3 要石と土地いじり
澄み渡るように大きく広がった雲一つない青空の下、さんさんと輝く太陽に照らされながら俺は近くの岩に腰かけて自分と土地の状態を確認していた。
何をどうしているのかと言われれば土地操作と龍脈操作と源泉操作でどのくらいの土地を動かせるか試してみているのだ。
こうして分かったことは今の俺の影響力ではどうやら百メートル四方の範囲でしか効果を及ぼすことができないようであった。
ただし、水脈を呼び寄せる必要があるためかかなり土地深くまで操作することができるようだ。
「しっかしなんとまあ、何もないなあ」
俺の支配が及ぶ中心に岩を移動させる。
何気なくできると思ってしてみてたが岩が持ち上がった。
俺の今の見た目は高校生ほどの身長で運動など特にしていなかったがために線も細いため、生前はその見た目通りの力しか出せなかった。
しかし今はこの何百キロあるか分からない岩を持ち上げることができる。
とんでもない力だと思うと同時にこの世界ではこのぐらいが普通なのかもしれないと認識を改めることにした。
だって気力や魔力があって土地を操作できる存在がいるような生物が現存する世界なんだ。
何が起きたって不思議では無い。
「でも脅威に対抗しようにもこうも何もないとなると」
土地には龍脈も源泉も存在していない。
それはつまりそれらに影響のある物質や生物なども存在していない。
それらがあれば勝手に龍脈も源泉も土地に影響し合って勝手に生まれるものだからだ。
俺という存在がこの土地に来たことでこれから影響が増えると思うがそれによって生まれる存在は慰安のままでは何年後、下手したら途方も無い年数がかかっても不思議では無い。
幸い神となったためか生態が変わったようで食べなくても寝なくても生きているようだ。
神様万歳である。
「となるとテコ入れが必要だよな」
幸いそのための力はあるため、早速龍脈操作と源泉操作を使ってみることにする。
といってもただ土地に満遍なく力を注いでも効力はその分薄くなる。
そのため一点に力を注いだ方が周りに影響を与えやすくなるものだ。
その物質は何がいいか探すがここには鉱脈も無ければ植物も無いので、仕方ないので土地操作を使って土地にごくごく僅かに含まれていた鉄やら普通の金属と金やら白金などの希少金属を集めて今自分が座っている岩の中心部に移動させる。
そしてその岩に龍脈操作と源泉操作を使って気力と魔力を含ませる。
するとうっすらと空気中に気力と魔力が散布される様子が見て取れた。
「さながら要石って感じだな」
今俺が影響を及ぼせる範囲から集めたこの土地の金属を含ませた岩。
その岩に龍脈操作と源泉操作を施したために空気中に気力と魔力が散布されるようになったわけだが……。
「少ないし流れ方が変だな」
俺という存在自体がそういう力の源であるが故か俺から発生する気力や魔力の方が要石から出るものより比べ物にならない位大きい。
そして俺と要石から出た気力と魔力は空気中に漂うがそれが薄かったり濃かったりする場所が出来てしまっているようなのだ。
「俺から漏れる方は一度要石を通るように調整してっと。薄かったり濃かったりする原因は土地自体に龍脈と源泉が無いから。そして土地自体に全く手が入っていないために力の溜まりやすいところとそうじゃないところができているんだな」
そのためには土地に龍脈と源泉の通る道を作らないと行けない。
それは電子機器の回路と一緒であるためにどのような形状にするか俺は考える。
「渦だと中心だけ物凄い力が偏りそうだよな。蜘蛛の巣状だと外の方が回路が薄くなるせいで力の配分が均等にならないか。格子状だと……いけそうだな。ついでに地下にも張り巡らしていこう」
一メートル四方ごとの変に龍脈と源泉の道を作り、それを土地全体に張り巡らせようとしたが土地自体が歪なところがあるために上手くいかない。
そんなときは土地操作で土地に干渉して道を作れるようにする。
一先ず地表の百メートル四方と地下百メートルに張り巡らせておく。
ついでに要石の真下から地下奥深くにある水脈を呼び込んで地表まで繋げるか。
するとちょろちょろと要石の下から水が溢れて水溜りを作り始めた。
色は出始めのためか若干汚いが時間が経てば澄んで綺麗になりそうな感じの水だ。
それが乾ききっていた荒野を湿らせるようにして徐々に増えていく。
「水が出てくるのを見て何だか安心したな。これで多少は生物が生息できるようになったか。しかし流石にレベル1だとここまでが限界みたいだな。途中で途切れなくてよかった」
操作している途中でエネルギーが切れて歪な形になってしまい、それでバランスが崩れてしまったら目も当てられない。
そうなったら今の俺では修正が難しそうだし、いきなり地面が隆起したり陥没したり気力と魔力が爆発して吹き飛んだり突発的に何が起きるか分からない。
要石に座ったまま俺は達成感を感じながら輝く太陽を見上げる。
どうやら祝福されし太陽の神である俺は太陽光を浴びると力を回復することができるようだ。
さながらソーラーパネルにでもなった気分で要石に寝転がって力の回復を待つことにした。




