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149話 邪竜強襲①

(どうしてこうなった?)


大量の『?』マークが俺の頭の中をグルグルと回っている。

俺の事は恐怖の対象として恨み、ガタガタと震えていた元・四天王シヴァのエメラルダが!


俺の右手の掌を両手でシッカリと握っている。

さっきまで震え怯えていた彼女だったが、今はトロ~ンとした目で俺を見ているのだが・・・


(デレた?しかも、こんな簡単に?)


「今までのこの気持ちって・・・」


うっとりした表情で俺の掌を自分の頬に当てている。


(これが500歳の肌か?)


とてもスベスベしているし、弾力も張りもマナさんやローズ達と遜色ない。

改めて彼女の顔を見たが、全く化粧をしていなくスッピンだった。

スッピンなのにここまで綺麗な女性とは・・・


(こんな艶やかな女性だなんて、思わず見惚れてしまったよ・・・)


頬に当てていた掌をゆっくりと下ろし、今度は胸の上に添えられた。

彼女の服は胸元が大きく開いているドレスだ。

俺の手は彼女の心臓の上に置かれているけど、大きな(推定Fカップ)胸の肌に直に触れているんだよ・・・


彼女の突然の色々な行動に俺の頭が理解出来ず、彼女の好きなように為すがままにされてしまっていたけど、少し冷静になれたので俺の今の状況を確認した。



・・・



・・・



(やっばぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!)



俺が彼女の胸を揉んでいる状況にしか見えん!



「ふふふ・・・、感じるでしょう?私の胸がドキドキしているのをね。このドキドキは怖くてドキドキしていたんじゃなかったのよ。あなたの事はアレックス様と同じように好きだったなんて・・・」


(うわぁ~、すっげぇ色っぽい!)


俺の妻達の中ではローズが1番色っぽいが、彼女の色気はローズと遜色ない!

美人揃いの妻達で美人耐性が付いていると思っていたけど、大人の色気というか、包容力というか・・・

何だろう?彼女の目を見ていると、とても安心してくる。

今までの妻達とは違う色香に惑わされ始めている自分を自覚してしまう。


(いやいやいや!)


いきなり誘惑してくるし心の準備がぁぁぁ~~~~~~~


(ちょっと!ちょっと!待ってくれ!)


助けを求めようと周りを見たけど・・・


アン

「うわぁ~、エメラルダ・・・、大胆よぉぉぉ~~~、私もやってみたいかな?ふふふ、レンヤさん、どんな反応するかな?」

ニヤニヤしている。


クレアさん

「こんな積極的な母さんって・・・、ふふふ、私も旦那に迫ってみようかしら?」

ねっとりした視線をサイロスさんに向けている。

少し身構えて後ずさりをしているサイロスさんの姿が視界の隅に入ってしまった。


ディアナさん&エミリア

「マックス君とはどうなの?」

「うふふ、順調よ。でもね、こんな情熱的なアプローチも良いかも?」

「早く子供も見せてよね。初孫・・・、う~ん、楽しみ。」

2人がほのぼのと会話をしているが、その会話に入れずボッチになっているカイルさんが淋しそうにしているのが印象的だった。


カイン王子とシヴァ

「カイン、今夜は?何かお祖母様の姿に当てられちゃった・・・」

「こらこら、人前でそんな話を・・・」

「大丈夫よ、誰も聞いていないと思うわ。だからね・・・、うふふふ・・・」

2人で抱き合いながら見つめ合っていた。

今の会話はバッチリ聞こえてしまったけど、良いのかな?

いや、その会話以上に堂々とイチャイチャしているのだが?

一言お前達に言わせてくれ・・・

(お前らぁぁぁ、バカップルか?少しは人目を気にしろぉおおおおおおおおおおおお!)



駄目だぁ~~~~~~~~~~~


誰も助けてくれそうにないよ!



豊満な胸の上に置かれている俺の掌には彼女の肌の温かさが伝わってくる。


「私の体も満更じゃないでしょう?娘や孫にも負けない自信があるわ。歳は確かにお婆ちゃんだけど、まだまだ若い子と張り合えるからね。」


(マズい!)


このまま流されてしまっても良いのか?

アンも含め周りは応援しているみたいだけど、このままじゃ俺が彼女に食べられちゃうよ!



ガシッ!




「あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ!」




エメラルダが突然騒ぎ始めたんだけど、何だ?



胸を見ていた視線を顔を向けると・・・




ギリギリ・・・




誰かがエメラルダの後ろから頭を鷲掴みにしている。

しかもだ!ミシミシと締め上げる音が聞こえるなんて、どれだけの握力で握っているのだ?

この音はヤバい!絶対に聞こえてはいけない音だ!


(ん?)


何だ?この既視感は?


(完全にデジャブだぞ・・・)



「あ~ん~~たぁ~~~ね~~~~ぇ~~~~~~」



「こ、この声は!」


彼女の後ろにラピスが立って、右手で頭を掴んでギリギリと締め上げていた。


俺と目が合いニヤッと笑う。


「この雌豚がぁぁぁ・・・、いきなりレンヤに色目を使うんじゃないわよぉぉぉ・・・」


俺の手を握っていたが、慌てて手を離しラピスの手を引き剥がそうとしているがビクともしない。



(ははは・・・)



ここに来る前にラピスがソフィアにやられた技だ。

全く同じだなんて、苦笑いしかしないよ。


ラピスのこの力は身体強化の魔法をかけたな。

これはもう普通の強化レベルじゃないよ。今のラピスの力はソフィアレベルの力だろうな。

そんな力で締め上げられているんだ、どれだけ痛いか想像出来る。



「痛い!痛い!痛いぃいいいいいいいいいいいいいいい!」



あまりの痛さにエメラルダが暴れているが、頭を鷲掴みにしているラピスの腕はビクともしない。


「ギブ!ギブ!ギブアップよぉおおお!許して!許してよぉおおおおおおおおおおおおお!」






「調子に乗って大変申し訳ありませんでした。心よりお詫びを申し上げます。」


エメラルダが綺麗な土下座をしてラピスに頭を下げていた。


「ラピスさん、ちょっとやり過ぎじゃ?」


アンが心配そうにエメラルダを見ている。


「これくらいが丁度良い薬ね。私はまだ優しい方よ。ソフィアやテレサは私よりも嫉妬深いんだから、確実に血を見る事になるわよ。」


(おいおい・・・)


ラピスさんや~~~い・・・、どの口が言うのだ?


俺の見立てではラピスが1番嫉妬深いと思う。

僅差でテレサが2番手かな?

ソフィアも嫉妬深い面はあるけど、聖女という肩書きを持っている分、そこまで酷くないと思う。



ギロッ!



(うっ!)


ラピスが俺を睨んでいる。

背筋に冷や汗がタラリと流れた。


「レンヤ・・・、何か失礼な事、思っていない?」


(相変わらず鋭い事で・・・)



「アンが許したって、まだ私は返事していないのよ。」


ラピスが腕を組んで土下座をしているエメラルダを見下ろしていた。


「それに絵面が良くないわね。まるで私があんたを虐めているようにしか見えないわ。お互い椅子に座って話し合いましょう。」


「は、はぁ・・・」


エメラルダが立ち上がり、全員が椅子に座った。


「あのぉ~~~、大賢者様・・・」


おずおずとエメラルダが手を上げた。


「何?」


「大賢者様がこの場を仕切っていますけど、勇者様とはどのような関係で?」


「私?もちろん私もレンヤの妻の1人よ。だから一緒にいるんじゃないの。」


「え”!」


エメラルダが変な声を出した。


「アンと仲良くしているなんて信じられない・・・」


「あら、そう・・・、アンは良い子よ。フローリア様に気に入られて力を授かったしね。しかも、私もソフィアも認めているのよ。」


「ソフィアって・・・、あのソフィア?」


「そのソフィア以外に誰がいるっていうの?」


「ははは・・・」


何かガックリしているよ。

かなりショックだったのかな?


「お祖母様、私が説明します。この中では私が1番詳しいですからね。」


シヴァが席を立ち、エメラルダの隣に座った。




かくかくしかじか・・・




「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」


とっても疲れた感じで椅子に座っている。


「500年引き籠もっていたら、世の中こんなにも変わっていたなんてね・・・」


いやいや、それは違うと思う。


「それにしてもアニー・・・」


エメラルダがシヴァへ微笑んだ。

とても嬉しそうだよ。


「おめでとう!」


「お祖母様・・・、ありがとう。」


ギュッとシヴァがエメラルダに抱き着き、そのシヴァの頭と背中をポンポンと優しく叩いていた。

彼女はシヴァの事をとても大切にしているのだな。


「あなたがアレックス様の子孫と婚約したなんて・・・、運命を感じるわ。幸せになりなさい。」


「はい・・・、お祖母様・・・」




「はいはい、話を元に戻すわよ。」


ラピスがそう言うと2人が慌てて離れて椅子に座り直した。


「結論から言うとね・・・」


その言葉にエメラルダの喉が「ゴクリ」と鳴った。


「私としては認めるわ。ソフィア達も駄目とは言わないと思うしね。あの時の戦いで、あなたの事は悪とは思えなかったからね。」



「だ、大賢者様・・・」


エメラルダの瞳からポロポロと涙が流れた。


「それとね、私の事は『ラピス』と呼ぶ事。基本時にレンヤの妻として同じ立場になるのだから、変な上下関係になりたくないの。だけどね、私達には色々と決まり事があるから、詳しくはアンに聞いてね。但し、抜け駆けすると・・・」



ギロッ!



ラピスの視線が鋭くなる。



「さっきみたいなお仕置きが待っているから・・・」



「ひえぇええええええええ!」


両頬に手を当てビビっていた。


(お~い、あんまりビビらすなよ。)





「それにしても、エメラルダって本当に若く見えるわね。いくらダークエルフでもこの肌の張りはあり得ないわよ。女として憧れるわ。今夜は私の番だし、一緒にレンヤさんを誘惑しようね。」


アンが興味津々な顔でエメラルダのあちこちの肌をペタペタ、スリスリしている。


「ちょっとアン、くすぐったいわ。」


俺もそう思う。

見た目30代前半の彼女だしなぁ・・・、しかも!スッピンでだよ!

きちんと化粧してしまうと、下手すれば20代後半と思われても不思議では無いと思う。


「それに今夜って・・・、アンは本当に結婚したのね。アンの口からこんな言葉が出るなんて想像もしなかったわ。男の人と同衾なんて・・・、夫と死別してから100年振りだし恥ずかしい・・・」


そして俺の顔を見て頬を赤く染めた。


(う~ん・・・、すっごく可愛いよ・・・)


ホント、500年前のあの強気な雰囲気の女の子とは思えないよ。




「アン、エメラルダのような事は別に不思議でもないのよ。」


ラピスがいつものように自信満々の姿で自分の椅子に座っていた。


「どういう事?」


アンが不思議そうにエメラルダを見ている。


「彼女はね、潜在魔力が高すぎるのよ。そのお陰で、普通のエルフよりも老化が遅いのよね。だからよ、500年経ってもこれだけ若く見えるのは。まぁ、実際に肉体年齢も見た目通りで若いでしょうね。」


「そうなの?」


「そうよ、ダークエルフは戦闘種族だから尚更顕著にその傾向が現われているのでしょうね。ただ、彼女、エメラルダの潜在魔力が桁違いだからそうなっているだけで、多少高くてもそこまで変わらないわ。その傾向はエルフにもあるのよ。」


「エルフもですか?」


「そう、ナルルースも同じなのよ。彼女はあれでも450歳なのよ。他の緑の狩人のメンバーは100歳~200歳なんだけど、あの子だけは別格よ。だけど、その事は内緒よ。女性に歳の話は禁句だからね。」


ギロッとラピスが俺を睨んだ。


(そんな事は分かっている!)


俺だって死にたくない!

戦闘能力が化け物クラスの女性しか俺の周りにいないんだから、そんな事、間違えても言えない!

確実にまた死の世界に逆戻りになると分かる。


(俺だって死にたくないんだからな!)




話が一段落したみたいだ。みんな椅子に座って寛いでいる。

そんな中、アンがラピスの前に立った。


「ラピスさん、ありがとう。」


アンがラピスへと微笑んでいる。


「ど、どうしたのよ急に・・・」


対照的にラピスの方は動揺しているが、何で?


「分かっているの・・・、今回は私の為に寄り道してくれたってね。500年前の知り合いでもあったアーガンは私のこの手で消滅させたわ。敵とはいえ心が痛まないはずはないの・・・、そんな私の為にこうして会う機会を作ってくれたのでしょう?少しでも私を元気づけるためにね。」


「ラピス、そうなのか?」


「べ、別に・・・」


真っ赤な顔をしながら、俺達と顔を合わせようとしていない。


「たまたまよ!シヴァもたまには実家に帰って無事を知らせないといけないと思っただけよ。エメラルダの事までは考えていなかったわ!」


「ふふふ・・・、そうね、たまたまエメラルダに会っただけね。」


アンが嬉しそうに微笑んでいた。



ふっ・・・、ラピスの久々のツンデレだな。

そんな姿も可愛いよ。


今度、俺からもお返しをしてあげないとな。


(ありがとうな、ラピス。俺も感謝しているよ。)






カンカンカンカンカン!



(何だ!)


「この音は!」


サイロスさんとクレアさんの顔が険しくなる。


城の外からいくつもの場所から鐘の音が聞こえる感じがする。しかも、この感じは緊急性を感じる音だ。




「公爵様!」



1人の男が部屋へと慌てて入って来る。


「何が起きた!この鐘の音は非常事態宣言の音だぞ!街で何があったのだ!」


「た、た、大変です!この街に向かって大量のドラゴンとワイバーンの群れがぁああああああああああ!」



「何だと・・・」


ガックリとサイロスさんが膝から崩れ落ちた。


「どういう事だ・・・、ドラゴンとワイバーンが何故?こんな事は始めてだ・・・」


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