平賀聡の恋愛事情1
8月5日
異世界にきてから4日がたった。
柏木由美という可愛い俺と歳の近い女の子がいるが、彼女は浩介にすこし気があるようだ。
出会って早々女の子を落とすとは、やはり俺の目に狂いはなかった。やつは侮れない。
8月13日
王女様はきれいだ。だが俺は所詮庶民だ。
王女を狙うのは無理だと思ったが、浩介を見る王女の目が変だ。
まさか王女まで落とすとは。怖いもの知らずだ。
9月6日
ロイヤルナイトが帰ってくるらしい。
だがひたすら修行だ。訓練を怠るわけにはいかない。
そして相変わらず由美は浩介を気にしているようだ。
浩介もそれに気づかないのだろうか?
そうこうしているうちにその日はロイヤルナイトを見ることが出来なかった。
まあ、明日でもいいか。
9月7日
修行を終えた後、部屋に戻る途中美女とであった。
朱色のロングでいかにもお姉さん的な雰囲気をかもし出している。
「お疲れ様」
すれ違いざまににこっと挨拶される。
しばらく言葉を発することが出来ずにいるとあわてて振り向いてお疲れ様です。と声をかける。
しかしそこにもう彼女はいなかった。
その後城内を探し回ったがさっきの美女は見つからなかった。
あれは幻だったのだろうか?
9月10日
ついに幻の美女を発見した。
どうやらロイヤルナイトの一人さんだそうだ。
そしてなんと今日は俺の修行に付き合ってくれた。
「素手だけじゃ物足りないから魔法も使ってみたら?」
というアドバイスをもらい魔法の特訓もする。
最初はどの属性にするか迷ったが、格闘家みたいなタイプには土属性の魔法が良いみたいだ。
そんなこんなで今日の修行は終わった。
「うん、君は筋がいいよ、優秀だね」
「あ、ありがとうございます!」
なんて、お褒めの言葉をもらい、宙に浮くような気分になった。
9月15日
1ヵ月後に戦争の開幕が決定された。
正直乗り気じゃないが、強い敵と戦えると思うともっと特訓したくなる。
さっそく修行するためいつもの中庭に行こうとしたが・・・・
「早速特訓?頑張るのはいいけど無茶しすぎないでよ?」
突然リリーさんに声をかけられた。
「は、はい。ほどほどに頑張ります!」
「うーん、そうだな。今日は私も特訓付き合ってあげる」
「え、いいんですか!?」
「いいよ、別に。私今回の任務参加できなかったから、身体動かしたくて」
さあ、行こう。という声とともに二人で中庭に行った。
この日は、リリーさんがいたので、魔法の特訓をした。
「うん。すごくいい感じだよ。だいぶコツつかんできたね。これならもう私は必要ないかな・・・」
あははーとリリーさんは言うが、俺としては逆の気持ちだ。
リリーさんとはもっと特訓をしたい。そういう思いが沸き起こってくる。
「俺もっとリリーさんから魔法以外のいろいろなこと教えてもらいたいです」
え!?と顔を赤らめるリリーさん。
「で、でも私はそっちのほうは経験・・・・全然ないし・・・・」
なんのことだろうか?会話がかみ合っていない気がする。
「俺はただ魔法以外の技も教えてもらいたいだけなんですが・・・・」
「え?ああ・・・な・・・なんだそいうことか・・・・」
「これからも俺の特訓に付き合ってもらってもいいですか?」
「うーん、そうだな・・・・出来る限り協力するよ」
うっし!!と心の中でガッツポーズ。
これからの特訓をもっと頑張ろうと自分に誓う。
9月17日
ついに戦争の前日だ。
俺の修行で得た力はリリーさんを守るために鍛えてきた。
力は俺のほうが劣るかもしれないが、少しでも力になろう。
俺はリリーさんの部隊に抜擢された。
これは俺が無理言ったからなんだが、選ばれたからにはなんとしてでも守り抜いてみせる。
城から夜の空を見上げるリリーさんを発見し、何をしているのだろうと近寄る。
「いよいよ明日ですね」
後からこえをかける俺に気がつき振りむく。
「そうだね・・・・・きっと長い戦争になるよ・・・・」
「そうですね・・・・」
「戦争が終わったら、聡君とはお別れだね・・・・」
俺はしばらく黙ったままうつむいていた。
「向こうの、現実世界に帰るかどうかは自分で選べるんですか?」
「え?それは・・・・・私にはわからないよ。今まで勇者がこの世界に来たことはなかったから」
「もし選べるんだとしたら、俺はこの世界に残りたい」
「えええ!?ど、どうして!?自分の世界に帰りたいと思わないの!?」
それは、帰りたい・・・・という思いはある。だが向こうの世界で俺はずっと暗い世界にいた。
そんな俺にはもうあの世界よりこの世界のほうが・・・向いている。
「俺は・・・・この世界に残りたい・・・・・俺はリリーさんのことが好きだから・・・」
「聡君・・・・・・・・」
沈黙が続く中、風の音だけが聞こえる。
もう9月だから風も冷たくなりつつあるが俺のほてった身体を冷やすにはちょうど良かった。
ただリリーさんの身体が冷えてしまうことだけが気がかりだった。
「私、聡君がいっつも中庭で特訓してるの見てたよ。ロイヤルナイトの私でさえ、あんなに特訓はしないから、聡君のことすごいなぁって思ってたよ。だから私も少しは見習って聡君と特訓してたの」
俺は一切口を挟まずに話を聞いた。
リリーさんの動く唇は寒さで震えているんじゃないかと思う。
だからこそここで答えてくれたリリーさんの言葉を最後まで聞こう。
「でも、それはただの口実だった。自分の気持ちへのね。本当は、本当の私の気持ちは・・・・聡君と一緒にいたかったんじゃないかな。でも、聡君はこの世界の人じゃない。だからこの気持ちはそっとしまっておこうかと思ってた」
リリーさんの目からぽろぽろと涙があふれてくる。
「でも、今の聡君の言葉を聞いて・・・・・すごく嬉しかった・・・・戦いが終わったら離れ離れになっちゃうから・・・・・聡君がこの世界に残るって言ってくれて、嬉しかった・・・・・」
「こんな私だけど・・・・よろしくね・・・・・好きだよ・・・」
「リリーさん・・・・・幸せにします・・・・絶対・・・」
寒い夜。
戦争の前日。
何もかもが寒く冷える今、俺の腕の中にいるリリーさんはそんな俺を暖かくしてくれた。
一生幸せにします。
戦いが終わった後も・・・・ずっと・・・・・・