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遠い銀色のトラベル  作者: バームクーヘン
第一部「師匠探索編」
2/11

第2話 出会いと別れの街

 ワンストーン町から離れ、当てもなく進み続けるシル。


冷たい風を肌に感じながら、シルは浮かない顔のまま飛んでいた。待ち焦がれていたはずの自由が、今はとても虚しく感じられた。


 だが、あるものを見つけてシルの表情は一変した。町だ。


 


 シルは今までの人生で、ワンストーン町以外の町へ行ったことが一度もない。


今まで見たことのない未知の場所へ行けるという実感を今更ながら感じ、シルは思わず微笑んだまま街へと降下していくのだった。


 


 


 


 出会いと別れの街、エンウォーカー。それがこの街の名前だった。


入口の看板と門番の話を聞く限り、ここは港に隣接していて陸路も多数交差する人の行き来が特に多い街らしい。


 シルは街の中をキョロキョロと忙しなく見回しながら歩き続ける。人も店も、見たことのない物ばかりだ。


 


 そんな好奇心に晒されながら歩いていたシルだが、だんだんと不審に思い始めた。


なにか、過ぎ行く人々がチラチラと自分を盗み見しているような気がする。気のせいかとも思ったが、明らかに大勢の人々が通り過ぎるたびに自分を横目で見て、その後隣の人とひそひそ話をしている。


 一体なにを話しているのか気になったシルは、持っていた杖を振って自分の聴力を強化する。これで周りの人の独り言も聞こえるようになる。


 


 


(あの子、あんなに大きな箒持ち歩いてどうしたのかしら)


(清掃業者の人じゃないか?)


(箒たけで雑巾とかはもってなさそうだけど……)


 


 どうやら、過ぎ行く人々はシルの事を大きな箒を持った清掃業者かなにかだと勘違いしていたらしい。


それに機嫌を悪くしたシルは、ズカズカと荒く踏み出して足早に宿屋へと向かうのだった。


 


 


 


「全く無礼な人たちですね! 人を勝手に清掃業者だの備品持ち出した卑しい女だの!」


 


 シルは宿屋で一番高い部屋を借りると、大きくふかふかなベッドに思いっきりダイブして先ほどの出来事の不満を口にする。


仮にも天才魔女の自分に対して勘違いも甚だしい。


 


「この私のどこを見たら魔女以外のなにに見えるって言うんですか。あの人達目が付いてるんですか!」


 


 不満タラタラなシルだったが、ふと奇妙な感覚に陥った。


改めて、どこかがおかしい。なにかははっきりとしないが、自分の風貌を見て、なにかが引っ掛かる。そうして鏡と眺めっこをすること5分、ようやくシルは自分の現状に気がついた。


 


 


「……私の服、普通の女の子ですね」


 


 


 


 


 


「お似合いですよお客様」


「そうでしょうそうでしょう」


 


 自分の衣服が白を基調としたワンピースというあまりにもありふれた物だという事に気がついたシルは、大急ぎで服屋に駆け込んで魔女らしい服がないか探した。


黒いローブやマントの中から値の張って質のいいものを片っ端に探して試着していく。やがて気に入ったものを見つけるとすぐに身につけて購入する旨を伝える。


 黒色のローブや三角帽の中でも、特に質感や魔力の通りが良いものを選抜した。これなら防護魔法を普段から掛けていても劣化しないだろう。


 


 シルは巾着袋から金貨を一枚取り出すと店員へと指で弾いて飛ばす。


 


「おつりはいりません。とっておいてください」


「お客様、あと5枚足りません」


「あらら」


 


 シルは再度袋を開けると杖をひと振りした。すると、袋の中から金貨が5枚浮き上がり、店員の元へと飛んでいった。


店員は慌てて金貨を受け取ると、吃驚した様子でシルの後ろ姿を見つめる。


 


「こ、コスプレじゃなくて本当の魔女様だったんですね」


「勿論」


 


 店から出ると、箒に腰掛けて空へと浮き上がる。そうして空へと飛んでいってしまったシルを、店員は呆然と眺めていた。


 


 


 


「魔女だ……」


「あ、魔女がいる」


 


 街の中を飛んでいると、下にいる人々が口々に自分を指差して驚いている。


そんな光景に、シルは思わずニヤケ顔になって得意になる。


 


「そうです。これですよこれ。これが私の望んでいた物です。大体なんなんですかワンストーン町の人達は。人を見れは「げっ」だの「うわっ、来たよ……」だのと。クソガキ共に至っては私を見るやいなやビー玉投げつけてきますからね。全く、こっちから願い下げですよあんな人達」


 


 口を開けば、次々とワンストーン町の人への不満が零れ出る。


そうやってグチグチと悪口を言い続けていたシルだが、やがて大きな溜息を吐いて肩を落とした。


 


「……私、あの人達と喧嘩友達みたいなものだと思っていたんですが……」


 


 そう思っていたのは自分だけだったのだろうか。


そう思うとちょっと寂しくなってきた。シルは滲んできた涙をぬぐい去ると、巾着袋を取り出した。


 


「まぁ過ぎたことを気にしても仕方ありません。そろそろなにかお腹に入れて……」


 


 そして、シルの動きが止まった。


袋の中を確認する。別に盗み取られたりはしていないし、中身はきちんと残っている。残っているが……


自分が想像していたよりも、ずっと金貨の減りが速い。


 


「あれ、あれ、あれ? もしかして……私って、金遣い荒いタイプ?」


 


 今まで師匠の財布を触らせてもらった事は一度もなかった。ましてや自分で買い物などもした事がない。だから気付かなかったのだが、どうやら自分はかなり金遣いが荒いタイプらしい。


 


「いやでも、私いっても宿でロイヤルスイートを取って服も一番高いの買って他の小物も高いのにしただけですし……」


 


 今後は妥協を覚えよう。そう心に誓ったシルは今後どうすべきか悩み大きな溜息を吐いた。そうして肩を落としていると、人だかりが出来ていた。


降下して手頃な人に話しかける。


 


「あの、これは何の集まりで?」


「依頼掲示板だよ。ここに張り出されている依頼を請け負って達成したら依頼主から報酬が貰えるんだ」


 


 いい話を聞いた。これでなにか手頃な依頼でも達成すれば楽々報酬が貰えるということだ。


そうと決まれば早速いい依頼はないかと探そうとした時だった。シルの隣に子供が倒れ落ちた。


 


「いい加減にしろ! ガキは保護者同伴じゃねーと依頼として請け負えねーんだよ!」


 


 掲示板の管理人らしき人物が怒鳴り立てていた。突き飛ばされた子供達は尚も食い下がっているが、誰も相手にしていない。


周囲の大人達が小声でひそひそと話している。


 


「またやってるよ、幽霊騒ぎ」


「子供のイタズラにしちゃしつこいな」


「子供だけじゃないよ、こいつらの家にいる婆さんが言いだしっぺらしいぞ」


 


 よく分からないが、何やら面倒そうな事情があるらしい。


まぁ自分には関係ないだろうと無視しようとした瞬間、子供の一人と目があった。


 


「えっ」


 


 シルが顔を引きつらせると同時に、子供達が群がってきた。


 


「魔女のお姉さん、家の悪霊退治して!」


「お願い!」


 


「いえ、私はですね」


 


 出来れば正規の報酬が貰えそうな依頼を受けたいのですが、と言いたいのだが子供達の喧騒に邪魔されて言い出せない。その上、これ幸いと周囲の人々が口々に勝手なことを言い始める。


 


「よかったな坊主達、きっとこの魔女様が解決してくれるぞ」


「もう来るんじゃないぞ」


「いや助かった助かった」


 


 何も良かねーですよ、と言いたかったが子供たちはすっかりニコニコ笑顔でシルのローブや袖をガッチリ掴んで離さない。


どうしましょうか。いっそのこと魔法で全員吹っ飛ばしてなかったことにしましょうか……


 


 


 


 結局、断りきれぬままシルは子供たちに引っ張られて家まで案内されることになっていた。


 


「お姉ちゃん、絶対に悪霊退治してね!」


「そうして欲しければ私の髪を引っ張らないでください」


 


 シルは自分の長い銀髪を楽しそうに引っ張る女の子に抗議する。


そうこうしている内に目的の家までたどり着いたのか、子供達がぞろぞろと玄関の扉を開けて家の中へと入っていく。


 


「お母さん! 魔女のお姉さん連れてきたよ!」


「これで悪霊も一発だよ!」


 


 子供達の母親らしき人物がやって来て、申し訳なさそうにシルに頭を下げた。


 


「すみません、家の子供達が勝手に……それで、そのぅ、大変言いづらいのですが……」


「ええ、分かっていますよ」


 


 シルは苦笑いしながら視線を母親からその隣にいるお坊さんに向けた。髪を残すことなく剃り上げた立派な頭をした若いお坊さんがシルに向かって頭を下げたあと手を伸ばして握手を求める。


 


「初めまして。まだまだ修業中の身ですが、僧侶をしております清念と申します」


「私は天才魔女のシルです」


「自分で言うからにはよっぽどなのでしょうね」


「よっぽど凄いです」


 


 なんということはない。つまり子供達が勝手に飛び出して助けを求めて走り回っている間に、親が正式に除霊の依頼を申し込んでいたということだろう。


さてどうしようか、こうなるといよいよ自分がここにいる意味がない。帰ってしまいたくなったシルだが、折角ならここで除霊とやらを見物していこうか。


 


 思えば本物の悪霊退治とやらに心惹かれない訳でもない。自分の力を振るう必要もないとあれば、むしろタダでいい見物ができるのではないであろうか。


そう思い至ったシルは母親に尋ねてみた。


 


「よろしければ私も同席してよろしいでしょうか。除霊とやらに興味もありますし」


「ええと、僧侶様がよろしければ私どもは構いませんけれど……」


「私も構いませんよ」


 


 


 そうして清念を先頭にして皆が問題の部屋へ向かった。


部屋の前に経つと、部屋主であるお婆さんがガタガタ震えながら清念に寄りかかる。


 


「おお、僧侶様。やはりこの部屋に悪霊が……ワシは悪霊と共にいたのでしょうか……?」


 


 弱々しいお婆さんはただでさえ体が弱そうなのに恐怖で今にも倒れそうなほど恐怖で顔面を蒼白にしていた。


清念は暫くじっと扉を見つめていたが、やがて笑顔になってお婆さんに語りかける。


 


「悪霊なんていませんよ、ご老体。」


「えっ」


 


 思わずシルは声を上げた。しかし、深く突っ込むのもどうかと思い黙っていると子供たちが不平の声を上げる。


 


「嘘だ! だって色々変なこと起こってたんだもん!」


「そうだよ、うちに来た人が怪我したり、夜中に音がしたり……」


 


「勿論問題が無いわけではありません。この家は少し不運を貯めやすい風気をしているようです。拙僧が改善しましょう」


 


 そうやって清念はあちこちに御札を貼ったり家具を移動したりしていた。


それも十分ほどで終わり、皆清念に感謝をし始めた。


 


「ありがとうございます僧侶様。それで、報酬なのですが……」


「遠慮しておきましょう。ご依頼の内容は悪霊退治です。拙僧は今回そのようなことは致しておりません」


「そんな……じゃあ、せめてこれを。この街の名産品でもあるリングです」


 


 母親が持ち出したのは、この地周辺でよく採れる鉱物を使って作られたリングだった。


売ればそこそこの値になるのではないだろうかとシルは考える。清念は少し考えた後、それを謹んで受け取った。


こうして解決ムードになったところで、母親はシルに話しかける。


 


「魔女さんも巻き込んでしまってごめんなさい。よろしければ、今から僧侶様にご夕食を振舞うのですが、魔女さんもどうぞご一緒に」


「え、いいんですか?」


「はい、巻き込んでしまったのは家の子供たちですから……」


 


 なんという僥倖。とんだトラブルに巻き込まれたと思っていたら、まさかタダ飯にありつけるとは。


シルは喜んで頷き、振舞われた手料理を満喫した。初めて食べる手料理に、シルは止めることなく箸を進めるのだった。


 


 そして、夕食を食べ終えて少しばかり歓談すると、家を後にすることになった。


玄関に、家族が揃って見送りに来てくれていた。


 


「僧侶様、今回は本当にありがとうございました」


「お姉ちゃん、またね!」


「私にも魔法教えてね!」


 


 軽く手を振って子供たちに答えると、扉を閉じて家を後にした。


家族が家の中へと戻り、見ていないことを確認すると清念と視線があった。


 


「……なにか?」


「いえ、私にも教えて頂こうと思いまして」


 


 シルがそう言うと、清念の目が一瞬鋭くなった。


しかし、すぐに笑顔になると清念は頷いて見せた。


 


 


 


 そして、清念はそのまま家に引き返したかと思うとその裏庭へと向かっていった。


シルは黙ってついて行っていたのだが、なにか変に思って首を傾げた。そして、裏庭に到着すると清念は御札を投げつけた。


御札は何もない場所に張り付いたかと思うと、突然バチバチと激しいエネルギーを放って張り付いたものの正体を表した。


 


 そこには、禍々しい姿と化した犬のような妖怪が唸り声を上げて清念を睨みつけていた。


流石にシルは黙っていられなくなって清念に喋りかける。


 


「ちょ、ちょっとお坊さん!」


「どうしたんですか」


「貴方インチキ坊主じゃなかったんですか!?」


 


 シルが急に変なことを言い出したので、清念は妖怪と対峙しながら聞き返す。


 


「何を言っているんですか。てっきり私は貴女が私が思っているよりも手練でこの悪霊の存在に感づいているのかと思っていたのですが」


「いや気づいてましたよ。でも貴方が悪霊なんていないって言って謝礼を受け取ってたから貴方が詐欺師だと思ったんですよ! だからその話術を参考までに学ぼうと思ってたのに!」


「……貴女私が思ってたより小悪党ですね」


 


 そこまで会話したところで、妖怪が二人に向かって飛びかかって来た。


清念が錫杖を地面に突き立てて念じると、周囲に結界が貼られて妖怪が弾き飛ばされる。清念はそれを見て身構えた。


 


「ただの悪霊なら良かったのですが……妖怪に取り付いたパターンですか。面倒になりましたね」


 


 妖怪は直線で攻撃しても無駄だと判断したのか、高速で周囲を飛び回り始めた。


シルは清念の隣に移動して話しかける。


 


「参考までに聞きますが、悪霊に魔法って効きますか」


「今は実体のある妖怪に憑依しているので効くと思いますよ。霊魂の状態でも効きそうではありますが」


「なら良いです」


 


 シルが杖をひと振りすると、シルと清念を囲うようにして風が巻き上がり壁となった。


清念は感心した様に見ていたが、慌ててシルに呼びかける。


 


「危ない!」


「分かってますよ」


 


 壁の中に魔力の薄い部分が出来ている。正確には、シルはわざとそこを薄くした。


その薄い部分から、妖怪が壁をぶち破って突っ込んでくる。壁が破られると同時にシルは妖怪に向かって杖を向けていた。


 


「ドラグヘッド・ファイア!」


 


 シルが簡易詠唱を唱えると、杖の先から炎を纏った竜が飛び出した。


 


「リュオオオオオオオオオ!!」


 


 竜は声を上げながら妖怪に向かって突き進み、大きく口を開けて噛み付いた。


竜が噛み付くと同時に炎が爆発し激しく燃え上がる。激しい爆発が終わると、妖怪は耐えられなくなって倒れ込んだ。


 


「キュうぅぅぅ……」


 


 倒れた妖怪に向かって清念は歩み寄り、また御札を貼る。そしてシルにはよくわからないが念仏を唱え始めた。


すると、妖怪は小さくか弱い姿にみるみる内に変わっていき、妖怪の中から二つり人影のような物が飛び出してきた。


清念は優しい顔をして二つの霊魂に語りかける。


 


「さあ、お逝きなさい。もう心配しなくても良いのですよ」


 


 霊魂の表情は見えなかったが、やがてゆっくりと天に向かって飛んでいく。


呆然と眺めていたシルに、清念が話しかける。


 


「この家の主人とおじい様ですよ。霊となってもこの家を見守っていたのです。それがふと妖怪にとりついてしまったが故に暴走していたのです」


「……じゃあ、家にいた人が怪我したり夜中に物音がしたりって言うのは……」


「夜中に来た泥棒かなにか追い払っていたんでしょう」


 


 この家を守っていた霊は、悪霊になってもこの家を守り続けていた。それが、少しずつ行き過ぎになって段々と暴走していこうとしていたということらしい。


しかし、腑に落ちない点があった。シルは清念に問い掛ける。


 


「でも、だったらなんであの時悪霊なんていないって言ったんですか。知ってたならこれを見せたらよかったじゃないですか」


「あのお婆さんを見たでしょう。もし悪霊がいるなんて行ったらポックリ逝っちゃいますよ」


「ああ……でも、他にやりようはあったんじゃないですか? 奥さんにだけは話しておくとか」


 


 清念は空を見上げて、静かに口を開く。


 


「ここは出会いと別れの街です。しっかりと葬式をして別れたはずの旦那さんがまだいたなんて、野暮じゃないですか。なら、スッキリ綺麗に別れたままにしておいてもよくはありませんか?」


 


 確かに、別れの儀式をしたはずがしっかり現世に留まっていたなんてあまりいい話ではないかもしれない。


それに、怪我をさせた人が皆悪人な保証はない。もし家の人が原因で無駄に怪我人を増やしていたなんて事実、知らない方がいいかもしれない。


霊になった二人にとっても家族にとっても、昔綺麗に別れたままだというほうがいいのかもしれない。


 


 それでも、シルはまだ腑に落ちないことがあった。


 


「そんなに格好つけるんならそのリング貰わなきゃいいじゃないですか。正当な報酬は開けとらなくてちょっとした物だけ受け取るなんて変ですよ」


「それはそれ、これはこれです」


 


 清念はリングを取り出すとクスクス笑い始めた。どうもこの坊主、根っからの聖人という訳でもないらしい。


 


「俗ですねぇ」


「修業中の身です故」


 


 なら仕方ない。


 


 


 


 シルと清念は街の中央まで来ると互いに向かい合った。二人の宿はここから別方向だ。


 


「ではまた、会う事があればお元気で」


「ええ、さようなら。よい旅を……いえ、よい修行を」


 


 シルと清念は踵を返して歩み始めると、そのまま振り返ることなく進み続けた。


歩み続けながら、シルは先ほどの事を思い出していた。キリの良い別れを、それが、互いの幸せになることもある。


 


 だが、シルとロンズの別れは腑に落ちないことばかりだ。このまま分かれるなんてスッキリしない。


師匠のことなど忘れて好きに生きるのもいいかもしれないと思っていたが、やはり駄目だ。スッキリするまで、まだお別れなど出来はしない。


 


「必ず見つけてやりますよ、師匠」


 


 


 


 出会いと別れの街、エンウォーカー。


この街で、一つの家族が人知れず別れを告げた。そして、シルと清念という新しい出会いもあった。


新しい出会いが、待っている。この街を離れても、その先にきっと……

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