十八話
セント・ユーラスと同じように、魔法の素質があると認められた子供達も同じようにこの試練を受けていた。
そもそもこの試練はなんのためにあるのか、それは簡単に言うと子供の実力差を計るためだった。
襲ってくる魔法に対してどのような対処をするか、それによって魔法学園で行われる入学時のクラス分け試合のマッチング表を決めていた。
英雄の子供、有名な魔法使いの子供、貴族の子供、平民だが魔法の素質がある子供。
皆それぞれがこの試練を受けている。
馬車役は魔法学園の教師だった。
「………今年の子供達は優秀な者が多い……ですね」
『ハハ、君は教師の中でも特に多くの子供を見ているからね。王都担当は大変だな。それに王都にはアレが居ただろう?』
「………子供をアレ呼ばわりするのはどうかと思いますが」
『そうだね、申し訳ないなーーーそれで?ユーラスの子供はどうだった?』
「…………………言葉では説明しずらいです……ただ……10歳の子供という感じではないですね」
『相変わらず説明が下手だな君は、子供らしくない子供など魔法学園には沢山いるじゃないか。もっとこう、どう対応したとか、どんな魔法で試練を乗り越えたかとかーーー』
「………試練は私が中断しました…………あのままやらせていれば……ジャン殿は灰になっていましたから………」
『……………ジャン君は教師の中でも強い方ではないがーーそれでも魔法学園の教師を任される程の闇魔法の使い手じゃないか?』
「…………セント様からは………大きな力は感じませんでした………ただ…大きな怒りの感情だけが………嫌な予感を感じたので」
『………ふむ、まぁ君が言うのならそうなのだろう……それにしても何に怒りを向けたのだろうかね、ユーラスの子供ーーセント様は』
「………………」
『まぁセント君が隠している力は魔法学園についてからクラス分けの試合で解るさ。全く、今回のクラス分け試合は尋常じゃない程に忙しいぞ』
「………そうですね………そちらの水の英雄のーールルの子供はどうだったんですか?」
『どうもなにも、試練の闇魔法が展開される前に使い手教師の気配がバレてね。魔法学園の差し金って所まで突き止められて居心地悪いったらありゃしなかったよ』
「………そうですか………」
『他にも優秀なのは沢山いたがね、やはり別格なのは世に知られる英雄………その子供達さ、君も解っているんだろ?』
「…………………ええ」
『とにかくーーさっさと魔法学園まで子供達を送り届けよう。クラス分け試合が楽しみだよ、全く』