ライク・マクリアス
「さて、新入生諸君。突然も突然で申し訳ないがね、これから君達には新入生同士で魔法戦をしてもらう」
特別席から新入生達を見下ろして告げる。
俺の言葉に相当戸惑っているのがわかる。当然と言えば当然だが。
俺がこの魔法学園の洗礼を受けた時は、既に魔法試合がある事を察していたから全く驚かなかった。
だが周りはそうではなかった。中には泣き喚く者もいたか。
去年は特に酷かった。戦えと言ったら逃げ出すやつまでいたからな。
それに比べれば今年はまだマシなのかもしれない。
泣き喚くやつもパニックになってる奴もいるが誰も逃げ出しちゃいない。それで今は十分だろう。
ただーーー
泣き喚いたり、パニックになっている奴等がいるから特に目立つ。
ざっと見渡して解るレベルのやつが21人。
あの21人は明らかに他の奴等と違う。
泣き喚くどころか笑っている者もいるな。
あの赤いドレスの娘も相当なものだろう。全く動揺を感じられない。
天使のような微笑みを浮かべた少女もいる。戦えと言われた直後に出来る顔じゃない。
でも一番目に付くのはーーあいつだろう。
まるで雪のように美しい白い髪に、鋭さを感じさせる目。
見た目の良さも飛び抜けているがーーーあの表情だ。
何も写していないかのような瞳は、まるでこの世界ではないどこかを覗いているようで。
そこに立っているだけなのに、まるでそこにいないかのような存在。
俺の言葉に動揺もしていなければ、高揚もしていない。
まるで全てが最初から解っていたかのように。
まるで最初から結末を知っているかのような表情を浮かべている少年。
間違いない、アレがーーー「セント・ユーラス」だ。




