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289話 最終決戦!②

SIDE フローリア


「さすがはラピスさんね。春菜さんの一番弟子だけありますよ。」


フローリアが嬉しそうにラピス達の戦いを見ていた。

その中でデミウルゴスが少し顔色が悪い。


「あれが本気のあの子の実力だったの?そんなの・・・、私レベルではどう頑張っても勝てないわ・・・、今までの私との戦いは手を抜いていたっていうの?」


「それはないと思うわ。」


「フローリア、どういう事?」


「ラピスさんはそんな人なのよ。相手が強ければ強い程に燃えてくるのよ。確かにあなたも昔の私と同レベルくらいに強かったし、彼女もそれに合わせて戦っていたようね。本人は自覚していないみたいだったけどね。」


ジト~とした目でデミウルゴスがフローリアを見つめている。


「それは分かったけど、何でよ?やっぱり私との戦いは手を抜いていたの?」


「だから、それは無いって!」


フローリアがブンブンと手を振っている。


「私が思うにはね、ラピスさんはデミウルゴスさんに何か感じていたのかもね?過去に好きな人を亡くした境遇は同じだし、それにレンヤさんを好きになって争奪戦をしていたからね。彼女にはデミウルゴスさんはどうしても悪い魔神だと思えななかったのでしょうね。どちらかといえば、今、目の前にいるソフィアさんとの小競り合いのような気持ちなのかもね。」


2人の視線の先には白い翼を大きく広げ、床へと落下してしているダリウスを追いかけているソフィアの姿が目に入った。


その姿を見てフローリアが嬉しそうに笑っている。


「フローリア、何がそんなに可笑しいのよ?みんなが頑張っているのに不謹慎じゃないの?」


「すみません、すみません、ちょっとね、旦那様の予想があまりもピッタリだったもので、アレを使わせても良かったの?かと思っていたところなんですよ。旦那様が言うには最後のボスキャラは巨大化するのは定番だし、その巨大化に対して仲間と一緒に巨大ロボットに乗って戦うという、男のロマンが詰まっているってことなんでしょうけど、私にはさっぱりで・・・、その代わり、デウス様がもうノリノリで色んな事を旦那様と頑張っていましたよ。エデンの技術を利用しての巨大ロボットとか、そのロボットに変形・合体機能を付けたりと・・・、ちょっとどころかとっても妬ける程に仲良くね・・・」


次の瞬間、フローリアから尋常でない殺気が溢れる。


「フローリア!どうしたのよ!」


思わずデミウルゴスが叫び、フローリアの肩を掴み揺さぶった。


「あらら・・・、私ったら・・・」


少し気まずい表情でフローリアがデミウルゴスへはにかんだ。


「やっぱりね、旦那様が私以外の人とね、と~~~~~~~~~~~~っても楽しそうにしていると、分かっていても心の奥がザワザワしてくるのよね。分かっているんだけど・・・」


ハイライトの無い目でジッとデミウルゴスを見つめている。


「あんたぁああああああ!正気になりなさいよ!」



スパァアアアアアッン!



「痛ったぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~」


フローリアが頭を両手で押さえプルプルと震え蹲っていた。


その後ろには・・・


「神界最強の女神がしっかりせんか・・・、少しは目が覚めたか?」


黄金に輝く〇リ〇ンを持ったルナが立っていた。


「ガーベラちゃんから借りたが、この神器は本当に面白い。無慈悲に相手を殺戮する兵器かと思えば、こうやってツッコミが出来るとはな。この時代に復活して戦いと縁が無くなってしまったかと思ったが、こうやって戦い以外の笑いと呼べる戦場に立つとは思わなんだぞ。父も母も旦那様の魂の中で楽しく暮らしているのも分かる。本当にお主達は妾を飽きさせんな。」


「ルナさん・・・、痛いですよ・・・、少しは遠慮しても?」


「何を言っているのじゃ?」


涙目のフローリアに対し、ルナは鼻で嘲笑う。


「妾の全力をも軽くいなしてしまう化け物が何を言っている。妾を封印したあのフレイヤすらお主の足元にも及ばんのに、これが旦那様に骨抜きにされた者とは・・・、まぁ、妾も似た者だから何も言えんがな・・・」



「ちょっと!何でそんなにのんびりしているのよ!あのダリウスに戦いを挑んでいるダーリン達に失礼でしょうが!」



「何を言っているのだ?」

「そうよ、デミウルゴスさん、落ち着きなさいね。」


「落ち着いているあんたらの方がおかしいわよ!ダリウスのヤバさはよく分かっているのでしょうが!」


「はぁはぁ」と息を吐きながらデミウルゴスがジト~っとした目で2人を睨んでいた。


「それじゃ、デミウルゴスさん、あなたはレンヤさん達が負けると思っているの?」


「い、いや、そうは思っていないけど、やっぱりそれでも苦戦するとは思うけど・・・」


「大丈夫ですよ。」


フローリアがニッコリと笑いウインクする。


「苦戦なんてしません。しかも、圧倒的な勝利を確信してますからね。その結果を信じ見守るのが私達の仕事・・・、そして、それを望んでいるのが彼らなのです。自分達の世界は自分で守る。その意志は私にも伝わりました。だからね、彼らを良く見なさい。」


「何を良く見ろと?」



ドパァアアアアアアアアアン!



「おりゃぁあああああああああああああああ!」


デミウルゴスの視線の先にはまだまだ巨大なダリウスとソフィアの死闘が繰り広げられている。


ダリウスが足を上げソフィアを踏み潰そうとする。


「そんなのぉおおおおおおおおおおお!」


真正面からソフィアがダリウスの踏み潰そうとする足を掬い上げるようにアッパーを放つ。



グシャァアアアアアア!



「ぎゃぁああああああああああああ!」



ダリウスの足の膝から下が消滅し悲鳴を上げる。



「何なのよあの化け物のような攻撃力は?いくら何でもあり得ないわ!」


信じられないモノを見るような表情でデミウルゴスがソフィアを見ていた。


「いえ?あれは?」


「気が付きました?」


「えぇ・・・、あれは神界の神気ね。どういう訳か分からないけど、神界の力を取り込んで戦っているなんてね。これでダリウスとの力の差は無くなったも当然ね。段々と力を失っていくダリウスと、無尽蔵の力を取り込んだダーリン達、言われれば結果は見えているわ。」


「そういう事よ。でもね・・・」


「何なの?」


「神界とのバイパスを繋いだのは私達ではないの。旦那様の手助けと、ダリウスが作ったダンジョンも影響があったかもしれないけど、その力を呼び込んだのは彼ら自身の意志よ。」



「この蟻がぁあああああああああああ!ちょこまかとぉおおおおおおおおおおお!」


ダリウスの背中から無数の蜘蛛のような巨大な脚が伸び、まるで槍の雨のようにソフィアに襲いかかる。


「無駄よ!」


その攻撃を全て紙一重で躱し、目の前に迫った1本の足を両手で抱えるように掴む。


ガシッ!


「う!動かん!何で豆粒のような貴様に俺が押される?そんなのぉおおおおおおおおおおお!」


ブワッ!


ソフィアの長い金髪が輝きフワリと逆立った。


「豆粒だろうがぁあああああ!これがあんたがバカにしていたこの世界の底力なのよぉおおおおおおお!」


ミシミシとソフィアが掴んだ部分から音が聞こえる。



バキィイイイイイイイイイ!



「バカなぁあああああああああああ!単なる腕力で俺の脚を折る?あり得ん!」



ソフィアの行動にただでさえ醜悪な顔が更に歪み、目が大きく見開かれていた。


「これが私達の怒り!思い知りなさいぃいいいいいいいいいいいい!」


折った脚を無造作に鷲掴みにし、ダリウスの顔面へ向け槍投げのように投擲をする。



ザクッ!



「ぎゃぁああああああああああああ!」


槍のようにとがった脚の先端がダリウスの目に突き刺さった。


「どうよ!その濁った目も少しはスッキリしたんじゃないの?でもね・・・」



ブワッ!



ソフィアの全身から黄金のオーラが湧き上がる。

グッと右拳を前に突き出し、腰を屈めいつでも攻撃が出来る態勢を整えた。


「まだまだ続くわよ!レンヤさんが少しでも楽になれるよう!徹底的にあんたにダメージを与えてあげるから覚悟してね!」




「あちゃ~」


デミウルゴスが大きなため息をしてこめかみに手を当てている。


「ラピスだけが化け物に進化したと思ったら、あの聖女も大概の化け物だわ。私、これからはあの化け物達と一緒に生活していかなければならないの?ダーリン・・・、いざとなったら助けてよ。」


そのデミウルゴスの姿をフローリアとルナがニコニコしながら見ていた。


「あれなら大丈夫そうだな。じきに打ち解けるだろう。」

「そうね、ルナさんもそうでしたからね。そう遠くない未来、彼らが神界に転生した時は更に賑やかになりそうですね。」



ダン!


ソフィアが一歩踏み出すと床に大きなヒビが入る。


「あんたのその肉体!ラピスが解析したわ。まさか実体のある悪意の集合体とはね。悪く言えば悪霊の実体化かな?それならどれだけダメージを与えようがすぐに回復する訳だわ。」


突き出した拳が更に輝く。


「あんたの肉体が悪霊そのものなら、私との相性は最悪でしょうね。あんたの中に溜め込まれた悪意と怨念!この大聖女ソフィアが祓って成仏させてあげるわ!」


バサッ!


背中の翼が大きく広がると、一気にダリウスへと飛び出した。


「いっけぇええええええええええええええええ!」



ドパン!



光の矢のように飛び出したソフィアがダリウスの右肩へと殴りかかる。


「うがぁああああああああああ!」


ダリウスが悲鳴を上げると右肩から腕が弾け飛ぶ。


「こんなのはこの世界に残してはいけないわ!ドラ!ドラ!ドラァアアアアアッ!」


宙に浮いた右腕がソフィアの無数の打撃を受けると煙のように消滅してしまう。


「次ぃいいいいいいいいいいいい!」


胸の前で両手の掌をダリウスに向けた。


「聖・掌底波!」


「がぁあああああああああああ!


ダリウスの叫び声と同時に脇腹の一部が煙と化し消滅する。


スタッ!


ソフィアが再び床に降り立つ。


「白狼神掌拳最大の奥義と私の大聖女のスキルの合わせ技!見せてあげるわ!はぁあああああああああ!」


スッと右腕を頭上へと伸ばし、人差し指を真っ直ぐに伸ばした。

その人差し指の先から小さな金色の魔法陣が浮かび上がる。

そのままゆっくりと腕を下ろし、人差し指の魔法陣をダリウスへと向けた。


「聖域結界!」


そう叫んだ瞬間、黄金の魔法陣が消える。



「ぎょえぇえええええええええええええええええ!」



再びダリウスの絶叫が響き渡った。



ブゥン!



ソフィアの指先に出現していた同じ魔法陣がダリウスの足元に出現している。

大きさはいまだに巨大なダリウスをも軽く超えるほどの大きさの魔法陣だった。

その魔法陣が激しく金色に輝きダリウスをまるで監獄に閉じ込めたようになっている。


「どう?聖域結界の居心地は?悪霊であるあんたにとっては最悪の結界でしょうね!このままでもジワジワと削れるけど、巨大なあんたじゃキリがないし、時間が勿体ないから一気に畳み掛けるわよ!」


再びソフィアの全身が金色に輝く。


「闘気よ!限りなく高まれぇええええええええええ!」



バサッ!



背中の白い翼が更に巨大化し、ソフィアが一気に上昇を始める。


「さぁああああああ!喰らいなさい!」


かなり上空へと飛んでからクルッと回転し、今度は逆に一気に下降を始めた。

右足を前に突き出し、ダリウスへと一気に迫る。


「白狼神掌拳!究極奥義!飛翔!神狼螺旋脚っっっ!」




ドン!




「うぼわぁあああああああああああああああああああ!」



ソフィアがダリウスの腹へ上空からの強烈な飛び蹴りを炸裂させた。


しかし!ソフィアの方はまだまだ止まっていない!



「これで終わりじゃないのよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!いけぇえええええええええええええええええええええええええええええ!」



ソフィアの全身がダリウスの腹に喰い込んだ右足を中心にしてドリルのように回転を始める。



「だぁああああああああああああああああああああ!」



そのまま一気にダリウスの腹を貫通してしまう。



ズザザザァァァアアアアア!



ダリウスを貫通したソフィアは床を滑りながら残身の姿勢を続けている。


ピタッと止まると、ゆっくりダリウスへ振り返った。


その瞬間・・・



ズズ~~~ン!



立つ力まで失ってしまったのか、ダリウスが片膝を付きゆっくりと倒れ始める。



「バ、バカな・・・、原住民がここまで強い?信じられん・・・」



「私は大聖女よ!」


グッと拳をダリウスへと向ける。


「あなたが今までに虐げてきた魂!その魂を浄化し開放するのは聖女である私の役目!そして浄化された魂達が私に訴えているのよ!



『必ず倒して!2度と私達のような被害者を出さないで!』



とね!その人達が私に力を与えてくれる!今の私はあんたが虐げてきた人達の想いも加わっているの!私の力!そしてあんたの欲望の犠牲なった人々の怒りの力!」



ソフィアの瞳が金色に輝く。



「その力をこの拳に乗せて!あんたへと叩き込む!」


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