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雰囲気だけで生き残れ  作者: 雰囲気
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五話

(どうしたらいいんだ…………)




誕生日の翌日。

王城に向かうための道のりを馬車で進んでいた。

屋敷から王都の中心にある王城までは大して距離はない。というかーー。


「歩きで行ったほうが早いんだけどね!」


と母は笑っていた。それでも馬車という移動手段なのはやはりお金持ちだからなのだろう、見栄と面子である。両親はあまりそんなの気にしないようだが。習慣や決まり事には従うようだ。


そんな馬車の中でセントの気分は沈みまくっていた。


(魔力量が少ない………しかもおつげがギリギリ聞こえるレベルの少なさだ………いやあれはもう聞こえてると言っていいのか)


正直こうなる不安は少しあった、いくら両親が最強だったとしてもそれが自分に引き継がれるとゆう確証はない。

しかし、あえてセントはそれを考えないようにしていた。嫌なことは考えない、前世からのポリシーだった。


(これほんといつかバレるよな、そうなる前に母様と父様には伝えた方がいいよな。うわでもやだー失望されるんだろうなー………)


前世で失望される事が多かったので、今世では期待に答えようと思っていただけにショックは大きい。


この事実を両親に打ち明ける勇気がどうしても出てこなかった。

言わなければ、言わなければと思いながら時間は過ぎ、馬車の外で到着致しました、という声が聞こえてきた。


「さぁセント、早く行きましょう?あなたも自分の魔法の属性が気になるでしょ?さ、早く早く」


「か、母様そんなに引っ張らないで」


どうやらこの母はセント自身よりセントの魔法属性が気になるようだ。


(属性か………誕生日の一ヶ月ほど前に教わったな。確か、火、水、雷、風、闇だったな。光がないのが気になったからよく覚えてる、雷と闇は珍しくて、一番多いのは火、水だったか。魔力量が少ないんだからせめて属性はレアなのがいいな………ん?待てよ、たとえ属性がレアでも魔力が無いから使えない?うわ俺終わったじゃないか、母様父様ごめんなさい)


頭でそんなことを考えながら、王城に入る。外見が美しいと評判の王城だったが、セントは別のことを考えていたので全く目に入らなかった。


「セント、まずは王様に挨拶をしなければならないんだ。普通の子供はしなくていいんだが、なんせ僕達の息子だからね、王も期待しているんだ。挨拶はしっかりしなければダメだよ?」


サリエルーー父様が俺にそ言った。


(マジか、王様に会うのか………)

正直、魔力量の少なさに絶望しているセントにとってそれはどうでもいい事だった。


「解りました、父様」

「うん、いい子だ。それにしてもセントは緊張しないのかい?大抵五歳の子供は王様に会うなんて言ったら凄く緊張するんだけど………それに王城を見ても全く反応しなかったよね?というか、見てなかった気がするんだけど」


(そりゃあ今はそんなことどうだっていいからな、しかしここでどうだっていいなんて言ってしまったら頭のいい両親は俺が何か悩んでると気付くかもしれない。ここは緊張アピールしておくか)


「いえ、緊張しすぎて言葉も出ないだけです父様、王城もあまりの美しさに見とれてしまって」

「そうなのかい?まぁ緊張しすぎるのはいけないが、適度な緊張は大事だからね。さ、話してる間に着いたよ。この扉の先だ。」


目の前には大きな、そして美しい扉があった。

扉の傍にいた兵士らしき二人が両親の顔を見て一礼したあと、ゆっくりと扉を開けていった。

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