ララ・ユーラス
私、ララ・ユーラスには可愛い可愛い息子がいる。
名前はセント・ユーラス。私達と同じ綺麗な白い髪で、顔立ちはびっくりするほど整っている。親馬鹿じゃないわよ?
そんな可愛い私のセントが七歳の時ーーーちょっとおかしな行動を庭でしていた。
5歳の時から魔法が使えるようになって嬉しいのか、あの子はあいた時間を見つけては魔法を使って訓練をしている。
私達の「大きな魔力を必要とする魔法を使ってはいけない」という教えはしっかり守っていて、小さな規模の魔法しか使っていない。偉いわ!セント。
庭でまた訓練かしら?と遠目にセントを見ていた。するとーーー
ババババッ!と大きい音がして、セントの周りを青白い雷が飛び回り始めた。
(何あの雷は!?抑えきれずに体の外に漏れてるじゃない!セントは何を発動するつもり!?いいえ、まだ魔法が発動していないのに魔力が漏れ出す程ですもの、危険だわ!)
そう思った私は、火の魔法を使い自身を炎としてセントのところに飛んだ。
この魔法、火の魔法使いでララ以外に使っている物はいなかった。
一度体を魔力で炎に変えると、戻る事が非常に困難となる。よほど強い自己魔力が無ければ出来ない事で、そんな事ができるのはクイーラ王国ではララだけだ。
そして文字どうり飛んできたララは、ララが来たことに気付いて魔法を中断して、少し残念そうな顔をしているセント。
セントはゆっくりこちらを振り返って不思議そうな顔をした。
「母様?見ていたのですか?」
「セント、今何をしようとしたの?」
そう聞くと、
「え?何をしようとしていたというか出来なかったというか………」
ゴニョゴニョと珍しくはっきりと喋らないセント。こういう姿は初めてで、少し嬉しくなった。
「もう、とにかく危ない事しちゃだめよ?」
そう言って許してしまう私はーーやっぱり親馬鹿なのかもしれない。