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120話 ドSのソフィアさん

「し、信じられん・・・」


ワナワナとナーデルが震えながらソフィアを見つめていた。


「どうかしたのかしら?」


拳を構えたソフィアがニコニコと微笑んでいる。


「なぜだぁああああああ!いくら聖女だろうが、たかが人間が私の邪眼に抵抗できるはずが無い!何かしたのかぁあああああ!」


「煩いわね。」

「そうよ、部屋の中は静かにするものよ。そんな男はモテないわ。レンヤ君を見習わないとね。」

「はぁ~~~~~~~~、女と思って舐めているのでしょうね?」


ラピスもマナもシャルロットも平然とした顔で立っていた。


「バ、バカな・・・、抵抗したのは聖女だけでないのか?」


「そういう事よ。」

アンジェリカがニヤリと笑っている。

「っていうか、最初からあなたの邪眼は私達には何も効果を及ぼさなかっただけだけどね。」


「そ、そんなのはあり得ん!貴様ら何者だ!?」


「私は普通のエルフよ。」

ラピスが手を上げた。

「私達は単なる普通の人間ね。」

ソフィアが手を上げるとマナもシャルロットもうんうんと頷いている。

「私はどこでもいる魔族です。」

偽装を解き黄金の角が生えたアンジェリカが佇んでいた。


「そんな訳があるかぁあああああああああああああああああああああああ!」


ナーデルがゼイゼイと息を荒げて彼女達を睨みつけていた。

その中でラピスがニヤニヤと笑っている。


「どうやら、あなたはバンパイアみたいね。邪眼の能力といい5階のこの高さまで飛んでくる能力ですぐに分かったわ。でもね・・・」


すぐに鋭い目付きに変わり睨みつける。


「いくら無敵と言われる邪眼でも、圧倒的レベル差の相手には通用しないわよ。そうでなければ、邪眼持ちが世界最強になってしまうしね。そこまで都合のいい話は無いわよ。それに、魔族と一線を引いた闇の住人のあなた達が何で教会と繋がりがあるのかしら?私が眠っていた500年に何があったのか気になるわね。」


「人間風情がぁぁぁ・・・」

ナーデルのこめかみにピクピクと青筋が浮き出ている。

「私を舐めるなぁあああああああああああ!眷属よ!聖女以外のこいつらの血を吸い尽くせ!聖女は私が相手をする!」


その瞬間、窓から大量のコウモリが入って来た。

キーキーと鳴きながらラピス達へと襲い掛かる。


「無駄ね。」


マナがニヤリと笑った。



ピタッ!



「け、眷属よ!どうしたのだ!」



ラピス達へと襲い掛かったコウモリの群れが彼女たちの前で動きを止めている。

完全に動きが止まっている訳ではなく、ピクピクと痙攣しているようにも見えた。


「残念ね。貴方では私達の相手にならなかったみたいね。邪眼が通じない時点ですぐに逃げればよかったのに・・・、実戦で使えるか心配だったけど、問題は無さそうね。」


「な、何が起きているのだ?」


「あら、Sクラス認定されているバンパイアさんが分からないの?」


「糸だと・・・」


コウモリ達の周りにはやっと目に見えるかどうかの細い糸が張り巡らされていた。

まるで蜘蛛の巣に囚われたようになっている。


「やっと分かったみたいね。だけど、この部屋の中で斬殺すると血だらけになるから出来ないし、どうしようかしら?」


「ここは私の番ね。」


突然ローズマリーの声が響いた。


「ローズマリーさん!」


「マナ、ご苦労様。何か面白い事になっているみたいね。私も混ぜてよ。」


いきなりローズマリーが現れナーデルを見てニヤニヤしていた。


「レンヤさんに力をもらったのはあなただけじゃないからね。」


キラッとローズマリーの目が光るとピクピク震えていたコウモリ達の動きが止まった。


「眷属達!どうした!俺の声が聞こえないのか?」


ナーデルが驚愕した表情でコウモリ達を見ているがピクリとも動かない。


「無理よ。この子達はもう私の支配下になったから、あなたの命令は届かないわ。邪眼持ちはあなただけじゃないって事よ。」


「ば、馬鹿な・・・、ただの人間が邪眼だと・・・しかも私の眷属を操る?信じられん・・・」


「あなたはこの子達には慕われていなかったみたいね。そんな関係じゃすぐに嫌われて終わりよ。この子達は私が今後可愛がってあげる。その方が幸せだと思っているみたいね。」


ローズマリーがスッと腕をナーデルへ向けると、止まっていたコウモリ達が勢いよくナーデルへと襲いかかった。


「や、止めろぉおおおおおおおおおおおおお!」


ナーデルがあっという間にコウモリ達に埋め尽くされてしまう。


「がぁあああああああああああああああ!」


圧倒的な魔力がナーデルから放たれると、纏わりついていたコウモリが吹き飛ばされてしまう。

コウモリ達にかなりのダメージを喰らったのか、体中が傷だらけになりあちこちから大量の血が流れていた。


「こ、この・・・、下等生物共がぁああああああああああああああああ!」


ギラギラと血走った目で彼女達を睨みつけている。

しかし、彼女達は全く動じていなく涼しい顔をしていた。その中でローズマリーだけが悲しそうな顔をしていた。


「可哀想に・・・」


ほとんどのコウモリは飛ばされた衝撃で死んでしまったが、残った数匹がローズマリーの手の中で震えている。


「ヒール!」


シャルロットが呪文を唱えるとローズマリーの手の中にいるコウモリ達が白く輝いた。


「「「キュイキュイ!」」」


嬉しそうな声で飛び立ちパタパタとローズマリーとシャルロットの周りを飛んでいた。


「ふふふ、嬉しそうね。この子達も誰が治してくれたか分かっているみたいね。」


「そうですね。コウモリをじっくりと見たのは初めてですけど可愛いですね。」


「それじゃ、1匹はシャルのお友達として一緒にいさせようかしら?ちゃんとお世話をするのよ。」


「もちろんです!レンヤさんと同じくらいに可愛がりますよ!」


1匹のコウモリがシャルロットの肩に乗ると、ローズマリーとシャルロットが嬉しそうに微笑んでいた。



「こ、このぉぉぉ・・・、舐めやがってぇぇぇ・・・」



ワナワナとナーデルが震えている。

大量のコウモリ達に噛みつかれ、体中が傷だらけになりあちこちから大量の血が流れていた。


「相手はバンパイア、次の展開は予測できるわね。」


ラピスがそう呟くとナーデルの傷口から流れている血がピタッと止まる。


「私は不死だ!これしきの傷などぉおおおおおおおおおおおおお!」


シュゥゥゥゥゥ!


逆再生のように傷が塞がり、何事も無かったのようにナーデルが立っている。


「ふはははぁあああああああああああ!女どもめぇええええええええ!もう許さん!聖女?もうそんなのはどうでも良い!死んでも血さえあれば大司祭様も許してくれるだろう。」


ギラっとソフィア達を睨んだ。


「全員、殺してやるぅぅぅ・・・、我ら闇の最上級の存在であるバンパイア一族に逆らったらどうなるか?徹底的に恐怖を与えてから殺してやる・・・」



「どうかしらね?」



ズイッとソフィアが前に出てくる。


「最初に喧嘩を売られたのは私だから、その喧嘩、キッチリと私が買ってあげるわ。もちろん利子を付けてお返しするけどね!」


グッと拳を構えナーデルと対峙した。


「ふ、ふざけるなぁああああああああああああああああ!たかが聖女!多少の拳の腕を持っていても下等生物である人間に変わらん!そんな存在が上位の私に敵う訳が無い!そんなに死にたいならすぐに殺してやる!」


両手を上げソフィアへと襲い掛かろうとする。


「どう見てもあなたは単なるレッサー・バンパイアっぽいわね。ロードなら少しは楽しませてくれたのに・・・」


「はぁ~~~~~~~~」とソフィアが長いため息をした。


「な、舐めやがってぇぇぇ・・・」




ズン!




「お”!」


一瞬にしてソフィアがナーデルの目の前に立っていた。

右膝がナーデルの股間に突き刺さっている。


「お”お”お”ぉぉぉ・・・」


グルンと白目になり立ち尽くしていた。


ゆっくりとソフィアが離れると崩れるようにナーデルが蹲っている。


「ふふふ、確実に潰したわよ。いくらバンパイアでもこれは耐えられないみたいね。」


「お、お、お、おのれぇぇぇ・・・」


鬼のような形相でアーデルがソフィアを睨んでいた。


「だが、バンパイアを舐めるな・・・、いくら潰されても再生する・・・」



ドゴッ!



「うぎゃぁああああああああああああああ!」


再びナーデルの眼前へと一瞬で移動し、蹲っているナーデルの股間を今度はボールを蹴るような動作で蹴飛ばす。

水平に吹っ飛び壁に激突してピクピクとしていた。


「再生するならいくらでも潰してあげるわよ。あなたの心が折れるまで何度もね。」


ニヤ~~~っとソフィアがナーデルを見つめながら笑っている。

ゆっくりと壁の前で蹲っているナーデルへと歩き始めた。


「や、止めてくれぇぇぇ・・・」


「ダメよ・・・止めないわ・・・」


蹲っているナーデルの前に立ち顔面を蹴飛ばし仰向けにさせるとゆっくりと右足を上げ、そのまま股間を踏み潰した。


「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!」


「ソフィア!」

ラピスがソフィアへ叫んだ。

「この部屋に防音魔法をかけたわよ!これで一切!声も振動も部屋の外には出ないから徹底的にお仕置きしても大丈夫よ!」


「ラピス!サンキュー!」

ソフィアがラピスへ嬉しそうにサムズアップしている。

「やっぱり親友ね。私のしたいことを瞬時に理解してくれるなんてね。」


股間を押さえ蹲っているナーデルの首を掴み持ち上げた。

ナーデルの顔は既に真っ青になり恐怖で歪んでいる。


「ば、馬鹿な・・・、こんな細腕で私を片手で軽々と持ち上げるなんて・・・」



ドン!



「げきゃあああああああああああああ!」


再びソフィアの右膝がナーデルの股間に深々と突き刺さっている。


「うわぁ~、姉様・・・、エグイ・・・、あんなの男にとっては最悪の拷問よ・・・」

青い顔をしながらシャルロットがズタボロ(ある一部だけ)にされているナーデルを見ていた。

「姉様は実はドSだったの?」


「う~ん・・・、そういう訳じゃないんだけどね。」


ラピスも苦笑いをしながらソフィアを見ている。


「どういう事です?」


「ほら、ソフィアって聖女って言われているでしょう?あの子は基本的にはとても真面目なのね。昔から普段から聖女らしくしないといけないって、自分自信を縛っているのよ。でもね、あの時でもまだ15歳だったのよ。そんな遊びたい盛りの女の子が魔王討伐のメンバーに選ばれて私達と一緒に旅をしてきたし、旅先でも聖女として精力的に活動していたのよ。当時はそんなソフィアの愚痴を聞くのが私の役目みたいだったけど、そんなのが続いていつの間にか私とソフィアは仲良くなったのよ。」


「そんな事があったのですか?」


「そうよ、あの子は真面目な分、ストレスが溜まりに溜まって弾けてしまうと、あんなブラックなソフィアが登場するのね。当時は当時で一晩中愚痴を聞かされた事はいい思い出よ。今のソフィアは最強の強さを手に入れてしまったから、今度は拳で発散しているみたいね。」


「あの凶悪な力がレンヤさんに向くことは無いと思いますけど、向けられた男の人は堪ったものじゃないですね。敵とはいえ、目の目の光景を見ると同情します。」


「まぁ、レンヤの性格ならソフィアを怒らせるような事は絶対にしないと思うけど、ソフィアは大人しいと思って舐めたら痛い目に遭うって覚えておいてね。今じゃ痛い目にどころか体を消滅させられる程までになっているけどね。」


パチンとラピスがシャルロットにウインクをした。



「ひ、ひぃぃぃ・・・、止めてくれぇぇぇ・・・」


持ち上げられソフィアから何度も何度も膝を股間に叩き込まれているナーデルが、顔をクシャクシャにしながら涙を流しソフィアに懇願していた。


「だ~め~よ・・・、やっと準備運動が終わっただけなんだから。これからが本番、本当の地獄はこれからよ。」


ニヤニヤした表情でとても嬉しそうなソフィアだった。


「さぁ!仕上げよぉおおおおおおおおおおお!」


持ち上げていたナーデルを天井へと放り投げた。

グッと左拳を目の前に掲げた。


「この拳にパーフェクト・ヒールの魔力を込めて・・・、ふふふ・・・、右拳で叩き潰し、すぐに左拳を叩き込んで再生、そしてまた潰す・・・、このループをどれだけ耐えらるかな?男として生れた事を後悔しなさぁああああああああああああああああああああああああああい!」


グシャ!


落ちてくるナーデルの股間にソフィアの右拳がめり込んだ。


「あ”あ”あ”ぁあああああああああああああああ!」


すぐに右腕を引き、すかさず白く輝く左拳を叩き込む。


メキョ!


「あひぃいいいいいいいいいいい!」


また左拳を引き抜き右拳を叩き込んだ。

余りの早業に落下が止まったナーデルが、空中でひたすらソフィアに股間を殴打されまくっていた。



「はぁあああああああ!オラ!オラ!オラァアアアアアアアアアアアアアア!」



「ぎゅひいいいいいい!あ!あ!あぁああああああああああああああああ!」



「恐ろしい・・・、ソフィア・・・、あんた変わったわね・・・」

どこか遠い目でラピスが立ってる。


「こんなのレンヤさんが見たらどん引きよ・・・」

アンジェリカも何とも言えない目で見ていた。


「新しい拷問に使えるかもね?ソフィア姉様限定の拷問方法だけど・・・」

シャルロットが呟くとローズマリーもうんうんと頷いている。


「これほど女で生れて良かったと思った事はなかったわ・・・、男だったら見ているだけでもトラウマになりそうよ。レンヤ君がいなくて良かった・・・」

マナが青い顔でソフィアを見ていた。



「トドメぇえええええええええええええええええええええ!」



ゴシャアアアアアアアアアアアアアア!



「うきゃきゃきゃぁぁぁ・・・」



ソフィアの右拳が深々とナーデルの股間に突き刺さっていた。

ナーデルは口から涎を垂らし、もうまともな思考をしていないように見える。



サラァァァ・・・



ナーデルの全身が真っ白な砂になって、サラサラと崩れ消え去った。




「ふぅ!スッキリしたわ!」




とても晴々した表情のソフィアが、右拳を振り上げた状態のまま、まるでガッツポーズをするような感じで立っていた。






「あなた・・・」


「テレサ、どうした?」


幸せそうな顔で俺の腕に抱き着いているテレサがジッと見つめている。


「シャルから連絡があったわ。敵は滅んだから2人で楽しんでねって・・・」


「あぁ、俺も敵の反応が無くなった事を確認したよ。それにしてもアイツらに喧嘩を売るなんてなぁ・・・、怖い物知らずにも程があるよ。」


「何言っているの・・・、あなたも似たり寄ったりよ。世界最強の男が何を言っているのよ。」


「そう言われてもなぁ~、そんな自覚は無いぞ。」


「もう、本当に自己評価が低いんだから。」

テレサがそう言って、軽くキスをしてきた。

「そんな謙虚な兄さんも好きなところの一つなんだけどね。」


テレサが再びジッと俺を見つめている。


(何だ?嫌な予感がするけど・・・)


「これで今夜は安心して過ごせるわね。」


「だから?」


俺の言葉を聞いてペロッとテレサが舌舐めずりをする。


「あなた・・・、惚けても無駄よ。今夜は2人っきりなの・・・」


「い、いや・・・、ベッドは1つかないから俺はソファで寝るぞ。」


「だ~め~!」



そのままテレサと一緒にベッドで朝まで眠る事になってしまった。


「同衾で一緒に寝ただけで、それ以上の事は無かったからな!」


と、朝になってアイツらに何度も説明したけど、ニヤニヤ笑いながら全く信じてくれなかった。

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