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第57話 レアメタル

 セレストを出発して、ワープ4で四日間、漂流した貨物船を見つけた地点についた。


「さて、前回漂流船を見つけて地点に着いたが、これからどっちに探しに向かえばいいんだ?」

「漂流船の動きから、航跡の予測を立てた」


「おお、チハルは優秀だな」

「漂流船の航跡はこれ、二百年前はこの辺りになる」


 ブリッジのスクリーンに航宙図を映し出し、チハルが説明する。


「そこまで、ワープ2で一日」

「ワープ4で行かないのか?」

「航路外の未知の領域、慎重に進む」

「わかった、じゃあそれで進もう」


 翌日、漂流船が二百年前に通っただろうと思われる地点、つまり、ゲートがあるかもしれない場所に到着した。


「予測地点に着いたが、ゲートらしきものはないな」

「予測に誤差はある」

「後は地道に探して行くしかないのか」


「でも、これだけ絞れていれば発見できる可能性が高いわよ」

「まあ、ゲートが見つからなくても、主目的はレアメタルの採取だからな」


「なんで、そう否定的なのよ!」

「現実的なんだ。どこかの王女様のように夢ばかり見ていられないんだよ」

「そうですか、悪かったわね、夢見がちで」


「二人ともいがみ合ってないで、この後どうするんですか?」

「ん? どうすればいいんだ、適当に飛んでいれば行き当たる物なのか?」

「無人機を出して捜索することを推奨する」


「じゃあ、チハル、それでよろしく」

「了解した」


 無人機を、前後、左右、上下の六機飛ばす。

 無人機が何か見つけるまで暫く待ちだな。

 どれ位かかるだろう。というか、一日二日で見つかる物なのか?


 しかし、その心配は杞憂だった。

 僅か五分後にはレアメタル発見の知らせが次々届いていた。


「こんなにあるとは、びっくりよね。流石は未開の地だわね」

「何か馬鹿にされている気分なんだけど」


「そんなことないわよ。ゴールドラッシュ状態なんだからいいじゃない。さあ、採取に向かいましょう!」

「そうだな。チハル、どこか適当な所に向かってくれ」

「了解、右にあるコスモメタル400の岩塊に向かう」


 船を岩塊のそばまで移動させる。

 その岩塊は縦横高さ十メートル位あるだろうか。


「そのままじゃ倉庫に入らないよな」

「貨物船を持って来ればよかったわね」


「あれはまだ荷物が入ったままだし、整備しないと危険だろ」

「そうだったわね。でも、これだけレアメタルがあるなら、早く貨物船を用意した方がいいかもしれないわよ」


「でも、ゲートを見つけるまでは、貨物船のことは秘密にしたいんだろ」

「そうなのよね。悩ましいところよね」


「シャトルポッドで行って、分割しながら運び入れるしかない」

「仕方がない、シャトルポッドで出るか」

「じゃあ私も出るわよ」

「ステファも出てくれるのか、なら、チハルと俺と三機でいけるか」


「あの、シャトルポッドは四機ありますよね?」

「ああ、そうだけど、リリスたちはライセンスを持ってないだろ。操縦はさせられないよ」


「ライセンスが必要なのですか……。セイヤ様はお持ちなのですね」

「前回とったんだ。まあ、俺がとったのはシャトルポッドでなく宇宙船のだがな」

「そうでしたか。そのライセンスは私でも取れるものなのでしょうか?」


「シャトルポッドなら二日でとれる」

「そうなのですか、チハルさん」


「ドックに寄ったら取ればいい」

「セイヤ様、どうでしょうか?」


「チハルが勧めるなら問題ないのだろうが、リリスが無理にシャトルポッドの操縦をしなくてもいいんだぞ」

「いえ、少しでもセイヤ様のお役に立ちたいのです」


「その気持ちだけで十分なんだがな。まあ、兎に角、今回は操縦させられないから、船で留守番よろしく」

「はい、仕方ないですね。わかりました」


 結局、俺とステファとチハルの三人がシャトルポッドで出て、シャトルポッドの装備で、コスモメタル400の岩塊を適当な大きさに砕いては、ハルクの倉庫に運んで積めていく。


 それが終われば、次の岩塊に移動して同じことの繰り返しだ。


 二日もそれを繰り返すと船の倉庫は満杯になった。


「コスモメタル400に、SSS、TrXもあったなんて、レアメタルの宝庫じゃない」

「後はこれを売りに行けばいいわけだな」


「ギルドに事前連絡した方がいい」

「ああ、そうか。チハル、ギルドに繋いでくれる」


 チハルがギルドとの通信回線を繋ぐ。


『はい、こちらギルド、第2857ドック出張所です』

「アンジェラさんですか、先日はお世話になりました。セイヤです」


『セイヤさんでしたか、どうかされましたか?』

「レアメタルの買取をお願いしたいんですが」


『そうですか、それでしたら、ドックの方にお願いします。到着予定は何時ごろですか』

「大体一週間後です」


『え、そんなに遠くに行かれたのですか。わかりました。気をつけてきてくださいね』

「はい、それでは失礼します」


 俺は通信を切った。


「じゃあデルタ、ドックに向かってくれ」

『了解。発進します』


「いくらで売れるか楽しみですね」

 リリスは嬉しそうだ。笑顔が可愛い。

「そうだな、期待しすぎるのもいけないが、楽しみなことは確かだな」


「そっちはそれでいいでしょうけど、この調子だとゲートの方はいつになることやら」

 ステファはため息をついていた。


「ステファにもちゃんと分け前をやるぞ」

「当たり前よ!」


 どうも、ステファのご機嫌は斜めのようだ。

 ゲートを見つけることに、一攫千金以外の目的があるのだろうか?


 ゲートの繋がる先は多分セクション2である。ステファの国であるシリウス星系に行くにはちょうどいい。

 もしかして、ステファは国に帰りたいのだろうか?


 ステファの立場を考えると聞いていいものか微妙なので、そのまま黙っていることにした。



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