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聖女ですが  作者: さんか
第一章
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03 偽りの街

「お前の魔力でこの街を守れ」


偉そうにした男の前に膝をついて頭を下げて苦痛・・・というよりその仕打ちに慣れているような態度で怯えることがないヨルを見て苛立った男は自分の持っていた剣でヨルの腕を刺した


「うっ・・・」


痛くて声が出たがなんだろう、別に死んでもいいので刺されたところで死の恐怖がない


「俺に逆らうのか?怖がれよ、殺すぞ」

別に殺していいのですが・・・とヨルは心の中で思ったが声を出さずにじっと下を向いてただただこの状況が終わるのを待った


この待つ時間が凄く嫌だ、いつもいつも私は何もしていないのに「いっぱいいっぱいになっちゃってこうゆうことやっちゃったんでしょ?」と”はい”というまで大勢で責め続ける何か私のせいにしてくる何か気持ち悪い思いがふとよみがえり、ヨルから黒煙が不気味に舞った


「なんだよそれ、やっぱり魔力があるんじゃないか、それでこの街を守れ、これからはお前は俺の部下だカイザ様と呼べ」


ヨルは黙ってその場にいたのだが、カイザの声など耳に入っていなくて、嫌な思いが憎悪で気持ち悪くなって過呼吸がでてきてしまった


「なんだよ気持ちわるいな、あいつと戦うまで牢で死んでろ」

カイザに頭を踏みつけられたヨルはハッと我に返った、


ああ、そうか、ここはあいつらはいないんだ、じゃあこれからはこの人に私は同じことをされるのだろうか・・・



”早く死にたい・・・”


「おい、戦場の説明だけさせておけ、あとは任せるからな」

「はいっ」


頭を下げたのアマギ、下を向きながらヨルの方を見てニコッと笑うと、ヨルはなぜかほっとした。









「ごめんね、またこんなところで」

「今日の夜にきっとこの街の外で戦いになる、僕は君を戦わせるために召喚せざるを得なかった。この状況でなんとなくわかったと思うけど、これ以上は監視されてるから言えないんだけどね、戦いは自由だよ。」


死にたい私には別にどうでもいい、ただ死んで何か変わるのか・・・、元々自殺した私には何か前向きに考えることができない。


そうだよ、召喚されなかったらコンクリートに頭を打ち付けて死ねたのに・・・



***




『我々は桜の木に守られている、安心して待たれよ』


さっきまで頭を踏みつぶしたり、部下の兵士を魔法で殺したりしていたカイザが市民が大勢がいる前で統率を取っていた。

なぜ、あんな人がこんなに支持されているのだろうか・・・

外面がいい、容量がいい・・・あぁ、私の嫌いなあの人みたいなんだなと一瞬の異世界前の回想から不快な気持ちになった


大勢の軍人が市街を通り、街の出入り口まで行く、それを『桜の木の神様が守られている』と祈りながら市民が見つめていた。


何?桜の木ってここに生えてる木が守ると?

ヨルには疑問しかなかった、が、このあと死ねるならもう別にいいと疑問と憔悴した心が忙しく渦巻いていた。

そもそも召喚されてまだ1日しか経っていない、状況もはっきしないのに戦えって・・・何と戦うのかも知らないのに・・・


よく見ると民の顔が根拠のない神を掲げて祈る信者みたいで気持ち悪い・・・


力がないからただ従うしかなくて、救いがなくてただすがるものを見ているだけの傀儡のような・・・



軍人が自信満々に全員街の出入り口からでると、その場に立ち止まり凛々しく戦おうとする姿が消えてなくなり気の抜けた軍の姿があった、


「おい、出ろ」

馬車の荷台にいたヨルが外に出されると手を縛られたまま談笑をはじめた軍の先頭へと連れ行かれた


「陽が落ちたら敵が現れる、お前が戦え、別にここは治安が悪いわけじゃない、ただ最近は来るんだよ面倒な奴が、ちゃんとやれよ」


敵って・・・敵の正体も分からないのにどう戦えって言うのだろう

殺しにかかってきたら死ねばいい、別に守りたいものはない、アマギさんは優しかったけど実際は分からない、だから私はここで死ぬ



きっと軍の出陣もパフォーマンスなのだろう、そうでもしないと市民が崇めない、崇めなければ税金もはいらない、税金が入らなければ貴族が豪遊できない、そんな感じかな、きっとどこの世界もおんなじ、くだらない、私はそんなくだらない人にこれ以上の尊厳を壊されたくないだから死ぬ



絶対に死んでやる




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