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中二病JK,異世界転生で更に悪化する!  作者: 北のシロクマ
第3章 ダンジョンマスター
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ファーストバトル②

 ミラの挑発に乗せられる形で始まったダンジョンバトル。最初の対決はマナチャージングという種目で、ギャラリーから送り込まれた魔力を先に100%にした方が勝ちというものだ。

 今の戦況は互いに33%と均衡(きんこう)。あのクッソ生意気な女の出鼻を(くじ)くためにも、ここで1勝しておきたい。


「ポセイド、もう一度さっきのパフォーマンスだ、さすれば一気に引き離せる!」

「それは無理よメグミさん」

「メディス?」

「同じパフォーマンスを再度行っても効果は薄い。それに全く同じパフォーマンスだと運営に判断されると、ペナルティとして溜まった魔力を全て没収されてしまうの。つまり……」


 同じ手は使えない――か。


『な~に? アンタらもう手が無くてご愁傷さまな状態? それなら私がやっちゃうわね。――来なさいセリーヌ!』


 更に別の魔物を出してきた。清涼感のある水色のロングヘアーに色白の肌を持つ美女だ。Eスキャンによるとセイレーンらしい。


『セリーヌ、アンタの美声を披露してやんなさい』

『オッケ~♪ では一曲……ア~ア~、ンン! 人生~いろいろ♪ 男も~――』


 このセイレーン、どっかで聞いたことのある演歌を歌い出したぞ。まさか転生者じゃないだろうな?


 ……うん、違う。何度調べても現地民だ。気のせいだったか? それにしては祖父の家で何度か聞いたような気がするのだが……まぁ気のせいだろう。


『すっげ、よく分かんねぇけどすっげ~ぞ、このセイレーン!』

『あ、ああ、見た目とは違った歌声でとても新鮮な感じがするよ』

『これはこれで良い響きがあるわね』


 着実にギャラリーからの支持を取りつけた様子に、実況のアズラも目を輝かせる。


『こ~れは驚いた~~~! このような歌声はかつて聴いたことがな~~~い! え~と何々……ほほぅ、これは演歌というジャンルなんですね、これは1つ勉強になりました~! それでは気になるスパチャは~~~?』




『な~んとなんとぉ、35%という大プールだぁぁぁぁぁぁ!』

「なにぃ!?」


 私の決めポーズの10倍以上だと? このような結果、断じて受け入れられぬ!(←ポイントはそこかよ!)


『フフ~ン、どうよ私の実力は?(←いやお前の実力じゃない) これで蓄積量は68%。方やアンタたちは33%? もうダブルスコアじゃない、観念して諦めなさいよ』

「なにおぅ!?」


 この女、どこまでバカにしたら気が済むのだ。私の実力だってこんなものではないぞ!


「まだだ、まだ私のターンは継続中だ!(←ターン制ではない)」

『ならさっさとやってみなさいよ。待ちくたびれて眠くなってきたじゃない、ふぁ~あ……』


 このクソガキめ、いちいちイラっと来る。


「フン、そうやって余裕ぶっこいていられるのも今のうちだ。こっちだってまだ手はある」

『へ~ぇ、そうなんだ、ふ~ん』

「信じてないな? ならば刮目せよ――フェイ!」

「フフ~ン、ようやくあたしの出番ね」


 フェイを呼びつけスクリーンの前に立たせた。


「フェイよ、お前の実力を見せてやれ」

「実力と言っても何をすれば……」

「ほれ、そこにポセイドが召喚した巨岩があるだろう? それをな……ゴニョゴニョ……」

「ふんふん……なるほど、ちょっと面白いかも!」

「だろう?」

「それじゃあフェイ、行っきま~~~す!」



 ドゴッ!



 フェイが指示通りに巨岩を殴りつける。まさかの言動にギャラリーが戸惑っているようだがこれは想定内。

 幼女姿のフェイが巨岩の破壊に失敗し、ドラゴン形態になって破壊する。これを見せつけてやれば、ギャラリーたちも喜んでスパチャを投げてくるはず。



 パカァ!



『『『おおっ!』』』

「――って、岩が割れとるがな!」


 何故だ! まさか人の尻みたく最初から割れてたとか言わないだろうな!?(←下品)


「ゴメ~ン、ルシフェル様。力加減を間違えたみた~い」

「戯けぇ! それではパフォーマンスが台無しだろうが!」

「あ、でも見てくださいルシフェル様、今ので25%も溜まりましたよ~」

「そマ!?」

『はぁ~い♪ ホントもホント、そこのフェイちゃんのお陰で計58%になりましたね~。これでミラさんとは10%差。まだまだ勝負は分かりませんよ~!』


 だが10%はなかなかにして重い。一気に追い抜く策はないものか。


『チッ、諦めが悪いわね。ならトドメを刺してあげる。グルース、ワグマ、練習の成果を見せてやりましょ!』

『グルゥ!』

『ガッフガッフ!』


 そう言ってミラは複数の大きな輪っかを天井から吊るし始めた。


「何だそれは?」

『石で出来た輪っかよ。それも着火しやすい石を使ってね。これをね――ファイヤーボール!』



 ボゥ!



 火球が輪っかに当たり、たちどころに火の輪っかへと変貌をとげた。


「火の勢いがつよそうだが大丈夫か? コアルームが炎上しても知らんぞ」

『そんなヘマはしないわよ。これも列記としたパフォーマンスだもの。ほら、ご覧なさい』


 吊るされた火の輪にグルースとワグマが同時に潜る。大きめの輪っかとは言え二体が通るにはギリギリの大きさで、一歩間違えれば火ダルマになってもおかしくはない。

 そんな状況下をものともせず、一羽と一匹は阿吽(あうん)の呼吸で潜り抜けていく。


「フン、なかなかやるな。だが別段珍しくはないのではないか? ギャラリーの反応もそれなりだ」


 サーカス等の催しはこの世界にもある。魔物を手懐けた調教師が様々な芸を披露するのだ。時間をもて余しているダンマスは多いと聞く。こっそり街に出向いて娯楽に浸る姿は想像するに容易い。彼らにとっては今さらなのだ。

 しかし当のミラは自信たっぷりに切り返してきた。


『これはまだ序の口よ。本番はこれから。見てなさい』


 再びスクリーンに目を凝らすと、先ほどのセイレーンが歌い出すところだった。


「ん? また演歌か。同じパフォーマンスは――」

『フフン、目をひん剥いてよ~く見なさい』

「――!? こ、これは……」




「まさかのロック!?」


 そう、セイレーンが歌い出したのは演歌ではなくロックだった。知らない曲だがロックで間違いない。


『違~う、そこじゃない!』

「違うだと?」

『グルースとワグマよ。彼らが歌に合わせて潜ってるのが分かる?』

「ハッ! 確かに……」


 ただ潜るのではなく、セイレーンの歌声に合わせているのだ。いや、それだけじゃない。吊るされた輪っかが回転し始め、タイミングを合わせるのがより困難になっている。


『うぉぉぉすっげ! これすっげ!』

『長いことサーカス巡りを繰り返しているが、このようなショーは見たことがない!』

『う~む、ワシも眷属のモンスターに芸でも覚えさせるかのぅ』


 ギャラリーの反応も上々。これはマズイか?


『ミラさんの眷属たちによる見事なパフォーマンス! スパチャの方は~~~? ――な~んとなんとぉ、驚異の30%だぁぁぁぁぁぁ!』

「なにぃぃぃ!?」


 これでミラは98%、対するこちらは58%のまま。すぐにでも手を打たねば!


「やむを得ん。メディスよ、大至急()()に着替えてくるのだ」

「え"……何ですかコレ?」

「説明してる時間はない! ダンジョンの存続に関わるのだ、すぐに着替えよ!」

「わ、分かりました!」


 メディスを見て思い付いたのだ。サキュバスなだけあって中々にグラマラスな体をしているからな。これなら男共を悩殺できると踏んだのだ。


「お、お待たせしました」

「「「ブフッ!」」」


 ポセイド、フェイ、フロウスが吹き出す中、黒いボンテージ姿のメディスがスクリーンの前に立つ。手にはしっかりとムチを握らせているぞ。


「今だメディス、カンペ(この)通りのポーズで決め台詞を!」

「え、え~と……」




「……コホン。――この醜い豚共め、褒美が欲しければわたくしの前に(ひざまづ)きなさい!」

『『『お、おおおおおおぅ!』』』

 

 わざと胸元をアップで映してSっ気タップリの台詞を吐かせてみた。女共の冷ややかな視線が突き刺さる中、鼻息を荒くした男共がテンションMAXで熱狂する。


『な、何故だろう、豚と言われるのが心地好い……』

『胸が溢れる! 俺たちで支えなきゃ!』

『デュフフ! オ、オデもご褒美が欲しいんだな』


 うむうむ、手応えあり。さすがはサキュバスだな。


「――って何ですかこれ! なぜ他人に媚びるような真似を!」

「ギャラリーを湧かすのだから当然だろう?」

「だとしても余りにもコレは……」


『ムッヒ~! メディスちゃんペロペロ!』

「ヒィ!? 止めなさい、この醜いクソ豚が!」

『ありがとう御座います、ありがとう御座います』


 効果はバッチリだったが魔力の溜まり具合いはどうだろう?


『おおっと、男性陣がことごとく気持ち悪い。いい歳こいた大人たちが恥ずかしくはないのでしょうか。しかし、それとは別にスパチャの方は大きく跳ねている! 58%から78%と20%の延びを見せてきたーーーっ!』


 クッ、延びたと言っても20%は少ない。やはり女性陣の目を気にした男性陣を萎縮(いしゅく)させてしまったか!?


「クッ……」

『フフ~ン、その苦虫を噛み潰したような顔。どうやら他に手はないようね? 後はテキトーなパフォーマンスで終わらせてあげる』


 一気に挽回するはずが一歩及ばずとは……


「諦めてはいけません! まだ試合は終わってませんよ!?」

「フロウス? しかし……」

「私に考えがあります。メグミさん、大至急()()に着替えてください」

「う、うむ、分かったぞ」


 フロウスに言われるまま別室で着替えた。そして鏡を見て気付く。



 ドタドタドタ――バターーーン!



「フロウス! 貴様、この私にこのような恥ずかしい格好を!」


 今の私の格好は、頭に猫耳カチューシャを、尻には尻尾を付け、手足を毛皮で被われた状態だ。いや、それだけならまだいい。極めつけはマイクロビキニという有り様なのだ。


「これではまるで痴女ではないか!(←メディスの目を見て言いなさい) こんな有り様では魔王ルシフェルとしての威厳が!」

「何を狼狽えているんですか。その服装こそ多くの人間たちが欲しがる【誰でも簡単、お手軽獣人成りきりセット】なんですよ。それで多数の者を魅了できる伝説のアイテムなんです!」

「え……アキバとかで売ってそうなこの服が?」

「どこにでも売ってるわけではありません! 熟練の錬金術師にさえ作るのが困難だと言わせるほどなのですから!」


 そんなに貴重なのか。この世界の連中をアキバに連れてったら発狂しそうだな。


「そんなことよりメグミさん、カンペ(この)通りに決め台詞と決めポーズを」




「……言わなきゃダメか?」

「ダメです、起死回生にはこれしかありません!」

「そこまで言うなら……」


 ただでさえ恥ずかしいのに更に()()()()を言わねばならんとは。いや、この際だ、恥は捨てる。このクソガキに勝つために、私は自分を犠牲にする!



「お兄ちゃん、お姉ちゃん、メグミを勝たせてくださいニャン♪」

『『『おおおおおっ!』』』



「ダメ押しですメグミさん、可愛く首を傾けて!」

「こ、こうか?」


 コテン♪


「そうそう、良い感じ良い感じ! 最後のトドメに前屈みになって! 胸元が見えるように!」

「おい待て、見えてはいけないものが見えてしまわないか?」

「何を言ってるんですか! 見られて困るほどの大きさじゃないでしょう!」

「ヤメロ! ただでさえ恥ずかしいのに私の心を抉るな!」

「何でもいいから早く!」

「クッ……ええぃ、どうにでもなれ!」



 ムナモト――ギュ!



『可愛ええ! こりゃ可愛ええで!』

『ああ、母性が刺激されるぅぅぅ!』

『こんな妹が欲しかった……』

『とっても良いわぁ、お部屋に飾っておきたいくらいよ』

『メグミちゃんチュッチュ♪』

『うむ、今宵は満月じゃ』


 男のみならず女にも大絶賛だった今のパフォーマンス。さて、評価はどうだ?


『こ、これは凄~~~い! 何と言う可愛さ、何と言う破壊力でしょう! もはや誰も彼女には敵わな~~~い! 魔力はすでに100%を超えている~~~! いったいどこまで延びるのか~~~!』


 よしよし、これでまずは1勝目か。振り返ってみれはギリギリの戦いだったな。


『ちょ~~~っと待った~~~! 審判、コレはさっきのと同じパフォーマンスじゃない!』

『むむ? 言われてみれば確かに確かに……』


 しまった、ミラに難癖を付けられた。だがここまで来てペナルティを受けるわけにはいかん!


「え~? ダメなのお姉ちゃ~ん」尻尾フリフリ

『う"、そ、その上目遣いは……、それにキュートお尻をフリフリと!』


 効いてるな、もうひと押しだ。


「お姉ちゃん、今回だけはお願~い♪ ね?」



 KA・WA・I・KU・く・び・を・コテ~ン♪



『はう~~~ん! きたッス、めちゃきたッス、コレたまんないッスゥゥゥ!』


 フフ、見たか渾身のクリティカルヒットを。私にかかれば天使族という神の(しもべ)すらこんなものだ。


『い、いいでしょう、その可愛さに免じて今回は見逃しまっす!』鼻血フキフキ

『――ってコラァ! アンタ審判のくせに、な~に懐柔されてんのよ!』

『まぁ良いじゃないですか、こんなに可愛いんですから。可愛いは正義でっす!』

『この無能審判!』


 よし、作戦は成功だ。


「フロウスのお陰で勝てたぞ」

「そんなことより記念撮影しましょう!」ハァハァ

「お、おいフロウス?」

「実は私、可愛いものに目がないんです! 時間が勿体無いから早く!」ハァハァ


 それから無茶苦茶撮影された。


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