタイムの間を使ってゴブリンが突破しています」

「何?」


 運営もただ垂れ流すだけではないようだ。


「どうする、やはり私の出番か?」

「うむ、そうだな。メグミくんたちにはトラップを使用して撃退してもらおう」

「トラップを?」


 各々が座っている目の前にホログラムが浮かび上がり、ダンジョンの全体図が表示された。


「現在全てのトラップは自動制御になっている。それを手動に切り替えて対応して欲しい。タッチで操作できるぞ」

「どれどれ……」


(↓以下ゴブリンの台詞をスキルにより同時通訳)



 パカッ!



『そ、そんな! ウルフが通った時は開かなかったのに!』

『うわぁぁぁ!』

『『『ゴブ助~ぇ! ゴブ蔵~~~ぅ!』』』


『これはマズイぞ、今までとはパターンが違う』

『よし、次のトラップエリアは寸前まで通常歩行し、そこからダッシュで駆け抜けるんだ』

『『『了解!』』』



 スタスタスタスタ……



『よし、ここから一気に――』



 パカッ!



『――って、うわぁぁぁ!?』

『バカッ、急に止ま――ひぇぇぇ!』


『弓矢のトラップが落とし穴に変わってる!?』

『こりゃ大変だ、一筋縄ではいかないぞ!』




「フフン、見たかゴブリン共め、同じことトラップが発動すると思ったら大間違いだ」

「メグミくん、操作をして良いとは言ったが種類を勝手に変えるのは……」

「結果が出ているのだから問題あるまい?」

「う、うむ……」

「ほれ、フェイたちもやってみよ。死体蹴りは楽しいぞ~」(←最低だよお前)

「もちろんやるやる~!」

「これは面白そうですね。昔プレイしていたスマホゲームを思い出します」


 そうか、フロウスは転生者だったな。この事実は邸にやって来た次の日にこっそりカミングアウトされたのだ。


「アッハハハハ! 何これメッチャ面白いジャン! ○ね○ね○ねーーーっ!」

「フフフフ、見てくださいメグミさん、魔物がゴミのようです」

「この……このこの! 他人の苦労も知らないで、このヘタレクソザコナメクジが!」


 フェイやフロウスの全身からドス黒いオーラが立ち上がっているのが見えた気が……いや、きっと気のせいだ。そしてメディスが日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らしているかのように見えるのも気のせいだろう。


「なんだ、意外と楽勝なのだな。もっと逼迫(ひっぱく)するかと思ったのだが」

「だが注意したまえメグミくん。トラップの発動は魔力を消耗する。乱発は避けるのだ」

「その分魔物を多く仕留めれば問題あるまい? 倒せばDP(ダンジョンポイント)として還元されるのだろう?」


 倒した魔物や人をダンジョンに吸収することでDPを獲られるのだ。これは大半のダンジョンマスターがやっている事らしい。

 が、水を差すようにアズラの指摘が突き刺さる。


『ふむふむ、メグミさんは知らなかったんですね。ダンジョンバトルでは敵を倒してもDPは手に入らないんですよ。そうしないとわざと試合を長引かせてDPの獲得に動く輩が出るためです』

「何だと? つまりそれは……」

『はい、トラップを発動すればするほどジリ貧というわけですね~』


 小賢しくも対策は施されとったか。


「だが逆を言えば魔力を注ぎ込んでの乱発も出来てしまうわけだ」

「やけに乱発に拘るな?」

「それはお前、敵の新手が大型モンスターだからだよ」

「うぐっ!?」


 ゴブリンジェネラルやオーガを見て、ポセイドの顔が引き吊る。大型の魔物はトラップを無力化して進んだりもするのだ。巨体だと落とし穴に入りきらなかったりするしな。


「だが心配するなポセイドよ。どんな魔物であろうと私がいる限り――」



 ビーッ、ビーッ、ビーッ!



『ダンジョンに侵入者あり、ダンジョンに侵入者あり、関係者は直ちに迎撃してください。繰り返します、ダンジョンに――』


 何だこのメッセージは? ダンジョンバトルなのだが侵入されてるのは当たり前……


「た、大変ですポセイド様、魔物の一部が森に迷い込んでいます、このままでは生徒たちに被害が!」

「「何だと!?」」


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