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325話 熊無双

久しぶりの投稿になります。


コロナに感染してからは3日間40℃近くの熱を出してしまい、本当に辛かったです。

日常的にマスクは常にしていたし、手洗いにうがいも欠かさなかったのですが・・・

母がコロナに感染して看病をしていた際に見事に感染してしまいました。


どれだけ注意してもダメな時はダメなんですね。


4日目に熱が38℃前後に下がり少し楽になったと思ったら・・・

看病してくれた妻も感染し、2人揃ってダウンするとは思いませんでした。


コロナ恐るべし・・・


コロナに感染から5日が経過し会社の出社禁止が終わり出社しましたけど、まぁ仕事が山盛りでその処理だけで数日ヒィヒィ言っていましたが・・・


その後はお盆で仕事もピークになり、原稿を書き進める時間が全く取れない日々が続きました。


そんな日々でしたが、仕事が終わり家に帰ってから少しづつ書き進めやっと出来ました!


しばらく更新はそんなに頻繁に出来ないかもしれませんが、頑張って更新していきたいと思っています。

意外や意外!


「まさか熊が母親のシズさんのプロポーズを受けるなんてなぁ~~~」


「そうですね。私も予想外でしたよ。」


俺もアンも熊とシズさんが抱き合っている姿をしみじみと見ていた。


そのシズさんだけど、見た目が物凄く若く見える。

娘さんと比べれば確かにそれなりに見えるが、親子というよりも姉妹としか見えないんだよね。

熊はずっと女性に縁が無かったからもう30歳だと聞いていたけど、あのカップルだと熊が年上に見えるな。

見た目はとてもバランスが取れているカップルだよ。


(ん?)


その娘さんが2人に近づいてくる。


何だろうな?

さっきと同じでウルウルした目で熊を見ているよ。


(まさか?娘さんも?)


ゆっくりと娘さんが2人に抱きついた。


「お母さん!おめでとう!」


「ありがとうチヒロ。これであなたにもお父さんが出来たわ。これでもう寂しくないわね。」


娘さん、いやチヒロさんが嬉しそうに熊に抱きついている。


「えへへ・・・、これからお父さんって呼ぶね。お父さんが出来た!チヒロ嬉しいよ。」


そのまま、熊の胸に頬を当てスリスリしていた。


「どういう事だ?」


熊が不思議そうにシズさんに尋ねている。

確かにチヒロさんの熊に対する態度はちょっとな・・・

明らかにスキンシップが激しい。


「チヒロは私のお腹の中にいた時に主人を亡くしたので父親の事を知らないの。チヒロを生んでからはずっと2人で暮らしていて、チヒロは周りの父親がいる家庭をとても羨ましがっていたわ。チヒロの為に新しい主人をと思ったけど・・・」


「いいの、お母さん。私の為に好きでもない人と再婚して欲しくなかったの。お母さんが好きになった人が私のお父さんになってくれる。それで私は十分なの。」


「チヒロ・・・」


「そして私達を救ってくれたしね。母さんが一目惚れするくらいなんだから、私はお母さんを応援するよ。」


「ありがとう・・・」



(う~ん・・・)



俺は一体何を見せつけられているのだ?


隣のアンも最初はニマニマした表情で3人を見ていたが、俺の方に視線を移しパチンとウインクをした。


「私達の出会いもお互いが一目惚れのようなものでしたよね。ふふふ・・・、あの時を思い出しますよ。」


(確かに・・・)


「ゴウキさんもシズさんもお互いに一目ぼれですけど、チヒロさんも怪しいわね。」


キラリとアンの目が光る。


「多分ね。」


いつの間にか横にいたラピスが腕を組んでうんうんと頷いている。


(いつの間に移動した?)


神出鬼没さではラピスが一番だよ。

本当に心臓に悪い。


「今は父親として甘えると思うけど、あの視線は必ず男として意識するようになるわ。しかしねぇ・・・、彼がいきなりモテ期に突入とは世の中何かが起きるか分からないわね。でもどうする?」


ジッと俺の顔を見つめた。


「もちろん、熊は連れて行けないな。折角家庭を持ったんだ。これからの戦いは更に激しくなるだろうし、万が一があってシズさんがまた未亡人になっても困る。」


そうなんだよな・・・


熊はヴリトラの修業でかなりの強さになったし、かつての六輝星レベルの者では熊には敵わないくらいになったと思う。

それだけの男が戦線から離れてしまうのは戦力的には痛いが、幸せを掴んだ男をわざわざ家族から引き離す事は出来ない。

最初は敵同士だった熊だけど、今では俺達の仲間の一人だしな。




俺達の事は気にしなくていいから幸せになれよ・・・












「そう思っていたんだけどな・・・」






「兄貴!俺を置いていくなんて勘弁して下さいよ!俺は兄貴達と一緒にどこまでもいくんですから!この国を姫様と一緒に救うまで仲間外れはしないで下さい!」



真顔で熊が俺達へと懇願してくる。


「新婚になったのに、死ぬかもしれない戦いなんだぞ?本当に良いのか?」


「兄貴、何を水臭い事を言っているんですか?俺は兄貴達の舎弟なんです。兄貴達の為なら喜んでこの身を差し出しますよ。元々はあの時の戦いで死んでいた俺なんですし、姉御のお情けで生き残っただけですから。この戦いでやっと恩を返せると思っているんですからね。」



「私からもお願いします。」



シズさんが熊の隣に立って頭を下げてきた。


「シズさん・・・、良いのか?」


真剣な表情のシズさんがゆっくりと顔を上げる。


「はい・・・、ゴウキさんは戦いの中で輝くお人です。そんな方をたかが私達家族が縛る訳にいきません。思う存分戦えるように送り出すのも妻である私に役目だと思います。その為に、私達親子もこの戦いに参加せてさせていただく事になりました。ゴウキさんが万全の体調になる為に精一杯身の回りのお世話をさせてもらいます。」


(いつの間に・・・)


そう思ってアンを見ると微笑みながら頷いている。


「ここは男の人が圧倒的に多いし、日常のお世話をしてくれる人が足りないのよ。シモダの街で囚われていた女性から自主的に参加してくれてはいるけど、まだまだ人が足りないのね。特にシズさんのような家事のベテランがいてくれれば助かるわ。」


「そうなんだ。」


「それに・・・」


どうした?

シズさんが頬を赤くして熊を見つめている。


「この方がずっとゴウキさんと一緒にいれますから・・・」



はいはい・・・


一気にこの辺りの空気が甘くなってしまった。



熊よ・・・


本当に死ぬなよ!


もうフラグが立ちまくっているんだからな!






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「アレがアタミの街か?」


俺の言葉にキョウカ姫が頷く。


俺達はアタミの街から少し離れている小高い丘の上に陣取っていた。

ここからなら街が一望出来る場所だ。

じっくりと街を見てみるけど、普通の街とは違い周りを高い塀に囲まれていて、ちょっとした城塞都市のようになっている。


「まともに攻略したら骨が折れるわね。ちょっと派手になるけど私が花火を上げても良いかな?」


ラピスがズイッと前に出てくる。


「ラピス、街の中に被害を出したらマズイぞ。その事は良~~~く分かっているよな?」


俺の言葉にラピスが親指を立てサムズアップしてくる。

その態度が一番不安なんだよ。

ラピスには『自重』と言う言葉が一番似合わないしな・・・


「もちろん!分かっているわよ!街の中には被害を出すつもりはないからね。街の中には!」


(やっぱり不安だ。)


「レンヤさん、私達は打ち合わせ通り裏門から攻めましょうね。」


アンがニコッと微笑んでくれる。


「そうだな、偵察からの情報だと現領主の配下が約500、あの街にいるんだよな。」


俺の言葉にキョウカ姫が頷く。


「はい、この数は間違いないと思います。領主にはシモダが落ちたとの情報は既に届いているみたいですし、さすがに私達に対しての対応は取っているみたいですね。大まかな敵の内訳は、領主の屋敷に100、正門に300、裏門に100ですね。」


「姫様、大丈夫か?俺達も正門の攻略の手助けをするか?」


「いえいえ・・・」


キョウカ姫がゆっくりと首を横に振る。


「この戦いは私達獣人族の戦いです。ここまで皆様方に甘える訳にいきません。私達の国の不始末は私達でつけます。」


「そういう事だ、兄貴。姫様の事は俺達が命を懸けて守るからな。」


熊が拳を突き上げニカッと笑う。


(こらこら・・・)


また余計なフラグを立てるな。

まぁ、コイツのしぶとさは筋金入りみたいだし、万が一は無いのでは?と思い始めている。


(死ぬなよ・・・)






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「さてと・・・、ぼちぼちと花火を打ち上げますかね!」


ラピスが背中に白い大きな翼を顕現し上空へと舞い上がった。


「レム、出番よ!」


「はい!ラピスお姉ちゃん!」


可愛らしい声が聞こえたのと同時に、ラピスの前に見た目は8~10歳くらいの金髪・金瞳の美少女が嬉しそうな表情をしてラピスの隣に浮いていた。


「あれが噂の・・・」


ごくりとミヤビが喉を鳴らす。


「そうね、あの姿が精霊様が顕現されたお姿。あれだけ離れていても感じる圧倒的な魔力・・・、そんな存在を使役出来るラピス様を始めとした勇者パーティーのいる国を侵略しようとした兄様の愚かさを実感するわ。」


青い顔をしたキョウカ姫が光の精霊であるレムを見つめていた。



「レム、そろそろレンヤから合図があると思うから、その時は遠慮せずにアレを門にぶち込んでよ。」


ラピスがニヤリと笑うとレムは嬉しそうに微笑んでいたが、「遠慮せずに?」とゴウキとその後ろに控えていた男達がブルっと震えていた。



ドオォオオオオオオオオオオン!



街の裏側から大きな音が響く。


「レンヤ、いえ、アレはアンの仕業ね。あまり派手にしないようにって言っていたのに、どっちが派手なのよ。だったら私達も頑張らないとね。」


ペロッとラピスが嬉しそうに舌なめずりをする。


「レム!いっちゃえぇええええええええええええええええ!」


「はい!」


レムが叫び両手を大きく頭上に掲げる。



「「「おぉおおおおおおおおおお!」」」



その場にいた獣人達が全員が声を上げた。


「マジかい?あんなのを落とすのか?」


ゴウキも額から冷や汗を流している。


全員の視線がレムの更に上に注がれる。



そこに存在したのは・・・



光輝く黄金の剣が浮いている。


しかし、その剣の大きさが尋常ではない!

長さが20メートルは軽く超えるであろう、魔力で形成された剣だった。

しかも!

その剣は1本だけでなく10本近くも浮いている。


「あれが精霊魔法の本当の姿・・・、何て神々しいの・・・」


キョウカ姫が両手を組みうっとりとした表情でレムの姿を見ていた。



「ホーリー!ソード!いっけぇえええええええええええええええ!」



レムが一気に腕を振り下ろすと大量の光の剣が正門へと降り注ぐ。




ドガガガァアアアアアア!




「「「おおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」


男達の感嘆の声が上がる。


目の前の光景は・・・


正門があった場所と高い塀が見るも無残に壊れ、一気に街の中が丸見えの状態になっている。

そこを守護していたのだろう獣人達が、あちこちと吹き飛ばされまさに死屍累々の状態だ。


「爆発を伴わない攻撃だし、対象以外には被害は出していない筈よ。後は・・・」


ラピスがどや顔で地面へと降りてくる。


「はい!私達が仕上げを行ってまいります。」


キョウカ姫が身を翻しアタミの街へ向いた。


「今は敵が混乱しています!この隙にアタミの街を解放するのです!さぁ!行きますよ!」



「「「おぉおおおおおおおおおお!」」」



獣人族の男達が一斉にアタミの街へと駆け出す。




「おらおらぁあああああああああああああ!俺の邪魔をするんじゃねぇええええええええええ!」


壊れてしまった正門へとゴウキが先頭になって走っていく。


ラピスの攻撃が強大でも、街に被害を出さないように手加減をしている為に、壊滅的なダメージを与えていなかった。

本気のラピスの攻撃ならアタミの街くらいの大きさだと、街全てを一撃で葬る事も可能だが、正門を守る300人ほどの兵のうち、倒せた数は半分にも満たないだろう。

だけど、今のゴウキ達にはそれだけの援護でも十分だった。


「はっ!」


ゴウキが大きく空中に飛び上がる。


「ゴウマ流飛龍撃!」


錐揉み回転をしながら兵達の中に落ちていく。



ドガガガァアアアアアア!



「「「ぎゃぁああああああ!」」」



兵達の悲鳴が上がる。


ゴウキの蹴りが地面を抉り大きなクレーターとなっている。

今の一撃で数十人の兵が吹き飛んでいった。


だが、さすがは獣人族の精鋭の兵だけあった。

最初こそは混乱していた感じだったが、すぐに隊列を整えゴウキと対峙している。


「へ!ならず者ばかりだと思っていたけど、少しはまともな奴もいたんだな。だが!」


グッとゴウキが右拳を後ろへと引く。


「お前達の律儀な性格が仇になったな!これだけ密集すれば一気に片を付けられるぜ!」


ゴウキの引いた右腕が異常に膨らみどす黒く変化する。


「これが死ぬ気で覚えたヴリトラ兄貴の必殺技!」


ダン!と左足を大きく踏み込む。

あまりの踏み込みに地面に細かくヒビが走った。


「竜闘技!絶掌撃ぃいいいいいいいい!」



ゴバァアアアアアアアアアアア!



ゴウキの突き出した右拳から、巨大な漆黒の闘気が拳の形となって兵士達へと襲いかかる。



「「「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああ!」」」



兵士達の悲鳴が止んだ後には・・・


ゴウキの前の道は深々と数十メートルもの長さに深く抉れ、生き残ったというか消滅しなかった兵達が十数人腰を抜かして地面にへたり込んでいた。


「まだ俺達に立ち塞がるつもりか?」


その言葉に兵達は勢いよく首を横に振っていた。



「あれだけの数、ゴウキの兄貴1人で制圧してしまったよ・・・」

「俺達は何にもしてないな・・・」

「ゴウキの兄貴!俺達は一生兄貴に付いていきます!」



そんな声がゴウキの後ろから聞こえてきた。


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