Target1舘脇 翔平
今度はちゃんと目的がある話を考えてみようと思い、この作品を作りました。
読んでいただけたら幸いです。
夏休みが終わり、涼しくなってきた9月
これを読んでいるあなたはこんなことを考えたことは無いだろうか。
~もし自分が考えていることが他人にバレていたらどうしよう~
こんなことを考えているのは俺が中二病の真っ盛りだからだろうか?
否、それは違う。人は誰しもが人には言えない秘密や思想や性癖を持っており、人に言えないからこそ自分の考えの中で留めている訳であり、さらに人に言えないからこそバレていないかと心配になるものなのだ。
そう、だから俺だけがおかしいわけじゃない。きっとそうだ。
俺の名前は舘脇 翔平
地元の県立足波第二高校に通う高校一年生である。
最近は二刀流の翔平さんが有名だが、残念ながら俺はサッカー部だ。
こんなことを言っているがあの翔平さんを意識したことは一度もない。
ニュースで見るたびに「すごいなー」って思う程度である。
そんな俺には困った特技(?)がある。
『自分が考えていることが他人にバレてしまう』能力である。
全くと言っていい程に他人様に自慢できるような能力ではないが確かにある。
俺がこの能力に気づいたのは夏休みの真っただ中だった。
夏休みの終わりごろにはサッカー部の合宿があったため、その合宿までに宿題を終わらさなければならず、市内にある市立図書館を利用していた時のことだった。
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「うわー、思ってたより人がいるなー。これは『机広々大作戦!!』は出来なさそうだなー。」
そんなに図書館は利用はしない俺だったがここの図書館はそれほど人のいないイメージだったため、
思っていたより人がいるのを確認した俺は中に入るのを渋っていた。
「どーしよ、涼しいし広いから図書館に来たわけだけど...やっぱり家に帰ろうかな?でもなー、家だと康平とその友達がうるさいからな~。」
舘脇 康平は二つ下の俺の弟である。
夏休みに入ってからというもの、毎日と言ってもいい程の頻度で友達を家に呼び、一日中部屋でテレビゲームをしている。自分の部屋でやっている分には構わないが、こいつらときたら大声を出しながらゲームをするものだから、隣の部屋である俺のところまで声が聞こえてきて全く宿題に集中できないのだ。
兄弟を持つのならば妹が欲しかった。
妹ならば少なくとも大声でゲームをするなんて下品なことはしないだろうし、何よりきっとかわいいではないか。
そのようなことを妹持ちの友達に話したら、いつも決まって
「そんな甘いものじゃない」
と、言ってくるのだ。あいつは持たざる者の気持ちを分かっていないんだ。そうだ、きっと。
閑話休題、要は家では宿題はできなかった。
だから悩んではいたが、結局図書館以外の選択肢は見つからなかった。
図書館内の長テーブルで宿題をしていたら、ふと向かいに誰かが立っていた。
「向かい、座っていい?」
目線を上げるとそこには教室で俺の後ろの席に座っている木綱 宗一朗がいた。
よく自分の席で何かの本を読んでいることだけが印象の地味な男だ。
入学早々インフルエンザにかかり、一週間欠席。彼が初めて学校に来た頃にはクラスではすでにいくつかのグループが形成されていたため浮いてしまい、現在まで仲のいい友達とかといる様子を見たことがない。
「あ、いいよ。」
「ありがとう。」
木綱はただそう言い、俺の向いの席に座った。
木綱が座ったことにより俺の正面には驚くべき光景がそこにはあった。
「『隣のクラスの北沢 麗華が眼鏡かけてる!?かわいい!!』でしょ?」
そう、隣のクラスの北沢 麗華が眼鏡をかけ......
「えっ??い...今、何を??」
「舘脇君って北沢さんのこと好きでしょ?だって授業中あんなことやこんなこ...」
「ちょ...ちょっと待ってっ!!何でそれを!?」
「舘脇君、大事な話をするとね...。君の考えてること、みんなにバレてるよ。」
「う...嘘つけ!そ...そんなマンガじゃあるまいし!......帰る!」
そう言って俺は帰り支度をして出口に向かった。
すると木綱が声をかけてきた。
「舘脇君!その症状、僕ならどうにかできるよ。」
「勝手に言ってろ。」
信じがたい話だった。否、信じたくなかったのかもしれない。
ただ、木綱は見事にも俺の思っていたことを言い当てたのだ。
それ以上の根拠は無いはずなのだが、俺は木綱の言っていたことを忘れることにした。
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忘れられるわけがなかった。
それからというもの、俺の考えがみんなに読まれていることが如実に表れてきた。
合宿中、マネージャーの下着がボーダー柄だったのに気付いた。
白い服を着ていたから透けていたのだ。
『ボーダーとかが好きだったんだなー』と考えているといきなり、部内の友人が
「マネージャーの下着の事ばっかり考えてるんじゃねぇよ」
とニヤニヤしながら言ってきた。
他にもミーティング中に『今日の練習、何か意味あったのかな~?』と心の中で愚痴っていると
顧問の先生が
「今日の練習が意味ないとか考えるなよー?」
と、ぴったりのタイミングで言ってきたのだ。
木綱にあんなことを言われたから意識しすぎているだけかもしれないが、
不安でしかなかった。
そして今日から新学期が始まった。
読んでいただきありがとうございました!(完結じゃないよ)
できるだけ早く次話を載せようと思っています。
感想、意見、コメント待ってます。