表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/119

第26話 シミュレータ

 今日は講習三日目、昨日より早くホテルを出る。

 今日は絶対にカイトとの席取り合戦に負けるわけにはいかない。


 早めに講習会場に着いて、教室に入ろうとしたら、係の女性に呼び止められた。

「今日からは実技実習ですから、そちらの教室ではなく、今日はシミュレーション室ですよ」

「えっ? そうなんですか!」


「日によって時間と場所が違いますから、カードできちんと予定を確認するようにしてください」

 そういえばそんなことを言われたような気がする。

 最初だけで、その後は確認していなかった。

「すみませんでした。これからは気をつけます」


 係の女性にお辞儀をしてからシミュレーション室に向かう。


 待つこと三十分、カイトがやって来た。

「お、セイヤ、おはよう。随分と早いお着きだな」

「カイト、おはよう。お前、知っていて教えてくれなかったな!」


「何のことかな?」

「とぼけるなよ。今日は実技で、教室は使わないということだよ!」


「あれー。セイヤは知らなかったのかー。それは悪かったな(笑)」

「白々しいんだよ!」


「おはよう。朝から賑やかね」

「「おはよう」」

 ステファもやって来た。


「今日から実技実習よね。楽しみだわ」

「今日はシミュレータだけどな!」


「それは最初から実機とはいかないわよ。でも、明日には実機に乗れるんでしょ」

「シミュレータで問題なければな!」


「セイヤは、なぜ機嫌が悪そうなの?」

「いや、何でもないんだ、気にしないでくれ……」

「こいつ、今日も教室だと思って早く来てたんだ」


「予定はちゃんと確認しなきゃ駄目よ」

「係の女性にも言われたよ……」


 少し待つと、講師が来て、一人一部屋ずつ、一畳程の部屋が割り当てられる。これがシミュレータだ。


 今日は宇宙船でなく、シャトルポッドのシミュレーションをする。

 基本操作から始まり、発進、着船、船外活動と様々な場面を想定したステージをクリアしていく。

 前世でも引きこもっていた俺は、この手のゲームも得意である。


 昼食の時間になり、他の二人とお決まりの食堂で、フライドチキンを食べながら話を聞くと、俺は二人よりもかなり進んでいるらしい。


 俺は既にステージ10をクリアし、次はマニピュレータを使った船外修理のステージだ。

 カイトはステージ7、ステファはステージ8に挑戦中だ。

 カイトよりステファの方が進んでいるのは意外だった。


「カイト、頑張らないと居残りになるぞ」

「ふん。自分が進んでるからといい気になりやがって!」

「お昼までにステージ7までいけば優秀よ。目標はステージ5のクリアだもの」


「自分はステージ8のくせに!」

「ステファは優秀なんだな」

「既にステージ10をクリアしたセイヤは異常よ」


「この手のシミュレーションは得意なんだ」

「シミュレーションと実際は違うからな。実機での操作では負けないぞ!」

「まあ、そうだな」

「余裕そうなのがむかつくわね!」


 素直にそう思っただけで、余裕ではないのだけど、カイトだけでなく、ステファにもライバル心を持たれてしまった。


「そういえば、男爵令嬢、今日も騒いでたわね」

「ああ、『船のライセンスを取るのに、何でシャトルポッドの実習が必要なのよ』だっけ。あの様子だと、余りステージをクリアできてないんだろうな」


「話の様子からステージ3みたいよ」

「ステージ3って着船だろ。どこに躓くところがあるんだ?」


「自分が止めたいところに、他のシャトルポッドが止まっていて邪魔してくるらしいわよ」

「何だそれ?」

「あー。なるほど」

 俺が先に座っているのに退けと行ってくる、あの男爵令嬢ならありえるな。


「帝国の貴族って、あんなのばっかりじゃないよな」

「流石にあそこまでのは、いないんじゃないか?」

「どいつも似たり寄ったりよ!」


 ステファは他の帝国貴族を知っているのかな。随分と実感がこもっているのだが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ