Target1 舘脇 翔平
どうも
はじめての連続投稿です。
「はぁ!?!?」
「おい!舘脇!」
先生に怒られたが気にせず、声を小さくして木綱に聞いた。
「じゃあなんで俺が北沢さんのこと好きだってわかったんだよ?」
そりゃあそうだ。俺の考えていることがバレていないとしたら、木綱が俺の北沢さんに対する好意を知っているのも不自然である。
「舘脇君が考えていることがバレているんじゃなくて、僕が舘脇君の考えていることを読み取れるんだよ。」
言っている意味がわからなかったが、木綱は話すのをやめない。
「僕は任意の一人の考えていることを読み取ることができるんだ。だから、舘脇君が北沢さんのことを好きだということも知っているし、先生があとから舘脇君を職員室に呼び出そうとしていることだって知っているんだよ。」
はっ、となったが時すでに遅し。
「舘脇、お前新学期早々たるんでるな、あとで職員室に来い。」
と言われた。
もう信じざるおえない。
なぜ?なんで?どうして?を押さえ込み、無理やり信じることにした。
「わかった、信じるよ。で、何が望みだよ?金か?」
と訪ねた。一体いくらで勘弁してくれるだろうか。
「金?いやぁ、そんなのいらないよ。」
と笑いながら木綱は言った。
じゃあ何を?と訪ねようとしたが、木綱は続けて言った。
「僕と友達になってくれ。」
突拍子のないその言葉に俺はついつい笑ってしまった。
「僕は、高校デビューするつもりだったんだ。今までの学校生活はほとんど一人だったからね。だから知人のいないこの高校にわざわざ来たんだ。でも、インフルエンザのせいで、学校に来た頃にはまた一人になっていた。許せない。だから決めたんだ、この『人の心を読む』能力を使って学校の人気者、つまり学校の頂点、生徒会長になるってね!」
木綱は本気だった。ただいくつか疑問点があった。
「なんで人気者になりたくて生徒会長なんだよ。生徒会長って選挙で選ばれるし、責任感があって学校をより良くしたいとかって言うやつがやるやつじゃないか?」
「なに言ってるんだよ。高校の選挙なんかただの立候補のなかでの人気投票だろ?」
ここまで現実離れした話をしてきたくせに、こんなときだけ現実的な話をしてきやがる。
全国の生徒会長選挙を重んじてる皆さん、ごめんなさい。
「とにかく生徒の信頼を掌握するためにたくさんの友達が必要なんだ。君は第一号になってくれるだろ?僕の友達になれば学校生活の充実は保証するよ。」
ここまでこんな馬鹿げた話を展開してくるあたり、木綱は本気なんだろう。だとしたら俺の答えはすでに決まっていた。
「お断りします。」
「そうか、ありがとう!しょうへ.....えっ!?!?」
いきなり名前呼びになっていたのも気になるが、ただただ関わりたくない。そう思った。
あと、今までマウントを取られていただけに、豆鉄砲をくらわせることが出来て清々しい気持ちだった。
「そうか、そう答えるか、ではしょうがないな。今まで翔平が授業中のオカズにしてきた、北沢さんが主役の妄想を.....。」
「おいおいおいおいおいおい!?!?
やめてくれ!頼むから!なる!友達になるよ!というかもう俺たち友達だろ?」
どうやら俺の豆鉄砲はかすりすらしていなかったらしい。こんなことになるなんて、過去の俺を恨む。
「まぁ、とにかくよろしくな翔平。」
「はいはい、よろしくきづ...宗一朗。」
俺達は熱い握手を交わした。授業中だなんてことは頭の片隅にすらなかった。
こうして俺は木綱宗一朗の第一号の友達(手下)となった。
「ところで俺の考えていることがバレていないとしたら、なんで鷹野と北沢さんは俺の北沢さんへの好意に気づいたんだ?」
「知らねーよ。ただの勘違いだと思うけどな。」
「ほんとにそうか?」
彼の口調の変化に違和感を抱いたが、あんだけの野望を抱いていたんだ。
本当はこっちが本当の彼なのかもしれない。
俺はまだ慣れないので『彼』とでも呼ばせてもらおう。
実際。今思っていることだって読み取っているんだろうけど。
「ところで翔平、友達として一言いいか?」
「なに?」
「お前、チャック開いてんぞ?」
俺はこのとき、ひとつの謎を解いた。
ありがとうございました!!
舘脇編はこれで終わりです。
次話からは主人公視点に戻ります。
舘脇と主人公の口調に違いを持たせたいのですが、いい案が思いつきません。
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