ファンタジー・ワールド(1)
メビウスの冒険(1章)について.1〜始まり〜
物語はシド・ロードとの出会いから動き始めた。
メビウスは捨て子であった。シースン村の外れにある「ヒューの滝」の近くで1人泣いていた所を、滝の水を汲みに来ていたベリーヌという名の女性に拾われる。
そしてベリーヌは赤子の近くに捨てられていた本の切れ端を見た。そこには「メビウス」とだけ記されていた。
ベリーヌは村へとメビウスと名付けた赤子を連れて帰り、我が子のように育てる。成長した少年は幼いながらに本を読むことが好きで、村人達から様々な種類の本を借りては読み、人の話をよく聞いていた。
だが、年を重ねるごとに自分は本当の親がいない捨て子であるということを考えるようになる。そして皆はそんな自分に合わせてくれているのだと。
メビウスはだんだんと馴染めなくなってしまう。
そこから少し経った320年5月15日の事だった。村に1人の旅人がやってくる。
その者の名は「シド・ロード」
冒険者を名乗る男はメビウスが興味深そうに見ていることに気づき話しかける。
「冒険は好きか?」
メビウスは村から出たことはないが、世界に何があるのか気になるということ、世界の話を聞くことが好きだということを伝える。
シドはメビウスに冒険話を聞かせ、メビウスの生い立ちを聞いた。生みの親が不明なことを聞いたシドはメビウスを旅に誘う。
しかしメビウスは自分を育ててくれたベリーヌへの恩を返していないし、旅など自分には無理だとして誘いを断る。
それから少しして村の外れで休んでいたシドは、旅を再開しようと支度を行っていた。
その時、シースン村にブラック・セブンズと言われる組織が現れてシースン村を襲撃する。ブラック・セブンズは7人の大罪人達により出来ている闇組織で、その内の1人「強欲」の名を冠するグリード・ブラックが部隊を率いて来ていたのだ。
グリード率いる集団は次々と村を破壊し、村人達を殺していった。そしてメビウスを守るために庇ったベリーヌも命を落としてしまう。
メビウスは途方に暮れて死を待ったが、シドの登場により助けられる。
シドに担がれたまま村を後にするメビウス。翌日、シドはメビウスにこれからどうするかを尋ねた。メビウスは何故、村が襲われたのかという理由を知りたい、ベリーヌ達の仇を討ちたいとシドに答える。
シドはならば共に行こうと、メビウスを連れて旅に出る。今の2人の状況ではブラック・セブンズを止める事は厳しいと考えたシドは、フレーシュン大陸を治める王がいる、王都アルフリーズ・パレスを目指す。
ーーこの時、メビウス 10歳であるーー