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絆の読心術  作者: 黒田エリンギ
5/5

木綱宗一朗という男

やっとここから本編がスタートします。


多分。


まず一人。


いいぞ、この調子だ。

舘脇翔平を筆頭に俺はどんどん友達を増やしていって、のちに俺は人気投票へと化した生徒会長選挙に出馬し、生徒会長となり、この学校の頂点に君臨するのだ!!



え?

お前は誰なのかって?いやいや、ふざけるのも大概にしろよ?俺だよ俺、オレオレ詐欺ではない。

木綱宗一朗である。この俺の人生においての主人公だ。


いや、俺の人生なのだから俺が主人公なのは当たり前か・・・。

少し気が高ぶってるようだな。いや、決して久しぶりに友達ができたから浮かれているわけではないぞ。うん、決してない。け・・・決してないんだからねっ!!


男のツンデレに需要は無いと思うのでこのへんで止めておこう。

深呼吸をする。



ふぅ、少し落ち着いてきたぞ。

しかし、翔平の奴め、俺がちょこっと嘘をついてやったらまるでラノベの主人公のごとく喋りやがった。(正確には喋ってはおらず、思考していた)


面白かったのでネタバラシをするまでは好きにさせていた。

だが、ネタバラシをした今では翔平の思考は元の思考に戻っている。

試に翔平の心を読んでみよう。

そしてまた深呼吸をする。



”読心!!!”


『あーぁ、セック・・・』

中止!!中止!!


おいおいおい、今はまだ午前10時だぞ?こんな朝なのか昼なのかもわからない時間帯に何を考えているんだ!?

まぁきっとあれだろう、セックス・ピストルズの曲でも聞きたいんだろう。今の高校生でも聞く奴は聞くからな。頼むからそーゆー事にしといてくれ。

こんな奴を一人目の友達にしてよかったのだろうか?先が思いやられるがしょうがない、俺が選んだのだから。



ちなみに最初に翔平を選んだのはただ、席が俺の目の前だったからだ。

席が前だったからよく心を読んでおり、このクラスで一番、他人に考えていることがバレたら困る奴だと思ったからだ。

俺の予想は見事的中し、見事な程に自分でどつぼにはまってくれた。

ただ、これからこの方法は使わない方がいいな。

よほどの心配性だったり、精神が弱かったりすると心を病みかねない。

未来の友達に、そんな酷なことはできない(翔平を除く)


そんなことを考えていると翔平が振り向いて聞いてきた。


「そーいえば、お前ってなんでそんな大層な能力持ってるの?」



よくぞ聞いてくれた!ついに俺のこの能力について説明しなければならないときが来たようだな!!

ふははははははははははは!!!!!


「お前、なんかテンション高くないか?」


このエロ猿にバレるほど顔に出ていたらしい。世も末だな。


「べ・・・別に、テンションなんて高くないしっ///」


「うぇ、世も末だな。」


おい。





~~



~~~



俺の能力について説明するには俺の人生を振り返らなければならない。


俺の人生は友達に恵まれなかった。

幼いころから喘息の発作が原因で、家に居ることが多かった。

まぁ、年を重ねるごとに症状は落ち着いていき小学校高学年になった頃には喘息の発作は見られなくなった。

家に居ることは苦痛ではなく、専業主婦だった母が看病してくれた。だからこそ俺は生粋のお母さんっ子なのだが。

発作のおかげで家族以外と接することは少なかった。だから他のみんなが培っているであろう、基本的コミュニケーション力が足りないのだ。


小学校の頃の俺は話しかけられても

「あ・・・あの・・・えっと・・・」

というようなTHEコミュ障というような対応しかできなかった。

大体の子は

「あ・・・なんかごめん。」

と言うように変に気をつかってくれて、関わってはくれなかった。

なかにはそれでも関わってくるような変人も数人いたのだが、中一のときに転校した奴を最後に、どこに行ったのかもわからなくなってしまった。


友達は少なかったが、いないわけではなかった。だから逆に、友達がいなかった残りの中学時代は寂しかったのだ。



そこで俺は高校デビューを決意した。


見た目に気を使ったし、話題が合うように自分の世代の流行なども研究した。

コミュニケーション力を上げるために、そんな気もないのにナンパを繰り返したりもした。

初めはゲロが出るほど緊張したが、次第に慣れていき一緒にお茶までしたことだってある。

我ながらすごい進歩だった。

心機一転のため、同じ中学校の人のいない遠めのこの学校を選んだ。

すべては高校デビューのため。俺はこの高校進学という名の一大イベントに賭けていたのだ。


ただ、これらすべての努力は水の泡と化したのだが。


入学式の前日にインフルエンザになった。

おそらく、夜遅くまで行っていた話題研究のせいで免疫が落ちていたのだろう。



一週間が経ち、学校に来てみれば既に多くのグループが形成されていた。

最初は何とか話しかけてみたりした。だが、『わく☆ドキ☆パンデミック』というバンドも、『クルード』というメーカーのスニーカーもパーカーも誰一人知っていなかった。

俺の研究自体、流行を研究出来ていなかったのだ。


途端に脱力感を感じ、気づけば中学校の頃と何一つ変わらない学校生活を過ごしていた。

休み時間にすることがないため、別に好きではないが本を読むようになった。

そんなときだったか、『読唇術』というものに興味を持つようになった。


『読唇術でもできるようになったら、みんなが何を話しているか知れるな。』


と、淡い期待を抱いていたがこれもまた上手くはいかなかった。



読心術を夢見て二か月半が経った7月の中頃、いつもと同じように何を話しているのかと睨むように見ていたとき、ふと頭の中にそのクラスメイトの声の音声が頭の中に流れ込んできた。


『あー、うぜぇ。前もその話しただろうがよ。』


幻聴や妄想では言い表せない、妙なリアリティも持った音声だった。

初めは動揺を隠せなかったが、すぐに適応できた。それと同時に『これだ!』と思ったのだ。


『読唇術』を覚えたかった俺は、『読心術』を覚えることができたのだ。




~~



~~~



話をしていたら昼休みが終わっていた。

目の前の翔平はいつの間にか昼食を食い終えていた。

俺の前の弁当は全く手が付けられていなかった。


「ふ~ん、なるほどね。」


と、興味がなさそうに言う翔平。二回くらいぶっ殺してやろうか。


しかしまぁ、考えなくてはならないことがある。

「翔平は北沢さんのことが好きだったよな?」


「ふ~ん、な・・・なぁぁぁ!?いきなり何だよ!?」


なるほど、機械のように相槌を打っていたか、よし!ぶっ殺すプラス1だ。



「俺は翔平に学校生活の充実を保証したんだ。北沢さんとの間を取り持ってやる。」

と、言うと翔平の表情が変わった。


「お前、北沢さんと知り合いなのか?」


「いいや、話したこともない。」


「じゃあダメじゃないか。・・・まさかお前、北沢さんの心を読んで脅したりするつもりじゃないだろうな?」


「そりゃ、もちろん。せっかくこの能力を手に入れたんだ。活用しない意味がわか・・・。」


はぁ~と大きなため息をつく翔平。


「確かに学校生活の充実は保証してもらったが、これは俺の問題だ、俺が何とかする。

宗一朗は・・・その・・・あれだ、応援でもしといてくれ。」


「・・・・・・わかった。」


能力を活用しないのはどうかと思うが友達の決めたことだ。俺が尊重してやらないで誰がやるっていうんだ。


ただ、今のままでは負け戦だ。このままでは翔平は土俵にすら上げさせてもらえない。

なぜかって?



おっと、ちょうどいいところに北沢さんがいた。

現在地である食堂から教室に戻ろうとしている。


”読心!!”




『はぁ~鷹野君ってかっこいいな~。彼女っているのかな?』


そう、北沢さんは鷹野翼が好きなのだ。








ありがとうございました。


どうしてもこれだけ打つのに結構な時間がかかってしまいます(泣)


意見、感想、コメント待ってます!!

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