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中二病JK,異世界転生で更に悪化する!  作者: 北のシロクマ
第3章 ダンジョンマスター
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ファーストバトル

『さぁさぁ始まりましたよ皆さん! わたくしバトルの審判を勤めさせていただきます天使族のアズラと申します、どうぞ宜しくお願いしまっす♪』


 多くのギャラリー(←大半がダンマス)がスクリーン越しに集まる中、仮面の少女ミラとポセイドとのダンジョンバトルが行われようとしていた。

 何故だか実況付きのようで、ケモ耳フードを被った少女がマイク(←異世界だから違うかもしれないが、どう見てもマイクにしか見えない)を片手に声を張り上げている。


『そしてそして~、気になる対戦カードは~~~こちら! 祖先から代々エリートを引き継いできた見た目だけならちょっと良い男――カイザー、4せ~~~い!』


 言われてみれば見た目は悪くない。外野でも一部の女共がキャーキャー言っておる。これでダンジョンを賭けの対象に使うという愚行さえなければ良かったのだがな。


『そんな彼に挑むのは~こちら! ダンジョンマスターに成ったばかりの新人にして連戦連勝を記録中の期待のルーキー、ミラ~、ラヴァ~~~ス!』


 あのクソ生意気な女はミラ・ラヴァースというらしい。もう覚えたぞコノヤロウ、いつか絶対に公衆の面前で大恥じかかせてやるからな!


『ではでは、試合形式の発表も行っちゃいますね~。今回のバトルはミラさんの希望を取り入れまして、マナチャージング、ダブルタワーディフェンス、VSモンスターの3本立てになります。各々理解のほどは宜しいですか~?』


 なんだコレは、互いにダンジョンを攻略し合うのではなかったのか?


「どうなっているポセイド、聞いてた話と違うぞ?」

「すまない。こちら側の意向を了承してもらう条件として、試合形式は向こうが決める流れになってしまってな……」


 食い下がった立場では強く言えなかったかと。


「おい、ミラとやら。随分と好き勝手に決めているようだな? 弱い者ほど条件を付けたがるというのは本当であったか」

『フフン、挑発しても無駄よ。私がリードしていたんだから有利に設定するのは当たり前じゃない。どんなに喚いたって覆したりはしないからね』


 フン、多少は耐性が有るようだな。言葉1つで有利に――とは行かぬか。


『それでは1本目を始めます。最初の対決は~、マナチャージングだ~~~!』


 マナとは魔力のことを指し、それを運営が用意した魔力蓄積装置(←どう見てもポリタンクにしか見えない)に送り込むのが目的のようだ。当然先に貯めた方が勝ちというわけだな。


「良いだろう。私の魔力を見せてや――」

『ストップスト~~~ップ! そこの貴女、まだ試合は始まってませんよ? というかルールを理解してください!』


 アズラによって制止された。あわよくばフライングしてやろうと思ったのだがな。(←わざとかよ!)


『いいですか? 魔力を送り込めるのはギャラリーだけで、貴女たち関係者は触れる事すら許されませ~~~ん!』

「何と!」

『というかどうやって送り込んだんですか? こんな荒業初めて見ましたよ』

「気になるか? ならば教えてや――」

『はいは~い、自分語りは後にしてくださいね~』

「――っておい!」

『先ほども言いましたが、対戦者及びにその関係者は魔力蓄積装置には触れません。その代わり様々なパフォーマンスを行うことで評価してもらい、ギャラリーの方々から魔力を送ってもらうのです』


 まるで投げ銭ではないか。要するにスパチャを送らせれば良いのだな。(←スパチャ言うな)


『んん? もしかして知らなかったの~? こんな単純ルールを知らないとか、マジ恥ずいんですけどぉ~! プププ♪』

「ええぃ、その間延びした口調を止めぃ! 貴様なんぞ、私のパフォーマンスで捻り潰してくれる!」


 とにもかくにもギャラリーの協力を獲ないと始まらん。ここは1つ……



「……コホン。遠からん者は音にも聴け、近くば寄って目にも見よ、うずく右手を抱えて降りしは魔王の中の魔王、その名も――」



「――魔王ルシフェルなるぞ!」ババ~ン!



 フフ、決まったな。この日のためにポージングも練習しておいたのだ(←相変わらず無駄なことしてんな~)、言葉を失い感動に打ちひしがれていることだろう――と思ったのだが……



『な~んか変わった子だね~』

『今の若い子ってこんな感じなのかい?』

『いや、もっと歳相応だと思ったけれど』

『腰の捻りは良いんだけどな~』

『つまらん、10点』


「なっ!?」


『おっ、さっそくスパチャ(←お前も言うな)が入りましたよ~。今ので3%溜まりました~!』


 不覚! たったの3%とは……

 そんな私の惨状を見て、ミラが見下しながら笑ってきた。


『ダッサ! アンタ超ダッサ! そんなのがパフォーマンスとか、私だったら恥ずかしくて外を出歩けないわぁ、アッハハハハハ!』

「フン、笑うことなら誰でも出来る。だったら貴様のパフォーマンスを見せてもらおうではないか!」

『いいわよ? しっかり見ておきなさい。――さぁ出番よグルース!』

『グルゥゥゥ!』


 出てきたのは巨大な鷲――デザートイーグルだ。映像の視点がグルースに切り替わると、高い天井から床を見下ろす形へ。床にはダーツの的のようなものが設置されており、そこに目掛けて――


『見せてやりなさい、フェザーショット!』

『グルゥ!』



 ザザザザザザッ!



『おおっと、これは凄い! 全てのマス目に1本ずつのみ羽が突き刺さっているーーーっ! 的を外した羽すら見当たらな~~~い!』

『『『おおおっ!』』』

『さぁ、只今のスパチャは~? なななななな、なんと、驚きの23%だぁぁぁ!』


 上手くギャラリーを湧かしてきたか。これで20%と大きく差が開いてしまった。


『フフ~ン♪ どうよ、私の眷属の腕前は。スパチャっていうのはこうやって溜めるのよ。――あ、メッセージも読まなきゃね~。え~と何々……【素晴らしい眷属ですね、見ていてとても気持ちがいいです。出来ればボクの眷属と交換出来ないかな~なんて――】はいダメ~! 絶対ダメ~! 眷属はものじゃありませ~ん。スパチャだけ有り難く貰っときま~す!』

「…………」

『あれあれ~? 急に黙っちゃってどうちたのカナ~? あまりの差に自信なくなっちった~? ま、半人前のアンタじゃムリムリム~リのカタツムリでしょうけれどね~!』

「グヌヌヌヌ……」


 悔しいが向こうの方が一枚上手だ。というかいちいちウザい。何とかして黙らせてやりたいが。


「メグミくん、落ち着きたまえ。パフォーマンスなら我輩にも勝機はある」

「あ~、居たのかヘタレ学園長。バトル開始から存在感が皆無だったがちゃんと生きてるか? 逃げ出したいからって人生から逃げるのは早計だぞ」

「うむ、配慮いただき感謝する。この通りピンピンしているぞ」

「「皮肉をそのまま捉えるな~!」」


 何故だかメディスとハモってしまった。対ポセイドに関しては話が合いそうだ。

 いや、そんなことよりも……


「勝機があるのだな?」

「そうとも。要はギャラリーを魅了すれば良いわけだ」

「ほぅ? 魅了する自信があると」

「フッ、見ていたまえ」



 バサッ!



 何を思ったのかわざとらしくマントを(ひるがえ)し、フッ……と笑みを浮かべてスクリーンの前に立つ。そして何をとち狂ったのか、私を真似た自己紹介をし始めた。


「聞くがいい、世界の隅々にまで(とどろ)かんとする我が美声を。見るがいい、受け継がれし整ったこの顔立ちを。熱き魔力を送ってもらえるのなら、この声で、この顔で、一時(ひととき)の甘い瞬間を貴女に捧げよう!」

『『『キャーーーッ、ポセイド様ーーーッ!』』』


 ギャラリーの女性たちから声援が届く。なるほど、顔面偏差値とキザっぽい声に釣られたバカ女共(←お前はアホ女だと思われてるがな)を見事に(たぶら)かしたわけだ。


『こ、これはキターーーッ! 堪らずズキューーーン! あの甘い声でのメッセージとか最高かよーーーッ! 今ので30%上昇しましたので、合計で33%で~す!』

「ふむ。では1つメッセージを読み上げるとしよう。【愛しのポセイド様、ご機嫌麗しゅう。今日も美声が素晴らしいですね。あんな歳が若いだけのクソガキなんかブッ(ピー)しちゃってください!】――か。まぁ貴女も落ち着いて。約束通りボイスメッセージを送っておくから、それを聴いて心を静めるのだ」


 そんなん送ったら余計に興奮しそうだがな。


『あ、それわたくしにも送ってくださいね? わたくしもスパチャ投げたんですから!』

『――って審判が贔屓(ひいき)するな~! 明らかに違反でしょ!?』

『いえいえ、わたくしも1人の女ですから。それにミラさんだってちょっと心が揺れたでしょ?』

『そ、そりゃ寝る前に聞くのも良いかな~なんて思ったり――って何言わせるのよバカ女!』

「なんだ、気に入ったのなら貴様もスパチャするがいい。今なら貴様の名前入りで送らせるぞ?」

『え――ホントに!? ――ってそうじゃな~い! 何だって敵に塩を送らなきゃならないのよ! こうなったらワグマ、アンタの出番よ!』


 また新たな魔物を出してきた。今度のはシャドウムーンベアというムッキムキの熊だ。


「何をする気だ?」

『決まってるじゃない。シャドウムーンベアと言えば破壊、破壊と言えばシャドウムーンベアって世間では言われてるんだから、今から()()()やるのよ――アイスバリケード!』


 用意されたのは魔法による氷の障壁だ。戦闘にも使われることのある魔法で簡単には壊せないのだが。


『フンゴォォォォォォ!』



 バリィィィィィィン!



『おおっとぉ、助走をつけたタックルでアイスバリケードが粉々だぁぁぁ! 今回のスパチャは――11%をもぎ取ったぞ~~~! これでお互いに33%と並んだぁ!』


 チッ、大きく引き離したと思ったのに!


『ふ~ん? でもさっきより反響が小さいわね。ま、せっかくだからメッセージを読んであげるわ。え~と……【あの頑丈な壁を破壊するなんて凄いです! ボクも好意を寄せている彼女に何度もアタックしているのですが、中々振り向いてくれません。どのようにして分厚いガードを突破すれば良いでしょう? ちなみに彼女は窓際で生活している観葉植物です】 ってんなもん物理的に振り向けないだけでしょ~が! 手動で変えなさい手動で!』


 今のメッセージで少し気が和んだ。いや、解決はしてないがな。


『さぁ~勝負はまだまだ分からな~~~い! この先の展開に注目だ~~~!』


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